村の墓地の中央に立つ石塔

圓成寺五輪塔(えんじょうじごりんとう)は、奈良県奈良市忍辱山町にある鎌倉時代後期の石造五輪塔で、元亨元年(1321年)の銘を持ち、昭和32年(1957年)に重要文化財に指定された。圓成寺の境内ではなく、寺の西南約200メートルにある共同墓地の中央、小高いところに立っている。

五輪塔は、下から方形の地輪、球形の水輪、屋根形の火輪、半球形の風輪、宝珠形の空輪の5つの石を積み上げた供養塔である。仏教で世界を形づくるとされる地・水・火・風・空の五大をかたどっている。寺の説明では、圓成寺五輪塔の高さは234.0センチメートル、およそ2.34メートルある。

地輪には「元亨元年辛酉六月日 一結衆敬白」の銘が刻まれている。元亨元年は1321年で、鎌倉幕府の滅亡より10年余り前にあたる。

奈良県で最も古い紀年銘

文化庁の解説は、圓成寺五輪塔を奈良県内の五輪塔のなかで最古の銘を持つものとしている。五輪塔そのものは各地に数多く残るが、造立の年を刻んだものは限られ、年代の分かる基準資料として扱われる。寺はさらに、在銘の五輪塔として県内で最古かつ最大のものと説明している。

銘の「一結衆」は、同じ信仰で結ばれた人々の集まりを指す。個人の墓ではなく、仲間が力を合わせて建てた塔であることを銘が示しており、寺はこの五輪塔を、おそらく一山の総供養塔であったものと推定している。寺と周辺の人々の死者をまとめて供養する塔として建てられた可能性が高い。

石塔は木造建築と違って建て替えを受けにくく、刻まれた文字が当時のまま残る。圓成寺五輪塔の銘は、兵火で堂宇の大半が失われる文正元年(1466年)より前の、鎌倉時代の圓成寺とその周辺に信仰の共同体があったことを伝える数少ない同時代の記録でもある。

形の見どころ

圓成寺五輪塔の前に立ったら、5つの石の釣り合いを下から順に追いたい。どっしりした地輪の上に、張りのある球形の水輪が載り、その上の火輪は軒の反りを持つ屋根形になり、さらに風輪と空輪が重なって頂部を結ぶ。石の大きさが上へ行くほど小さくなる、その比率が塔の印象を決めている。

銘は地輪にあるので、正面だけでなく側面にも回ってみたい。風化で読み取りにくい部分もあるため、斜めから光の当たる時間帯のほうが刻線を追いやすい。

見学のしかた

圓成寺五輪塔は寺の拝観区域の外にあり、寺の西南約200メートルの共同墓地の中にある。地域の人々の墓所なので、墓参の人の妨げにならないよう静かに訪ね、墓石の間に立ち入ったり、塔に触れたりするのは控えたい。

見学の可否や時間について寺の案内には記載がない。場所が分からないときは、圓成寺の受付で確かめてから向かうのが確実である。境内への行き方と拝観の条件は圓成寺のページにまとめた。

Q&A

Q圓成寺五輪塔はどこにありますか?
A圓成寺の境内ではなく、寺の西南約200メートルにある共同墓地の中央の小高いところに立っています。
Q圓成寺五輪塔はいつ造られたのですか?
A地輪に元亨元年(1321年)の銘があります。鎌倉時代後期の造立です。
Q圓成寺五輪塔が重要文化財に指定された理由は何ですか?
A文化庁は、奈良県内の五輪塔のなかで最古の銘を持つことを挙げています。昭和32年(1957年)に重要文化財に指定されました。
Q圓成寺五輪塔の銘の「一結衆」とは何ですか?
A同じ信仰で結ばれた人々の集まりのことです。寺はこの塔を、一山の総供養塔であったものと推定しています。
Q圓成寺五輪塔の高さはどのくらいですか?
A寺の説明では234.0センチメートル、およそ2.34メートルです。

基本データ

名称圓成寺五輪塔(えんじょうじごりんとう)
所在地奈良県奈良市忍辱山町(圓成寺の西南約200メートルの共同墓地内)
指定区分重要文化財(建造物)
指定年昭和32年(1957年)2月19日指定
員数1基
寸法石造五輪塔、高さ234.0センチメートル(寺の公表値)
所有者圓成寺
公開状況共同墓地内にあり外観を見学可。見学条件の公式案内はなし

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) 圓成寺五輪塔
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2515
忍辱山 圓成寺 境内文化財(五輪塔)
https://www.enjyouji.jp/treasure/p3.html
忍辱山 圓成寺 円成寺縁起
https://www.enjyouji.jp/about/index.html

最終更新日: 2026.09.26