正法寺鐘楼 ― 天井に絵をもつ方1間の吹放ち

正法寺鐘楼は、新潟県佐渡市泉甲の正法寺境内に建つ鐘楼で、文政3年(1820年)の建築、平成23年(2011年)に登録有形文化財となった。登録番号は15-0339である。

観音堂の南に位置する。方1間の吹放ち、面積6.6平方メートルという小さな建物で、棟を南北に通した入母屋造桟瓦葺を架ける。明治31年(1898年)に改修を受けており、正法寺の登録六棟のなかでは最後に手が入った建物にあたる。

小さくても崩れない外観

正法寺鐘楼の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、安定した外観になる小規模鐘楼と記す。面積わずか6.6平方メートルの建物に対する評価としては、外観の据わりの良さを正面から認めた言い方になっている。

鐘楼は寺の時を告げる建物で、規模が小さいぶん、柱の太さと屋根の重さの釣り合いを崩しやすい。正法寺鐘楼はそこを、基壇と柱の立て方、そして屋根形式の選択で解いている。

内転びの柱と格天井の絵

石積の基壇の上に礎石を置き、その上に方柱を立てる。この柱が垂直ではなく、上に向かってわずかに内側へ傾けられている。内転びと呼ばれる手法で、四本の柱が上でわずかに寄ることによって、見上げたときに建物が広がって見えず、下に向かって踏ん張る印象になる。

軸部は貫と台輪で固め、その上に三斗組を置く。組物と組物のあいだの中備には蟇股と蓑束が使い分けられている。垂木は二軒半繁垂木。方1間の建物に、規模の大きな仏堂と同じ手順が省略なしで積まれている。

正法寺鐘楼で最も目を引くのは天井である。格天井を張り、その一枡ごとに絵を描く。吹放ちで壁がないため、真下に立てば天井の絵をそのまま見上げられる。屋根の下に絵を隠さず、通りがかりの人の目に触れる場所に置いた作りになっている。

正法寺鐘楼の見学

正法寺鐘楼は壁のない吹放ちなので、四方どこからでも軸部と組物を見られる。柱の内転びは、正面から見るより、少し離れて柱の線を上下にたどるほうがわかりやすい。

格間の絵を見るなら、鐘楼の真下に立って見上げることになる。日中は屋根の下が暗く、絵柄を追うには目が慣れるまで少し待つほうがよい。正法寺鐘楼の北には観音堂が建っており、二棟をまとめて眺めるなら南側から見るとよい。

梵鐘を撞いてよいかどうかを示す掲示は確認できなかった。撞きたい場合は、寺(電話0259-63-2032)に確認したうえで判断したい。

Q&A

Q正法寺鐘楼はいつ建てられましたか?
A文政3年(1820年)の建築です。明治31年(1898年)に改修されています。
Q正法寺鐘楼はどのような建物ですか?
A方1間、面積6.6平方メートルの吹放ちの鐘楼で、南北に棟を通した入母屋造桟瓦葺の屋根を架けています。
Q正法寺鐘楼の見どころはどこですか?
A格天井の格間に描かれた絵です。壁のない吹放ちなので、真下に立てばそのまま見上げられます。
Q正法寺鐘楼の柱はなぜ傾いているのですか?
A内転びという手法で、方柱を上に向けてわずかに内側へ傾けています。小さな建物の外観を安定して見せる効果があります。
Q正法寺鐘楼の鐘は撞けますか?
A撞いてよいかどうかを示す掲示は確認できませんでした。寺(電話0259-63-2032)に確認してください。

基本情報

名称正法寺鐘楼
所在地新潟県佐渡市泉甲504
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成23年(2011年)登録
員数1棟
寸法方1間、面積6.6平方メートル
所有者宗教法人正法寺
公開状況外観は見学可

参考文献

国指定文化財等データベース 正法寺鐘楼(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008666
国登録 有形文化財:正法寺(佐渡市)
https://www.city.sado.niigata.jp/site/bunkazai/4967.html

最終更新日: 2026.09.13