屋敷の三方を回る最長の要素

久恒家住宅南塀は、大分県中津市大字上宮永にある大正13年(1924年)建設の煉瓦塀で、平成13年(2001年)に登録有形文化財となった。延長は117メートルある。

経路は長い。東側にある物置の南端から南へ下り、屋敷の南面をまるごと横切り、そこで北へ折れて裏門の南端に達する。東面の南半、南面、西面の南半という三方を1件で受け持つ。

久恒家住宅の15件のなかで、久恒家住宅南塀は最も長い。北塀の延長53メートルの2倍を超え、屋敷の外周のかなりの部分をこの1件が占める。塀を東西南北で分けず、南側をひと続きの登録としたことが、この数字を生んでいる。

登録が評価した点

久恒家住宅南塀の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、北塀と同じく屋敷構に欠かせない存在と評する。

屋敷の南面は、正門のある東面と並んで人目に触れる面である。約1000坪の敷地を囲う煉瓦塀が117メートルにわたって続く光景は、この一帯の景観をつくる大きな要素になっている。

構成は北塀と共通する。御影石の切石積を基礎とし、地覆石を廻し、煉瓦はイギリス積、上部を笠石で覆う。同じ設計で長さだけが違う、という関係にある。

見どころ

久恒家住宅南塀の見どころは、長さそのものである。117メートルという数字は読んだだけでは実感しにくいが、実際に端から端まで歩くと、屋敷の規模が体感に変わる。塀に沿って歩くだけで、約1000坪という敷地面積が具体的な距離として理解できる。

折れの位置にも注目したい。南面を横切ったあと北へ折れる角が、敷地の南西隅にあたる。角では煉瓦の積み方が直角に取り合い、笠石も角の形に加工される。直線部分より手のかかる部位で、そこを丁寧に納めているかどうかで塀の質が測れる。

基礎の石材は北塀と同じ御影石だが、記録上の仕上げの記述が異なる。北塀には瘤出し仕上げと明記されるのに対し、久恒家住宅南塀は切石積とのみ記される。実際に歩いて比べれば、石の表情の違いが確かめられるかもしれない。

文化庁データベースの構造欄は延長117メートル、解説文は総延長約116メートルとする。中津市教育委員会の文化財一覧も総延長約116メートルを採る。1メートルの差にとどまり、北塀のような大きな食い違いではない。

見学方法

久恒家住宅南塀は屋敷の南側と東西の南半に沿って公道に面しており、外から全体をたどることができる。北塀と合わせれば、屋敷の外周のほとんどを塀に沿って一周できる。

歩く順序としては、東面の物置南端あたりから南へ下り、南面を西へ進み、南西の角で北に折れて裏門に出るのがよい。終点の裏門から北塀に接続するので、そのまま北塀へ進めば屋敷を一周したことになる。

塀の内側は個人の敷地である。塀越しに中をのぞく行為は控え、観察は塀の外面と基礎、笠石にとどめたい。

撮影は公道からに限る。屋敷への行き方と見学の条件は、久恒家住宅のページにまとめてある。

よくある質問

Q久恒家住宅南塀の長さはどのくらいですか。
A文化庁データベースの構造欄は延長117メートル、解説文と中津市教育委員会の文化財一覧は総延長約116メートルとしています。屋敷15件のなかで最も長い要素です。
Q久恒家住宅南塀はどこを通っていますか。
A東側の物置の南端から南へ下り、屋敷の南面を横切って北へ折れ、裏門の南端に達します。東面の南半、南面、西面の南半の三方を受け持ちます。
Q久恒家住宅南塀の構成はどうなっていますか。
A御影石の切石積を基礎とし、地覆石を廻し、煉瓦はイギリス積、上部を笠石で覆います。北塀と同じ構成です。
Q久恒家住宅南塀と北塀はどちらが長いですか。
A南塀です。南塀は延長117メートル、北塀は延長53メートルで、南塀が2倍を超えます。
Q久恒家住宅南塀は見学できますか。
A公道に面しているため、外面と基礎、笠石を歩きながら観察できます。塀の内側は個人の敷地で立ち入れません。

基本データ

名称久恒家住宅南塀
所在地大分県中津市大字上宮永3-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成13年(2001年)8月28日登録
員数1棟
寸法煉瓦造、延長117メートル
所有者個人
公開状況非公開。公道からの外観見学のみ

参考文献

国指定文化財等データベース 久恒家住宅南塀(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002341
中津市の文化財について(中津市)
https://www.city-nakatsu.jp/doc/2024101700025/
国指定・選定等文化財一覧(大分県)
https://www.pref.oita.jp/kyoiku/tmp/bunka/post-101/1.pdf
国・県・市指定文化財一覧 令和6年(2024年)8月1日現在(中津市教育委員会 歴史博物館)
https://www.city-nakatsu.jp/doc/2024101700025/file_contents/shiteibunkazai.pdf

最終更新日: 2026.09.14