旧永瀬家住宅主屋とは
旧永瀬家住宅主屋は、岡山県赤磐市松木にある明治前期(1868〜1882年)の木造2階建の町家で、詩人永瀬清子が生まれた家の母屋にあたり、平成29年(2017年)10月27日に国の登録有形文化財となった。
屋根は入母屋造で、文化庁のデータベースによれば鉄板葺、一部が瓦葺である。建築面積は87平方メートル。いまは「清子の家」の母屋として、1階と2階がギャラリーに使われている。
永瀬清子は明治39年(1906年)にこの家で生まれ、2歳で父の任地へ移ったのち、終戦前後に39歳で戻ってきた。それから岡山市へ移るまでのおよそ20年、農作業と子育ての合間に詩を書いたのが、この旧永瀬家住宅主屋である。
旧永瀬家住宅主屋が登録有形文化財になった理由
旧永瀬家住宅主屋の登録番号は33-0280で、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、同じ日に旧永瀬家住宅井戸も同じ基準で登録されている。
文化庁の解説は、間取りの特徴として次の3点を挙げている。正面の左に入口を開き、そこからやや形の整わない土間が奥へ通ること。奥の土間にレンガを四半敷にしていること。床上部が田の字型に4室を並べ、2階もほぼ同じ構成をとること。そのうえで、日本の女性詩人の草分けと言われた永瀬清子の生家として、地元で広く親しまれていることにも触れている。
赤磐市の文化財一覧も、旧永瀬家住宅主屋を明治前期の建築と伝えられる町家と紹介し、清子の生家であることを添えている。
旧永瀬家住宅主屋の見どころ
斜めに敷かれたレンガの土間
入口から奥へ進むと、足元が土からレンガに変わる。正方形のレンガを壁の線に対して45度振って並べた四半敷で、目地が菱形の格子を描く。手前の土間は文化庁の解説が「やや不整形」と書くとおり輪郭がまっすぐでなく、奥のレンガ敷きの整った幾何学模様との違いが際立つ。
田の字型の4室と2階
土間に沿う床上部は、4つの部屋が田の字に並ぶ。2階もほぼ同じ割り付けで、上下で部屋の位置を見比べると構成の素直さが分かる。保存会は2階の展示を「さっき清子がいた」と名づけ、清子の詩集や写真のほか、清子の詩を書き写す「写詩コーナー」を設けている。
2階の床の間と窓からの眺め
保存会は、2階の床の間に螺鈿の細工があることを見どころとして紹介している。2階からは、清子も眺めた新田山と田んぼの景色が見える。詩の背景になった景色を、詩が書かれた旧永瀬家住宅主屋の2階の高さから確かめられる。
保存会が手を入れた屋根と構造
旧永瀬家住宅主屋は、保存会が平成23年(2011年)に屋根を改修し、その後に耐震補強を含む改修を重ねて現在の姿になった。費用はすべて民間の寄付でまかなわれている。主屋に電灯がともったのは、令和6年(2024年)2月のことである。
旧永瀬家住宅主屋の見学方法
旧永瀬家住宅主屋は「清子の家」の開館日に内部まで見学できる。1階はギャラリー「八十八草」と売店・書店、2階はギャラリー「さっき清子がいた」で、1階では清子のドキュメンタリー「イトハルカナル」(35分)も上映している。売店と書店だけなら入館料はかからない。
レンガの土間は入口から奥へ進んだ先にあるので、入館したらまず土間を奥まで歩いてから座敷と2階に上がると、文化庁の解説が挙げる順に間取りをたどれる。主屋から石段を下りると、釜屋と離れへ続く。
館内での写真撮影について、保存会のウェブサイトに定めは見当たらない。撮りたい場合は受付で確かめておきたい。開館時間・入館料・行き方は旧永瀬家住宅のページにまとめてある。
Q&A
- 旧永瀬家住宅主屋はどんな建物ですか?
- 明治前期(1868〜1882年)に建てられた木造2階建、入母屋造の町家で、建築面積は87平方メートルです。詩人永瀬清子の生家の母屋にあたります。
- 旧永瀬家住宅主屋が登録有形文化財になったのはいつですか?
- 平成29年(2017年)10月27日です。登録番号は33-0280、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、同じ日に旧永瀬家住宅井戸も登録されました。
- 旧永瀬家住宅主屋の中に入れますか?入館料はいくらですか?
- 「清子の家」の開館日に入れます。開館時間は午前10時から午後4時(最終入館午後3時30分)、入館料は1,000円で17歳未満は無料です。水曜・木曜、8月、年末年始は休館で、令和9年(2027年)1月からは土・日・月曜の開館に変わる予定です。
- 旧永瀬家住宅主屋の四半敷の土間はどこにありますか?
- 正面左の入口から入って土間を奥へ進んだところです。正方形のレンガを45度振って敷いた四半敷で、レンガ敷きになっているのは奥の土間です。
- 旧永瀬家住宅主屋の館内で写真を撮れますか?
- 保存会のウェブサイトには撮影についての定めが載っていません。撮影したい場合は、入館時に受付で確認してください。
基本情報
| 名称 | 旧永瀬家住宅主屋 |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県赤磐市松木691 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成29年(2017年)10月27日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造2階建、建築面積87平方メートル |
| 所有者 | 特定非営利活動法人永瀬清子生家保存会 |
| 公開状況 | 「清子の家」として公開(午前10時〜午後4時、入館料1,000円、水曜・木曜ほか休館) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース「旧永瀬家住宅主屋」(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012027
- 旧永瀬家住宅主屋(赤磐市 赤磐の文化財)
- https://www.city.akaiwa.lg.jp/bunkazai/ichiran/syubetsu/kenzou/3824.html
- 詩人・永瀬清子(赤磐市 熊山公民館 永瀬清子展示室)
- https://www.city.akaiwa.lg.jp/annai/kyouikuiinkai/kumayama/tenjisitu/kiyoko.html
- 赤磐ゆかりの詩人永瀬清子さんをもっと知りたくて(赤磐市)
- https://www.city.akaiwa.lg.jp/iju/akaiwakoe/shiminraita/9895.html
- 「清子の家」見学(NPO法人永瀬清子生家保存会)
- https://www.nagasekiyoko-hozonkai.jp/kengaku/
- 保存会の歩み(NPO法人永瀬清子生家保存会)
- https://www.nagasekiyoko-hozonkai.jp/hozonkai/
- NPO法人永瀬清子生家保存会
- https://www.nagasekiyoko-hozonkai.jp/
最終更新日: 2026.10.02