善光寺西、二つの道が交わる角に建つ店蔵

善光寺の西へ歩くと、大町道とうちわや小路が交わる辻に出る。その西南角に構えるのが、弘化年間の嘉永元年(1848年)以来この地で商いを続ける味噌醤油醸造・三原屋商店の店舗である。現在の建物は明治5年(1872年)頃の建築で、善光寺地震(弘化4年・1847年)後に門前町が再興していく時期に建てられた。

間口は3間半、東西棟の片寄棟造の2階建店蔵で、その奥に南北棟の2階建土蔵を繋げ、一棟の深い建物としている。土蔵造2階建、瓦葺、建築面積は144平方メートル。角地という立地を生かし、二方向の街路に表情を見せる構えをとる。

一つの角に、二つの表構え

この店舗の見どころは、二つの面のつくり分けにある。店蔵の部分は入口を大きく採り、客を招き入れる開放的な構えとする。腰は瓦を平らに積んだ瓦平積とし、軒は出桁造風に張り出させて、商家らしい伸びやかな正面をつくる。

角を折れると印象は一変する。隣接する土蔵は海鼠壁で仕上げられ、黒瓦を菱形に張り、目地を白漆喰で盛り上げた防火性の高い外装が続く。開いた店構えと、鎧のように固い蔵とを並べて見せる意図は明快で、その対照は今も街路からはっきりと読み取れる。

なぜ登録されたのか

平成15年(2003年)、店舗は周囲の5棟の蔵とともに、国土の歴史的景観に寄与する建造物として登録有形文化財に一括登録された。店舗はその群の顔にあたり、訪れる者が最初に目にし、辻の景観を決定づける存在である。

三原屋は今も店の奥で味噌と醤油を醸し、規模を大きくしない方針を長く守ってきた。辻に立つと、保存された抜け殻ではなく現役の商家の姿が見える。この角が明治の空気を保ち続けている理由の多くは、そこにある。

Q&A

Q店舗はいつ建てられたのですか。
A現在の店舗は明治5年(1872年)頃の建築です。三原屋の創業は1848年で、建物はより古い商いを受け継いだ後代の再建にあたります。
Q三原屋は何を造っているのですか。
A味噌と醤油です。手づくりの品質を保つため、あえて製造規模を大きくしない方針をとってきました。
Q建築様式は。
A土蔵造2階建の店蔵で、瓦葺。奥に南北棟の土蔵を繋げた形状をとります。
Q中に入れますか。
A現役の店舗として営業しているため、営業時間内は店先を利用できます。2階や蔵は公開施設ではありませんので、私有の商家であることにご配慮ください。
Q場所はどこですか。
A善光寺西の商家町、大町道とうちわや小路が交わる西南角に建ちます。

基本情報

名称三原屋商店店舗
所在地長野県長野市大字長野字桜枝町879-1
指定区分登録有形文化財(登録番号 20-0121)
登録年月日2003年3月18日(告示 2003年4月8日)
員数1棟
構造土蔵造2階建、瓦葺、建築面積約144平方メートル
年代明治5年(1872年)頃
所有者株式会社三原屋

参考文献

Agency for Cultural Affairs, National Cultural Properties Database — Miharaya Shoten Shop
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003234
Nagano City — List of Registered Tangible Cultural Properties
https://www.city.nagano.nagano.jp/n151100/contents/p002914.html
Miharaya Co., Ltd. — official site
https://miharaya.co.jp/
Kuzefuku Shoten — interview with Miharaya
https://www.kuzefuku.jp/selected/013miharaya.html

最終更新日: 2026.07.05