旧犬養家住宅とはどのような建物か
旧犬養家住宅(岡山県岡山市川入)は、岡山県岡山市北区川入にある江戸中期の農家建築で、昭和53年(1978年)1月21日に重要文化財に指定された。指定の対象は主屋と土蔵の2棟、附として家相図1枚が加えられている。
犬養家は代々この地方の大庄屋や郡奉行を務めた旧家で、一時は庭瀬藩の藩士に取り立てられたこともあると伝わる。旧犬養家住宅の規模は、田畑からの収入だけでは説明がつかない。村々を束ねる役目を担った家であったことが、そのまま建物の大きさに出ている。
この家で安政2年(1855年)に次男として生まれたのが犬養毅、号を木堂という。第一回衆議院議員選挙で当選して以後連続して議席を守り、昭和6年(1931年)12月に第29代内閣総理大臣となったが、翌年5月15日、首相官邸で海軍青年将校らの銃弾を受けて死去した。旧犬養家住宅を訪ねる人の関心は、建築とこの経歴の両方に向いている。
指定の理由と建物の構成
決め手は屋根瓦だった。この時代の農家は茅葺や板葺が普通で、重い粘土瓦の本瓦葺は費用がかさむうえ、それを支えられる骨組みを必要とする。旧犬養家住宅の主屋は全面を瓦で葺いており、文化庁はこれを、屋根を本瓦葺とした数少ない農家の遺例であり質が良いと評価している。
主屋は桁行17.9メートル、梁間11.0メートル。切妻造の屋根に南面・東面・西面の庇が付き、北面には突出部が付属する。内部は3室ずつ2列に並ぶ六間取で、南に座敷・中の間・上端、北に納戸・部屋・台所が並ぶ。納戸の北には蔵前の部屋があり、そこから土蔵に通じる。
土蔵は土蔵造、桁行8.9メートル、梁間5.0メートルの二階建で、屋根は本瓦葺の切妻造である。使い方は南北で分かれており、南側が板敷きの内蔵、北側が外蔵にあたる。
居室のまわりでは屋根が一段下がってしころ葺きとなり、その外に縁側が回る。正面から見ただけでは気づきにくい高さの変化なので、旧犬養家住宅では建物の側面まで歩いてみてほしい。
いま見ている建物は何なのか
現在の姿は復元である。この言葉を正確に受け取ってほしい。20世紀に入るころには当初の間取りから改造が進んでいた。昭和51年(1976年)に犬養家から岡山県へ寄贈され、大本組が創業70年の記念事業として無償施工で解体修復にあたった。
工事の根拠になったのは2種類の資料である。残された部材に付いた柱や梁の痕跡と、19世紀に描かれた家相図、つまり重要文化財の附として指定されているあの一枚である。両者を突き合わせて、旧犬養家住宅は正徳年間(1711年から1716年)に4代目源左衛門が建て替えたときの姿に戻された。
したがってこの建物は、18世紀初期の状態を根拠をもって組み直したものであって、手つかずのまま残った建築ではない。隣の展示ケースに収まる家相図は、その判断の材料そのものである。それを知って入ると、内部の見え方が変わる。土間に架かる太い梁と、各室の整ったたたずまいが大庄屋の家を示す指標であり、修復が取り戻そうとしたのもその質だった。
生家と記念館の間には小川が流れている。生家側に建つのが木堂塾で、父を亡くした木堂が門脇の一室で読み書きを教えていたという逸話にちなんで建てられた。
旧犬養家住宅の見学方法
旧犬養家住宅は、岡山県が平成5年(1993年)に隣地へ設けた犬養木堂記念館の見学施設として公開されている。入館料は無料で、常設展も企画展も無料で見られる。開館時間は午前9時から午後5時、入館は午後4時30分までである。
休館日は火曜日(祝休日を除く)と祝休日の翌日(土曜日・日曜日を除く)、および12月28日から1月4日まで。自由に見学する場合は予約が要らない。2週間前までに申し込めば職員が展示と生家を案内し、所要時間は1時間程度になる。
記念館は展示品の撮影を控えるよう求めており、敷地内は全面禁煙である。生家について撮影の規定は示されていないので、受付で確認するとよい。なお、記念館はバリアフリー化されているが、旧犬養家住宅には段差がある。車椅子やベビーカーで訪れる場合は先に知っておきたい。
JR山陽本線の庭瀬駅からはタクシーで約5分、歩けば約2キロメートルを約25分。岡山駅後楽園口(東口)の5番のりばから中庄駅・倉敷駅行きのバスに乗り、庭瀬本町で降りると約1キロメートル、徒歩約15分である。車では総社インターチェンジから約20分、岡山インターチェンジから約25分、倉敷インターチェンジから約20分。駐車場から記念館までは「木堂こみち」の標識をたどって徒歩約5分かかる。
Q&A
- 旧犬養家住宅は見学できますか。入館料はかかりますか
- 見学できます。犬養木堂記念館の見学施設として公開されており、入館料は無料です。常設展・企画展とも無料で、自由に見学する場合は予約も要りません。
- 旧犬養家住宅の開館時間と休館日を教えてください
- 午前9時から午後5時まで、入館は午後4時30分までです。休館日は火曜日(祝休日を除く)、祝休日の翌日(土曜日・日曜日を除く)、および12月28日から1月4日までです。
- 電車やバスで旧犬養家住宅へ行くにはどうすればよいですか
- JR山陽本線の庭瀬駅からタクシーで約5分、徒歩なら約2キロメートルを約25分です。岡山駅東口の5番のりばから中庄駅・倉敷駅行きのバスに乗り、庭瀬本町で降りて徒歩約15分という経路もあります。
- 旧犬養家住宅は当初のまま残った建物ですか
- 昭和51年(1976年)の寄贈後に解体修復され、部材に残る痕跡と19世紀の家相図をもとに、正徳年間(1711年から1716年)の姿に復元されています。部材は古いものですが、間取りは根拠に基づく復元です。
- 旧犬養家住宅で写真を撮れますか。段差はありますか
- 記念館は展示品の撮影を控えるよう求めており、生家についての規定は示されていないため受付でご確認ください。記念館はバリアフリーですが、生家には段差があります。
基本情報
| 名称 | 旧犬養家住宅(岡山県岡山市川入) |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県岡山市川入102番地 |
| 指定区分 | 重要文化財 |
| 指定年 | 昭和53年(1978年)1月21日 |
| 員数 | 2棟(主屋、土蔵)。附として家相図1枚 |
| 寸法 | 主屋 桁行17.9メートル、梁間11.0メートル/土蔵 桁行8.9メートル、梁間5.0メートル |
| 所有者 | 岡山県 |
| 公開状況 | 犬養木堂記念館の見学施設として公開。午前9時から午後5時(入館は午後4時30分まで)。入館無料。火曜日、祝休日の翌日、12月28日から1月4日は休館 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 旧犬養家住宅(岡山県岡山市川入) 主屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/3003
- 国指定文化財等データベース 旧犬養家住宅(岡山県岡山市川入) 土蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/3004
- 犬養木堂記念館 記念館概要
- https://inukaibokudo.jp/kgaiyo.html
- 犬養木堂記念館 開館時間・休館日
- https://inukaibokudo.jp/open.html
- 犬養木堂記念館 交通アクセス
- https://inukaibokudo.jp/kotu.html
- 犬養木堂記念館 団体・グループでのご見学
- https://inukaibokudo.jp/annai.html
- 犬養木堂記念館 木堂とは
- https://inukaibokudo.jp/boku.html
- 岡山県 アートプロジェクトおかやま 犬養木堂記念館
- https://www.pref.okayama.jp/site/art/629640.html
最終更新日: 2026.09.09
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