稲荷神社神輿庫(新潟市)とは

稲荷神社神輿庫は、新潟市北区葛塚にある江戸末期(1830〜1867年)建築の神輿を納める庫で、平成20年(2008年)7月8日に国の登録有形文化財となった。

読みは「いなりじんじゃみこしぐら」。稲荷神社(新潟市)の境内で、本殿の南に建つ。文化12年(1815年)の本殿や拝殿及び幣殿よりやや後の建物だが、同じ日にそろって登録された。

稲荷神社神輿庫は木造平屋建で、規模は桁行4.5メートル・梁間3.6メートル、建築面積は21平方メートル。屋根は切妻造の桟瓦葺で、正面に1間の向拝を付けている。倉庫でありながら、外から見ると小さな社殿と見分けがつきにくい。

稲荷神社神輿庫が登録された理由

稲荷神社神輿庫は第60回の登録で、登録番号は15-0301。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。

文化庁の解説は、この建物を「切妻社殿風の特異な外観」をもつ神輿庫と評している。神輿を雨風から守るだけなら、板壁に屋根を架けた簡素な小屋で足りる。ここでは柱を角柱としながらも、柱の上に三斗組の組物を据え、妻には虹梁を二重に架けて蟇股を飾る。社殿に用いる手法を、収蔵庫にそのまま持ち込んでいるのである。

軒は、垂木を一段だけ間隔をあけて並べる一軒疎垂木(ひとのきまばらだるき)とし、細部を抑えている。内部は床をモルタル仕上げにした1室で、天井は格天井。その天井板には花鳥が描かれている。実用一点張りのモルタルの床と、拝殿と同じく花鳥を描いた天井とが、一つの部屋に同居している。

稲荷神社神輿庫の見どころ

まず正面に立ち、向拝の屋根の出を確かめたい。切妻の屋根から一段下げて差し出された向拝が、倉の正面を社殿の正面のように見せている。

次に妻を見上げる。下の虹梁の上に蟇股を据え、さらに上の虹梁へ荷重を渡す二重虹梁蟇股の構成で、本殿の妻(二重虹梁大瓶束)と比べると、同じ二重の虹梁を使いながら束の形が違うことに気づく。境内の数十歩の範囲で、時代の異なる二つの妻飾りを見比べられる。

柱が丸柱ではなく角柱であることも、本殿との違いである。格式を示す組物と、倉庫らしい角柱との取り合わせに、この建物の性格がよく表れている。

稲荷神社神輿庫の見学

稲荷神社神輿庫は本殿の南にあり、拝殿の前から境内の南側へ回ると近づける。外観は境内から見られるが、内部の公開や特別公開の案内は見当たらず、格天井の花鳥画を見る機会があるかどうかは確認できなかった。

撮影に関する掲示や案内も確認できていない。参拝や祭礼の妨げにならない範囲で、外観を撮るにとどめたい。境内への行き方と祭礼の日程は、稲荷神社(新潟市)のページにまとめてある。

Q&A

Q稲荷神社神輿庫(新潟市)はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースでは江戸末期(1830〜1867年)の建築とされています。文化12年(1815年)の本殿や拝殿及び幣殿よりも後の建物です。
Q稲荷神社神輿庫(新潟市)はいつ登録有形文化財になりましたか?
A平成20年(2008年)7月8日に、本殿・拝殿及び幣殿・開市神社拝殿とともに登録されました。登録番号は15-0301です。
Q稲荷神社神輿庫(新潟市)はどのような建物ですか?
A桁行4.5メートル・梁間3.6メートル、建築面積21平方メートルの切妻造桟瓦葺の庫で、正面に1間の向拝を付けています。内部は床モルタルの1室で、格天井には花鳥が描かれています。
Q稲荷神社神輿庫(新潟市)は何が珍しいのですか?
A神輿を納める倉でありながら、三斗組の組物や二重虹梁蟇股の妻飾りなど社殿の手法を用いた「切妻社殿風」の外観をもつ点です。
Q稲荷神社神輿庫(新潟市)の中は見られますか?
A内部公開の案内はありません。外観は本殿の南側、境内から見ることができます。

基本情報

名称稲荷神社神輿庫
所在地新潟県新潟市北区葛塚字相生町3293
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成20年(2008年)7月8日登録
員数1棟
寸法桁行4.5メートル、梁間3.6メートル、建築面積21平方メートル
所有者宗教法人稲荷神社
公開状況外観は境内から見学可、内部公開の案内なし

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):稲荷神社神輿庫
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007200
国指定文化財等データベース(文化庁):稲荷神社本殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007198
文化遺産オンライン:稲荷神社神輿庫
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/172502
新潟市:市内の国登録文化財一覧
https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/rekishi/bunkazai/ichiran/touroku.html

最終更新日: 2026.10.05