旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所とは
旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所は、宮城県登米市登米町の寺池金谷にある明治42年(1909年)建築の醤油醸造業の事務所で、令和4年(2022年)6月29日に国の登録有形文化財に登録された。
読みは「きゅうさくらいじょうぞう(やまかのじょうぞう)じむしょ」。登録番号は04-0211、員数は1棟である。文化庁の記録は建築年を明治42年とし、昭和前期に改修を受けたことを書き添えている。木造2階建で、建築面積は58平方メートル。
建物は城下町登米の南の外れ、交差点の角地に北を向いて建つ。文化庁は種別を「産業2次」に分類する一方、解説ではこの建物を町家と呼んでいる。醸造業の事務所でありながら、姿は通りに面した商家そのものである。
旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所が登録された理由
登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、梁と束を重ねた妻面を見せる造りを挙げ、この町家が地域の歴史的景観を形づくっていると結んでいる。
令和4年(2022年)3月の文化審議会の答申は、旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所を醸造業の「主屋」と位置づけ、通りを挟んで建つ南蔵・醸造蔵とひと続きのものとして説明した。同時に登録された3件のうち、通りに面した商家の姿をとどめるのはこの事務所だけで、残る2棟はいずれも平屋の土蔵である。
出桁造の軒と下見板張の2階
旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所の屋根は切妻造の桟瓦葺で、棟と平行する長い面を通りに向けた平入とする。軒は出桁造、2階の外壁は下見板張で仕上げている。
出桁造は、外へ突き出した腕木や梁の先に桁を渡し、深い軒を受ける造り方である。軒裏の構造が隠されずに表に出るので、通りから見上げれば軒先を支える木組みがそのまま目に入る。
2階の下見板張は、横長の板を少しずつ重ねながら張り下ろす仕上げで、壁にあたった雨を下へ流す。瓦屋根、出桁の軒、板張りの2階という取り合わせは、明治の末に建った醸造元の表構えを今の通りに残している。
妻面に表れた梁と束
旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所でとくに見ておきたいのは、建物の側面にあたる妻面である。答申の解説によれば、小屋組は梁を重ねて束を立てる束立ての形式で、その骨組みが妻面の外に表れている。
角地に建つため、妻面は交差する通りの側からも眺められる。正面の出桁造の軒と、側面に組まれた梁と束を、交差点の近くの一か所から見比べられるのはこの建物の立地の利点である。
1階の事務所と2階の座敷
文化庁の解説によると、旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所の1階は一室の事務所で、2階は二室の座敷になっている。西側の座敷には、南面に床を構える。
1階を仕事の場とし、2階に床の間を備えた座敷を置く上下の使い分けは、通りに面した町家によく見られる構成である。内部は公開されておらず、室内の様子を知る手がかりは、文化庁のデータベースに載る1階内部の写真くらいしかない。
旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所の見学
旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所の内部は公開されていない。文化庁の記録では所有者はヤマカノ醸造株式会社で、事務所の地番である寺池金谷15は、宮城県の事業者情報で同社の工場所在地の一つに挙げられている。
外観は公道から見られる。北面の出桁造の軒と2階の下見板張は正面の通りから、妻面の梁と束は交差する通りの側から見るとわかりやすい。撮影についての公式の案内は見当たらないので、写すときは働いている人や出入りする車が入らないよう気を配りたい。敷地の中には立ち入らないこと。
Q&A
- 旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所の中は見学できますか?
- 内部は公開されていません。外観は公道から見られます。見学について尋ねたい場合は、所有者のヤマカノ醸造(電話0220-52-2511)に事前に問い合わせてください。
- 旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所はいつ建てられましたか?
- 文化庁の記録では明治42年(1909年)の建築で、昭和前期に改修されています。木造2階建、建築面積58平方メートルです。
- 旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所の外観の見どころは?
- 正面の出桁造の軒と下見板張の2階、それに側面の妻面に表れた梁と束の組み方です。角地に建つので、正面と妻面を交差点の近くから見比べられます。
- 旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所の2階はどんな部屋ですか?
- 二室の座敷で、西側の座敷の南面に床を構えています。1階は一室の事務所です。
- 旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所はいつ登録有形文化財になりましたか?
- 令和4年(2022年)6月29日に登録されました。登録番号は04-0211で、地域の歴史的景観を形成する町家として、南蔵・醸造蔵とともに登録されています。
基本情報
| 名称 | 旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所 |
|---|---|
| 所在地 | 宮城県登米市登米町登米字寺池金谷15 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 令和4年(2022年)6月29日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 建築面積58平方メートル(木造2階建) |
| 所有者 | ヤマカノ醸造株式会社 |
| 公開状況 | 外観は公道から見学可(内部非公開) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014225
- 文化遺産オンライン 旧櫻井醸造(ヤマカノ醸造)事務所
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/555235
- 文化庁 文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)について(令和4年3月18日、PDF)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/pdf/93681601_01.pdf
- 宮城県 今回登録される建造物の概要(PDF)
- https://www.pref.miyagi.jp/documents/38178/20220318touroku_gaiyou.pdf
- 宮城県 つながる みやぎのOEMサイト ヤマカノ醸造株式会社
- https://www.pref.miyagi.jp/site/miyagi_oem/jigyosha/detail50.html
最終更新日: 2026.10.03