二階建でありながら三階建に見せる蔵

三原屋商店の店舗の西に隣接し、南北棟で建つのが北蔵である。桁行5間半、梁間2間半の2階建土蔵で、瓦葺、建築面積は約44平方メートル。内部は南北2室に分け、東面に2戸の入口を開ける。

建築は隣の店舗と同じ明治5年(1872年)頃で、登録番号は20-0122。平成15年(2003年)に一括登録された三原屋の6棟のうちの一棟である。

街路の目を意識した造作

北蔵は、大町道に面する北妻面に注目したい。ここでは下屋部を海鼠壁で仕上げている。黒瓦を菱に張り、白漆喰で目地を盛り上げたこの外装は、防火と体裁の両方を兼ね、街路の景観を整える働きをする。

もう一つ、静かな仕掛けがある。この妻面の窓は高い位置に開けられており、二階建の建物が街路からはあたかも三階建であるかのように見える。漆喰と木でつくられた控えめな演出だが、一度気づくと目が離せない。

群として登録された一棟

北蔵は単独で建つことを前提としていない。店舗と蔵が連なる一連の建物の一部として、歴史的景観に寄与する建造物として登録された。群として読めば、一つの商家が明治期を通じて街角をいかに整えていったか、実用の蔵と見せる面との釣り合いのとり方が見えてくる。

三原屋が現役の醸造家であり続けているため、これらは舞台装置ではない。北蔵は今も本来の素朴な役目を果たしており、街路に向けた造作がそのまま残ってきた理由の一つがそこにある。

Q&A

Qなぜ北蔵は三階建に見えるのですか。
A北妻面の窓を高い位置に開けているためで、二階建の建物が街路からは三階建のように見えるよう意図的に設計されています。
Q海鼠壁とは何ですか。
A黒い方形の瓦を菱形に張り、白漆喰で目地を盛り上げた防火性の高い外装です。北蔵では街路に面する妻面に用いられています。
Q建物の規模は。
A約44平方メートル、桁行5間半・梁間2間半の2階建で、内部は南北2室に分かれます。
Qいつ建てられたのですか。
A明治5年(1872年)頃、隣接する店舗と同じ再建期の建築です。
Q見学できますか。
A現役の私有の蔵ですので、街路からの観覧が基本です。外観をご覧いただき、商いにご配慮ください。

基本情報

名称三原屋商店北蔵
所在地長野県長野市大字長野字桜枝町879-1
指定区分登録有形文化財(登録番号 20-0122)
登録年月日2003年3月18日(告示 2003年4月8日)
員数1棟
構造土蔵造2階建、瓦葺、建築面積約44平方メートル
年代明治5年(1872年)頃
所有者株式会社三原屋

参考文献

Agency for Cultural Affairs, National Cultural Properties Database — Miharaya Shoten North Storehouse
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003235
Nagano City — List of Registered Tangible Cultural Properties
https://www.city.nagano.nagano.jp/n151100/contents/p002914.html
Miharaya Co., Ltd. — official site
https://miharaya.co.jp/

最終更新日: 2026.07.05