醸造の現場を担う長大な蔵

中蔵の南面に接し、南北棟で建つ東蔵は、群のなかで最も大きく、最もよく働くために建てられた蔵である。桁行10間、梁間4間の長大な2階建で、桟瓦葺、切妻造。建築面積は約140平方メートルにおよび、醤油醸造蔵として使われてきた。

建築は明治10年(1877年)頃、登録番号は20-0124。三原屋の6棟のうち、小路沿いの土蔵群の構成要素のなかで最も存在感のある土蔵として記録されている。

東面を読む

東面の腰は、中蔵と同様に簓子下見で仕上げている。細い竪桟で横板を押さえるこの下見は、土壁を跳ね返りや傷みから守る実用の裾まわりである。その上に漆喰が軒まで立ち上がる。

格式が許されたのは南妻面である。ここには重厚な観音扉をもつ窓が左右対称に配される。働く蔵にあってこの入念な均衡は、ささやかな矜持の表れであり、妻面を見上げる者に応えてくれる。

規模という登録理由

平成15年(2003年)、三原屋の群が歴史的景観への寄与を理由に登録された際、東蔵はその量感によって小路に重みを与えた。小さな蔵や店舗が測られる、長く暗い基準面である。

壁の内では醤油の醸造が営まれ、建物の長さはそのまま、明治期の長野におけるこの商いの規模を記録している。うちわや小路から見れば、東蔵はここが売る場であるだけでなく造る場であったことを告げる一棟である。

Q&A

Q東蔵は何に使われていたのですか。
A三原屋の醤油醸造蔵として使われ、群のなかで最も大きく、最もよく働く建物でした。
Q規模は。
A約140平方メートル、桁行10間・梁間4間の2階建で、桟瓦葺の切妻造。三原屋6棟のうち最大の蔵です。
Q観音扉とは何ですか。
A重厚な両開きの扉で、仏壇の扉に由来する呼び名です。東蔵では南妻面の左右対称の窓に用いられています。
Qいつ建てられたのですか。
A明治10年(1877年)頃で、中蔵・西蔵・南蔵と同じ時期の建築です。
Q見学できますか。
A私有の現役の蔵ですので入れません。その規模と妻面は小路の外側から眺めるのが最適です。

基本情報

名称三原屋商店東蔵
所在地長野県長野市大字長野字桜枝町879-1
指定区分登録有形文化財(登録番号 20-0124)
登録年月日2003年3月18日(告示 2003年4月8日)
員数1棟
構造土蔵造2階建、桟瓦葺、建築面積約140平方メートル
年代明治10年(1877年)頃
用途醤油醸造蔵
所有者株式会社三原屋

参考文献

Agency for Cultural Affairs, National Cultural Properties Database — Miharaya Shoten East Storehouse
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003237
Nagano City — List of Registered Tangible Cultural Properties
https://www.city.nagano.nagano.jp/n151100/contents/p002914.html
Miharaya Co., Ltd. — official site
https://miharaya.co.jp/

最終更新日: 2026.07.05