開市神社拝殿(新潟市)とは

開市神社拝殿は、新潟市北区葛塚の稲荷神社境内にある明治4年(1871年)建築の拝殿で、昭和44年(1969年)に移築・改修され、平成20年(2008年)7月8日に国の登録有形文化財となった。

読みは「かいちじんじゃはいでん」。開市神社は稲荷神社(新潟市)の境内社で、葛塚市の開設に尽くした葛塚の庄屋、遠藤家の3人を祭神とする。新潟市北区郷土博物館の説明板によれば、祭神は遠藤七郎左衛門宗寿、遠藤七郎左衛門国忠、遠藤七郎昭忠である。

開市神社拝殿は稲荷神社拝殿の南に、北を向いて建つ。木造平屋建の瓦葺で、建築面積は20平方メートル。本体は桁行3間・梁間2間の入母屋造桟瓦葺で、のちに側面と背面へ1間通りが増築された。

開市神社の成り立ちと開市神社拝殿の移築

説明板によると、始まりは文久3年(1863年)である。この年、遠藤七郎左衛門宗寿が葛塚の稲荷神社と石動神社の境内にそれぞれまつられた。稲荷神社では、葛塚市を開くことに尽くした開市の神として、町の人々がまつったという。宗寿の働きで市が開かれたのは宝暦11年(1761年)で、葛塚市は現在も毎月1・5・10・15・20・25日に立っている。

翌年には、葛塚の分裂騒動を収めて庄屋として力を尽くした七郎左衛門国忠も合祀された。明治4年(1871年)、田畑を埋め立てて常盤町が開かれると、その記念に両境内の祠を合わせて、常盤町に開市神社が建てられた。現在の開市神社拝殿はこのときの社殿である。

昭和3年(1928年)には、幕末に北辰隊の隊長として働いた七郎昭忠が従五位を追贈され、町の人々はこれを記念して昭忠も合祀した。昭和44年(1969年)、神社は常盤町から稲荷神社の境内へ移り、明治4年の社殿もいっしょに移築された。

開市神社拝殿が登録された理由

開市神社拝殿は第60回の登録で、登録番号は15-0302。同じ日に登録された稲荷神社の3棟が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」とされたのに対し、開市神社拝殿は「造形の規範となっているもの」として登録された。

理由は意匠にある。文化庁の解説によれば、正面の1間の向拝は、柱・貫・桁を鳥居のような形に造っている。社殿の正面に、参道の入口に立つはずの鳥居の形を組み込んだことになる。

軒は、腕木などで軒桁を外へ持ち出すせがい造とし、垂木を一段で密に並べる一軒繁垂木(ひとのきしげだるき)とする。文化庁はこれらを社殿としては珍しい仕様と評している。

開市神社拝殿の見どころ

正面に立ったら、向拝の柱と、柱を貫いて横に通る貫、その上の桁の組み合わせを見たい。2本の柱に横材を渡した形が、そのまま鳥居の姿に重なる。くぐる鳥居ではなく、拝殿の顔として据えられた鳥居である。

次に軒先。せがい造で前へ持ち出した軒桁の下に、繁垂木が細かく並ぶ。増築された側面と背面の1間通りは、本体の入母屋の屋根とどう取り合っているかを、側面に回って確かめるとよい。

境内には、七郎昭忠の顕彰碑と、その弟の遠藤八郎をまつる「遠藤興国霊神」の石碑もある。説明板によれば、後者は八郎が教えた寺子屋の教え子たちによって明治33年(1900年)に建てられたと伝わる。

開市神社拝殿の見学

開市神社拝殿は稲荷神社拝殿の南にあり、北を向いているので、稲荷神社の拝殿前から南へ進むと正面に向き合える。外観は境内から見られるが、内部の公開や特別公開の案内は見当たらない。撮影に関する掲示や案内も確認できなかったので、参拝の妨げにならない範囲で外観を撮るにとどめたい。

説明板によれば、開市神社の祭礼は10月9日〜10日である。葛塚市開設の許しが出た宝暦11年(1761年)旧暦10月8日にちなみ、かつては11月8日に行われていた。境内への行き方は、稲荷神社(新潟市)のページにまとめてある。

Q&A

Q開市神社拝殿(新潟市)はいつ建てられましたか?
A明治4年(1871年)に常盤町で建てられ、昭和44年(1969年)に稲荷神社の境内へ移築・改修されました。
Q開市神社拝殿(新潟市)はいつ登録有形文化財になりましたか?
A平成20年(2008年)7月8日に、稲荷神社の本殿・拝殿及び幣殿・神輿庫とともに登録されました。登録番号は15-0302、登録基準は「造形の規範となっているもの」です。
Q開市神社拝殿(新潟市)の「開市」とは何ですか?
A葛塚に市を開くことを指します。宝暦11年(1761年)の葛塚市開設に尽くした庄屋の遠藤七郎左衛門宗寿を開市の神としてまつったのが神社の始まりです。
Q開市神社拝殿(新潟市)の見どころは何ですか?
A柱・貫・桁を鳥居風に造った正面の向拝と、せがい造の一軒繁垂木の軒です。文化庁は社殿としては珍しい仕様と評しています。
Q開市神社拝殿(新潟市)の祭礼はいつですか?
A北区郷土博物館の説明板によると10月9日〜10日です。かつては11月8日に行われていました。

基本情報

名称開市神社拝殿
所在地新潟県新潟市北区葛塚字相生町3294-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成20年(2008年)7月8日登録
員数1棟
寸法建築面積20平方メートル(本体 桁行3間、梁間2間)
所有者宗教法人稲荷神社
公開状況外観は境内から見学可、内部公開の案内なし

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):開市神社拝殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007201
文化遺産オンライン:開市神社拝殿
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/187103
新潟市:市内の国登録文化財一覧
https://www.city.niigata.lg.jp/kanko/bunka/rekishi/bunkazai/ichiran/touroku.html
新潟市北区郷土博物館:説明板「開市神社(国登録文化財 葛塚 稲荷神社境内)」(PDF)
https://www.city.niigata.lg.jp/kita/shisetsu/yoka/bunka/kyodo/webhakubutukan/setumeiban2.files/kaiichijinjya.pdf
新潟市北区観光協会:葛塚市と開市神社
https://www.nk-kankou.com/gallery/otakara22/

最終更新日: 2026.10.05