稲荷神社本殿(新潟市)とは
稲荷神社本殿は、新潟市北区葛塚にある文化12年(1815年)建築の切妻造の本殿で、平成20年(2008年)7月8日に国の登録有形文化財となった。
読みは「いなりじんじゃほんでん」。葛塚の氏神としてまつられてきた稲荷神社(新潟市)の本殿で、前に建つ拝殿とは幣殿でつながっている。拝殿及び幣殿も同じ時期に建てられ、同じ日に登録された。
稲荷神社本殿は境内の東北の隅に、西を向いて建つ。木造平屋建で、屋根は切妻造の瓦葺、規模は桁行3間・梁間2間、建築面積は14平方メートルある。正面と両側面には高欄付きの切目縁をめぐらせ、正面中央に木階(きざはし)を設けている。
稲荷神社本殿が登録された理由
稲荷神社本殿は第60回の登録で、登録番号は15-0299。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。
文化庁の解説は、規模が大きく、構造に見応えがあることを挙げている。正面3間・奥行2間の本殿を、寺社建築で格の高い手法を重ねて組み上げている点が、この建物の価値になっている。
柱は円柱で、上端をすぼめた粽(ちまき)を付ける。柱の上に載る組物は、壁面から一段だけ外へ持ち出す出組で、組物の上には、曲面の板を張った支輪をめぐらせる。妻(切妻の三角形の面)には虹梁を二重に架け、大瓶束を立てて、壁面から2段に持ち出す構成としている。小さな社殿では省かれることの多い手間が、建物の隅々に掛けられている。
稲荷神社本殿の見どころ
まず見たいのは妻の飾りである。下の虹梁から大瓶束が立ち、その上にもう1本の虹梁が渡されて、さらに束が棟へと続く。文化庁の解説がいう「2段に持ち出す」とは、この妻飾りが壁面より前へ段をつけて張り出していることを指す。正面からより、少し斜めの位置から眺めたほうが張り出しの段がつかみやすい。
次に柱の頭。円柱の上端が粽ですっと細くなり、そこに出組の組物が載る。組物の上では、支輪の曲面が軒裏へ向かってせり上がっていく。
縁まわりも見落とせない。高欄付きの切目縁が正面と両側面をめぐり、背面だけは縁を持たない。参拝者に向ける面と、神の座所として閉じた背面とが、はっきり作り分けられている。
稲荷神社本殿の見学
稲荷神社本殿は拝殿と幣殿の奥、境内の東北の隅にある。参道の正面からは拝殿の陰になりやすいので、妻の飾りや側面の縁は、境内の南側へ回って見ることになる。内部の公開や特別公開の案内は見当たらない。
撮影に関する掲示や案内も確認できなかった。参拝や祭礼の妨げにならない範囲で、外観を撮るにとどめたい。境内への行き方と祭礼の日程は、稲荷神社(新潟市)のページにまとめてある。
Q&A
- 稲荷神社本殿(新潟市)はいつ建てられましたか?
- 文化12年(1815年)の建築です。拝殿及び幣殿も同じころに建てられました。
- 稲荷神社本殿(新潟市)はいつ登録有形文化財になりましたか?
- 平成20年(2008年)7月8日に、拝殿及び幣殿・神輿庫・開市神社拝殿とともに登録されました。登録番号は15-0299です。
- 稲荷神社本殿(新潟市)はどのような建物ですか?
- 桁行3間・梁間2間、建築面積14平方メートルの切妻造の本殿です。正面と両側面に高欄付きの切目縁をまわし、正面に木階を付けています。
- 稲荷神社本殿(新潟市)の見どころは何ですか?
- 二重の虹梁と大瓶束で2段に持ち出した妻飾り、上端に粽を付けた円柱、出組の組物と支輪です。
- 稲荷神社本殿(新潟市)の中は見られますか?
- 内部公開の案内はありません。拝殿の奥にあるため、外観は境内の南側へ回って見るのがよいでしょう。
基本情報
| 名称 | 稲荷神社本殿 |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県新潟市北区葛塚字相生町3293 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成20年(2008年)7月8日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 建築面積14平方メートル(桁行3間、梁間2間) |
| 所有者 | 宗教法人稲荷神社 |
| 公開状況 | 外観は境内から見学可、内部公開の案内なし |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):稲荷神社本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007198
- 文化遺産オンライン:稲荷神社本殿
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/191920
- 新潟市:市内の国登録文化財一覧
- https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/rekishi/bunkazai/ichiran/touroku.html
- 新潟市北区郷土博物館:説明板「稲荷神社(国登録文化財 葛塚)」(PDF)
- https://www.city.niigata.lg.jp/kita/shisetsu/yoka/bunka/kyodo/webhakubutukan/setumeiban2.files/inarijinja.pdf
最終更新日: 2026.10.05