今林家住宅糸蔵とは

今林家住宅糸蔵は、京都府宮津市字万町にある明治期の土蔵で、平成14年(2002年)8月21日に登録有形文化財となった。土蔵造2階建、瓦葺、建築面積44平方メートルで、今林家住宅に建つ5棟の蔵のうちもっとも大きい。

敷地の北西部で主屋に接し、東西に棟を通して建つ。文化庁の解説は、糸問屋だった今林家にとって、この蔵が機能の面でも建築の面でも屋敷の中心になる建物だったと位置づけている。商品の糸を納めた蔵が、敷地でいちばん大きく、いちばん手をかけて造られていることになる。

登録の理由 ― 7棟でただ一つの「造形の規範」

今林家住宅の7棟のうち、登録基準が「造形の規範となっているもの」とされたのは今林家住宅糸蔵だけである。主屋・旧店舗・旧生糸蔵は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、米蔵・道具蔵・味噌蔵は「再現することが容易でないもの」で登録されている。

文化庁の解説が挙げる理由は三つに整理できる。丁寧なつくりであること、敷地内で最大規模の蔵であること、そして大きな妻面を持つことである。

見どころ ― 奥行より広い妻面と左右対称の窓

今林家住宅糸蔵は切妻造の妻入で、梁間を桁行よりも長くとっている。桁行は棟の方向の長さ、梁間はそれと直交する方向の長さを指す。多くの蔵では桁行のほうが長いが、糸蔵はこの関係を逆にしており、入口を設けた妻側が横に広い大きな面になる。

その2階に、2つの開口部が左右対称に並ぶ。広い壁面の上部に同じ高さで窓が向かい合う構成で、文化庁の解説はこの大きな妻面を糸蔵の特徴としている。

敷地の蔵には、軒の垂木を扇状に配するつくりが共通して見られる。味噌蔵の解説は、味噌蔵と同じつくりを持つ蔵がほかに3棟あると記す。ただし、今林家住宅糸蔵がその3棟に入るかどうかは、糸蔵自体の解説には書かれていない。

梁間を長くとる点は、敷地北端の道具蔵にも共通する。道具蔵は平入で、窓を妻面の北寄りに開ける。同じ手法でも、入口の向きと窓の位置が違えば蔵の表情は変わる。

見学方法

今林家住宅糸蔵は個人の屋敷の奥に建ち、内部は公開されていない。京都府国登録文化財所有者の会(京都登文会)が公開の対象に挙げているのは旧店舗と旧生糸蔵で、糸蔵は含まれていない(2026年9月25日確認)。

通りに面していないため、外から見える部分は限られる。特徴である大きな妻面を正面から見る機会は、公開されている案内の範囲では見当たらない。屋敷への行き方は今林家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q今林家住宅糸蔵はどのような建物ですか?
A明治期に建てられた土蔵造2階建、瓦葺の蔵で、建築面積は44平方メートルあります。今林家住宅の5棟の蔵のうち最大で、糸問屋としての機能と建築の両面で屋敷の中心とされています。
Q今林家住宅糸蔵が登録有形文化財になったのはいつですか?
A平成14年(2002年)8月21日に登録されました。今林家住宅の7棟のうち、登録基準が「造形の規範となっているもの」とされたのは糸蔵だけです。
Q今林家住宅糸蔵の造りの特徴は何ですか?
A切妻造の妻入で、梁間を桁行よりも長くとり、2階に2つの開口部を左右対称に設けた大きな妻面を造っている点です。
Q今林家住宅糸蔵は見学できますか?
A内部は公開されていません。京都登文会が公開の対象とするのは旧店舗と旧生糸蔵のみです(2026年9月25日確認)。糸蔵は敷地の奥にあり、通りからもほとんど見えません。
Q今林家住宅糸蔵は敷地のどこにありますか?
A敷地の北西部で、主屋に接して東西棟で建っています。通りに面した主屋の背後にあたります。

基本情報

名称今林家住宅糸蔵(いまばやしけじゅうたくいとぐら)
所在地京都府宮津市字万町604-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成14年(2002年)8月21日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積44平方メートル
所有者個人(文化庁データベースの所有者欄は空欄)
公開状況非公開

参考文献

国指定文化財等データベース 今林家住宅糸蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002947
文化遺産オンライン 今林家住宅糸蔵
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/116027
国指定文化財等データベース 今林家住宅味噌蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002949
今林家住宅(京都府国登録文化財所有者の会)
https://www.kyoto-tobunkai.org/catalogue/51.html

最終更新日: 2026.09.25