由加神社拝殿及び幣殿とは

由加神社拝殿及び幣殿は、岡山県倉敷市児島由加の由加神社境内に建つ江戸時代の社殿で、棟札写しから安永6年(1777年)の建築と考えられ、令和6年(2024年)8月15日に国の登録有形文化財に登録された。

読みは「ゆがじんじゃはいでんおよびへいでん」。参拝者が手を合わせる拝殿と、その背後で本殿へつなぐ幣殿が一体になった建物で、文化庁の登録上は1棟として扱われる。木造平屋建、銅板葺で、建築面積は142平方メートル。境内北側に切石でやや高く築いた基壇の上に南を向いて建ち、奥に本殿が控える。

岡山県の調査資料によれば、建築年代は棟札の写しから安永6年とみられ、虹梁や木鼻の彫刻・文様にも安永期ごろの特徴が認められる。その61年後、天保9年(1838年)に正面へ向唐破風造の向拝が増築された。由加神社拝殿及び幣殿のいまの正面は、この二つの時期の仕事が重なってできている。

由加神社拝殿及び幣殿が登録された理由

登録は第107回登録、登録番号33-0367、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。

岡山県の資料は、由加神社拝殿及び幣殿の価値を三つの点から説明している。一つは形式の独特さで、入母屋造平入の拝殿に千鳥破風と3間の向拝を設け、さらにその前へ向唐破風造の向拝を突き出すという、重ねた正面をもつ。二つ目は装飾の濃さで、彫刻と錺金具がびっしりと施され、意匠と技術の両面で評価が高い。三つ目は建築年代がはっきりしていることで、歴史資料としての確かさがある。

背面には切妻造銅板葺の幣殿が北へ延びる。拝殿の規模は比較的大きく、文化庁の解説は「装飾濃密な向拝」をもつ独特な形式の社殿と要約している。

由加神社拝殿及び幣殿の見どころ

まず正面の南西寄りから全体を眺めたい。文化庁のデータベースに載る写真もこの角度から撮られている。入母屋の大屋根に千鳥破風が乗り、その下に3間幅の向拝、さらに手前に丸く反った向唐破風の屋根が一段低く突き出している。屋根の線が奥から手前へ三重に重なって見えるのは、天保の増築があったからこそだ。

次に、向唐破風の向拝の下に入って軒を見上げる。文化庁が2枚目の写真に選んだのもこの見上げで、彫刻と錺金具が軒裏までびっしりと詰まっているのが分かる。天保の向拝を見たら、その奥にある安永の向拝の虹梁と木鼻にも目を移したい。岡山県の資料が年代の手がかりに挙げているのは、この部分の彫刻と文様である。

神社の由緒によれば、由加山は朝廷の祈願所として栄え、拝殿には菊花の御紋章を拝受しているという。幣殿と本殿は拝殿の背後に続くので、本殿東隣の三宝荒神社本殿のほうへ回ると、由加神社拝殿及び幣殿の幣殿部分が北へ延びていく様子を横から確かめられる。

由加神社拝殿及び幣殿の見学

由加神社拝殿及び幣殿は、開門時間内であれば拝殿の前から自由に参拝・見学できる。拝観料はかからない。拝殿の内部を見学用に公開しているという案内は神社の公式サイトには見当たらず、外観を見る形になると考えておきたい。

神社の境内図では祈祷の受付が午前9時から午後4時となっており、祈祷のあいだは拝殿の前も人の出入りが多くなる。撮影について神社の公式サイトに定めは見当たらないが、祈祷や参拝の人がいるときは正面に立ち続けない配慮が要る。境内への行き方と開門時間は由加神社のページにまとめてある。

Q&A

Q由加神社拝殿及び幣殿はいつ建てられたのですか?
A岡山県の調査資料によれば、棟札の写しから安永6年(1777年)の建築と考えられます。正面の向唐破風造の向拝は、天保9年(1838年)に増築されました。
Q由加神社拝殿及び幣殿はいつ登録有形文化財になりましたか?
A令和6年(2024年)8月15日に、第107回登録として国の登録有形文化財に登録されました。登録番号は33-0367で、同じ日に境内の三宝荒神社本殿と大鳥居も登録されています。
Q由加神社拝殿及び幣殿の建物としての特徴は何ですか?
A入母屋造平入の拝殿に千鳥破風と3間の向拝を設け、その前にさらに向唐破風造の向拝を突き出した、正面が二重になった形式です。背面には切妻造銅板葺の幣殿が延び、全体は木造平屋建、建築面積142平方メートルです。
Q由加神社拝殿及び幣殿の中に入って見学できますか?
A拝殿の内部を見学用に公開する案内は神社の公式サイトに見当たりません。開門時間内に拝殿の前から参拝し、外観を見る形になります。拝観料はかかりません。
Q由加神社拝殿及び幣殿はどこから見るのがよいですか?
A正面の南西寄りから見ると、大屋根の千鳥破風、3間の向拝、手前の向唐破風が重なる正面全体をとらえられます。そのあと向唐破風の下から軒を見上げると、彫刻と錺金具の密度がよく分かります。

基本情報

名称由加神社拝殿及び幣殿(ゆがじんじゃはいでんおよびへいでん)
所在地岡山県倉敷市児島由加字瑜伽2852
指定区分登録有形文化財(建造物)、登録番号33-0367
指定年令和6年(2024年)8月15日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、銅板葺、建築面積142平方メートル
所有者由加神社(宗教法人)
公開状況境内は参拝自由・無料。外観は拝殿の前から見学できる。内部の見学公開の案内はない

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):由加神社拝殿及び幣殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015087
岡山県:登録有形文化財(建造物)由加神社拝殿及び幣殿、由加神社三宝荒神社本殿、由加神社大鳥居(PDF)
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/374735.pdf
由加山 由加神社本宮:由加神社本宮ご由緒
https://yugasan.or.jp/about/
由加山 由加神社本宮:境内の文化財
https://yugasan.or.jp/precincts/cultural-property/
由加山 由加神社本宮:境内図
https://yugasan.or.jp/precincts/map/

最終更新日: 2026.10.03