出雲大神宮とは
出雲大神宮(いずもだいじんぐう)は、京都府亀岡市千歳町に鎮座する丹波国一宮の神社で、社伝では和銅2年(709年)10月21日に社殿が造営されたとされ、現在の本殿は貞和2年(1346年)の建築である。境内には重要文化財の本殿が建ち、ほかに社殿・鳥居など12件が登録有形文化財となっている。
祭神は大国主命(おおくにぬしのみこと)と三穂津姫命(みほつひめのみこと)。社殿の背後にそびえる御蔭山(みかげやま)を神体山とし、山中には磐座が残る。平安時代の延喜式神名帳では名神大社に列し、明治の社格制度では国幣中社とされた。古くは出雲神社とも呼ばれ、参道の社名標にはその名が刻まれている。
名前は似ているが、島根県出雲市の出雲大社とは別の神社である。出雲大神宮は「元出雲」とも呼ばれる。神社の由緒によれば、大国主神をこの丹波の地から出雲の杵築(きずき)へ遷したと伝えるためで、一般に言われる勧請の向きとは逆になる。この伝えは社伝として紹介されるもので、史実として確定しているわけではない。
鎌倉時代の『徒然草』第236段には、丹波の出雲に詣でた聖海上人が、後ろ向きに据えられた獅子と狛犬に感じ入る話が出てくる。中世から都の人々に知られた社であったことがうかがえる。
境内の文化財
出雲大神宮でもっとも古い建物は本殿である。三間社流造・檜皮葺の社殿で、文化庁の国指定文化財等データベースは室町前期の貞和2年(1346年)の建築とし、明治39年(1906年)4月14日に重要文化財として記載する。神社は足利尊氏が貞和元年(1345年)に修造したと伝えており、1年の差がある。
本殿を囲む社殿と参道の工作物12件は、令和3年(2021年)2月4日に一括して登録有形文化財となった。登録番号は26-0615から26-0626まで続く。建てられた年代は江戸中期から昭和戦前までにわたる。
いちばん古いのは享保3年(1718年)の石鳥居で、上之社本殿が文化10年(1813年)に続く。明治に入ると、明治6年(1873年)の制札、明治11年(1878年)の拝殿、明治18年(1885年)の祭器庫と手水舎、明治41年(1908年)の神饌所と、境内の再興が段階的に進んだ。昭和初期には社務所(1931年)、本殿中門及び祝詞舎(1934年)、本殿廻廊(1935年)が加わり、本殿の前の構えが現在の形に整った。昭和13年(1938年)の摂社黒太夫社が、登録された12件のなかでもっとも新しい。
中世の本殿を中心に、各時代の建物が境内に重なっている。出雲大神宮の登録は、その重なり全体を境内の景観として評価したものといえる。
境内の配置と歩く順序
出雲大神宮の参道は南西から入り、途中で向きを変えて北の社殿へ向かう。曲がり角の北側、低い石段の上に石鳥居が立ち、その手前の西側に制札がある。
鳥居をくぐると、参道の西に社務所、東に手水舎が向かい合う。手水舎の奥、東側の一段高い場所には白壁の祭器庫が見える。
参道の正面には拝殿があり、その背後に中門と祝詞舎、さらに奥に本殿が一直線に並ぶ。中門の左右には廻廊がのび、その両端から透塀が北へ回って本殿を囲む。中門の西には神饌所、東の石垣の上には奏楽舎が建つ。
上之社本殿は本殿の東、御蔭山の山中にある。摂社黒太夫社は境内から西へ約100メートル離れた境外社で、神社は本殿に参る前に黒太夫社へ参るのが本来の順序だと案内している。
参拝と交通
出雲大神宮の境内は自由に参拝でき、拝観料は要らない。社務所の受付はおおむね午前9時から午後5時とされるが、祭典の日などは変わることがあるので、事前に神社へ確かめると確実である。社殿の内部は公開されておらず、各建物は外から見る。
御蔭山の磐座へ進む場合は、社務所で入山の受付を済ませる必要がある。山中は神域として扱われており、立ち入れる範囲も社務所で案内される。
公共交通では、JR嵯峨野線の亀岡駅北口のりばから京阪京都交通のバス(亀岡市ふるさとバス)に乗り、およそ15分の「出雲大神宮前」で降りるとすぐである。千代川駅からも同じ停留所へのバスがある。本数は多くないので時刻表を確かめておきたい。急ぐ場合は亀岡駅・千代川駅からタクシーで約10分。
車なら京都縦貫自動車道の千代川インターチェンジから約15分で、境内の近くに約80台分の駐車場がある。
祭礼
出雲大神宮の例祭は10月21日で、和銅2年の社殿造営の日にちなむ。4月18日の花鎮祭では、雨乞いに由来するとされる出雲風流花踊が奉納される。どちらの祭典でも拝殿で巫女の神楽が舞われる。
参考文献
- 国指定文化財等データベース 出雲大神宮本殿(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1979
- 国指定文化財等データベース 出雲大神宮拝殿(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013589
- 文化遺産オンライン 出雲大神宮拝殿
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/569272
- 国指定文化財等データベース 出雲大神宮石鳥居(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013595
- 国指定文化財等データベース 出雲大神宮摂社黒太夫社(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013598
- 出雲大神宮(ぶらり亀岡 亀岡市観光協会)
- https://www.kameoka.info/seeing/izumodaijingu.php
- 出雲大神宮(森の京都)
- https://morinokyoto.jp/spot/spot-478/
最終更新日: 2026.09.27
基本情報
| 名称 | 出雲大神宮 |
|---|---|
| 所在地 | 京都府亀岡市千歳町千歳出雲無番地 |
| 所有者 | 宗教法人出雲大神宮 |
| 指定 | 重要文化財 1件・登録有形文化財 12件 |
| 座標 | 35.05917, 135.57830 |