岡橋家住宅瀬戸物蔵とは
岡橋家住宅瀬戸物蔵は、奈良県橿原市小槻町の岡橋家住宅で本蔵の南西に建つ明治20年(1887年)頃の土蔵で、令和2年(2020年)8月17日に登録有形文化財となった。登録番号は29-0309。
瀬戸物は、もとは瀬戸(愛知県)の窯で焼かれた焼き物を指し、のちに陶磁器の器全般を指す言葉になった。器をしまうための蔵を別に建てていたことは、大勢の客に膳を出す機会の多い家だったことをうかがわせる。
土蔵造2階建で、建築面積は24平方メートル。岡橋家住宅の蔵7棟では南米蔵(22平方メートル)に次いで小さい。一方で年代は蔵のなかでもっとも古く、大正6年(1917年)の主屋より30年ほど早い。
岡橋家住宅瀬戸物蔵が登録された理由
岡橋家住宅瀬戸物蔵の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、東面の戸口まわりを中心に装飾的に仕上げた点を挙げている。
大正期に主屋や本蔵が建てられたあとも、この明治の小さな蔵は使われ続けてきた。規模は小さいが、左官と大工が手をかけた仕上げが多く、蔵7棟のうちでもっとも手の込んだ1棟といえる。
この蔵が本蔵の南西、つまり屋敷の内側に建ち、戸口の装飾も庭の側を向いていることは、外への見せ方ではなく、屋敷の中から眺めたときの姿を大事にしたことを示している。
岡橋家住宅瀬戸物蔵の見どころ
屋根は置屋根形式の本瓦葺である。土蔵本体を厚い土の屋根で塗り固め、その上に別の木造の瓦屋根を載せる方式で、下の塗屋根が火を防ぎ、上の瓦屋根が雨を受ける。置屋根の軒裏は、垂木の形に漆喰で塗り込めてあり、塗り物でありながら木の軒のように見える。
腰には水切を廻し、その下を海鼠壁とする。平瓦を張り、目地の漆喰をかまぼこ形に盛り上げた壁で、白い格子の目が浮き上がる。窓には持送り付きの小庇を付ける。
いちばんの見せ場は東面の戸口である。庇を銅板葺とし、その庇を受ける持送は塗らずに素木造のまま木目を見せ、縁取りを木瓜形にしている。器を守るという用途には関わらない、見られることを意識した仕上げである。
岡橋家住宅瀬戸物蔵の見学方法
岡橋家住宅瀬戸物蔵は本蔵の南西、敷地の内側に建ち、装飾を施した東面も屋敷の内側を向いている。外周の道路から見ることはできず、内部も公開されていない。
岡橋家住宅は私有地で、一般公開の案内は出ていない(2026年9月確認)。屋敷への行き方は岡橋家住宅のページにまとめてある。
Q&A
- 岡橋家住宅瀬戸物蔵には何を納めていたのですか。
- 名前のとおり、陶磁器の器を納めた蔵と考えられます。瀬戸物はもとは瀬戸の窯の産品を指し、のちに陶磁器全般の呼び名になりました。
- 岡橋家住宅瀬戸物蔵はいつ建てられ、いつ登録されましたか。
- 明治20年(1887年)頃の建築で、岡橋家住宅の蔵7棟のうちもっとも古い蔵です。令和2年(2020年)8月17日に登録有形文化財となりました。
- 岡橋家住宅瀬戸物蔵の置屋根とは何ですか。
- 土蔵本体を塗り固めた屋根の上に、別に木造の瓦屋根を架ける形式です。下の塗屋根が防火を、上の瓦屋根が雨を受け持ちます。
- 岡橋家住宅瀬戸物蔵の戸口にはどのような装飾がありますか。
- 東面の戸口に銅板葺の庇を付け、それを受ける持送を素木のまま見せ、縁取りを木瓜形にしています。
- 岡橋家住宅瀬戸物蔵は見学できますか。
- できません。岡橋家住宅は非公開の私有地で、瀬戸物蔵は敷地の内側に建つため道路からも見えません。
基本情報
| 名称 | 岡橋家住宅瀬戸物蔵(おかはしけじゅうたくせとものぐら) |
|---|---|
| 所在地 | 奈良県橿原市小槻町586-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 令和2年(2020年) |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 土蔵造2階建、建築面積24平方メートル |
| 所有者 | 清光林業株式会社 |
| 公開状況 | 非公開 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)岡橋家住宅瀬戸物蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013436
- 文化遺産オンライン 岡橋家住宅瀬戸物蔵
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/404801
- 橿原市公式ホームページ 国指定文化財一覧表
- https://www.city.kashihara.nara.jp/soshiki/1058/gyomu/3/5/3670.html
最終更新日: 2026.10.04