由加神社三宝荒神社本殿とは
由加神社三宝荒神社本殿は、岡山県倉敷市児島由加の由加神社境内で本殿の東隣に建つ江戸時代後期の小さな社殿で、文化庁は年代を1751年から1830年の幅で示し、令和6年(2024年)8月15日に国の登録有形文化財に登録された。
読みは「ゆがじんじゃさんぽうこうじんじゃほんでん」。境内社である三宝荒神社の本殿で、桁行1間・梁間1間、建築面積は3.0平方メートルしかない。木造平屋建、銅板葺で、本殿の東隣に南を向いて建つ。本殿の大きな屋根を目当てに歩いていると、すぐ横にあっても見過ごしてしまいそうな大きさである。
三宝荒神は、一般に火とかまどの神として信仰され、仏・法・僧の三宝を守る神ともされる。神と仏をあわせてまつった由加山の歴史を思えば、境内に荒神社が残っていることにもうなずける。
由加神社三宝荒神社本殿が登録された理由
登録は第107回登録、登録番号33-0368、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。岡山県の調査資料は、由加神社三宝荒神社本殿を規模は小さいながら古い特徴を残した丁寧なつくりと評し、意匠と技術の両面で価値が高いとしている。
建物に年紀を記した銘は見つかっていない。岡山県の資料は装飾の文様やその他の特徴から江戸後期と推定し、文化庁のデータベースは1751年から1830年という幅で記す。
評価の決め手になったのは、小ささのわりに手を抜いていない点だ。正面は入母屋造、背面は切妻造、出入口を妻側に設けた妻入で、正面に1間の向拝を付け、三方に擬宝珠高欄付きの縁をめぐらす。身舎の組物は連三斗、軒は二軒繁垂木、柱間の中備には蟇股を入れる。本格的な社殿で使う部材の語彙が、そのまま縮尺されて並んでいる。
由加神社三宝荒神社本殿の見どころ
いちばんの見どころは、頭貫の端に付く木鼻である。由加神社三宝荒神社本殿の木鼻は板状に処理されている。江戸後期には象や獏、渦をかたどった立体的な彫刻木鼻が広く使われたが、ここではそれより古い板状の形が選ばれている。岡山県の資料が「古い特徴」として真っ先に挙げているのがこの部分で、文化庁のデータベースも「板状の頭貫木鼻など古式なつくり」と記す。
次に色を見たい。岡山県の資料によれば、もとは壁面を除く全体にベンガラ(酸化鉄の赤)が塗られていたとみられる。平成9年(1997年)に塗り直されたのは、向拝と正面の縁まわりである。その赤い部分と、塗り直していない側面・背面の木部とを見比べると、全体が赤く塗られていたころの姿を思い描きやすい。
正面から見たら、北側の背面にも回ってみたい。文化庁のデータベースが2枚目の写真に選んだのは背面の妻部分で、妻飾りや組物がよく見える。正面の入母屋と背面の切妻という、前後で形の違う屋根もここから確かめられる。
由加神社三宝荒神社本殿の見学
由加神社三宝荒神社本殿は境内の露天に建ち、開門時間内であれば外から自由に見学できる。拝観料はかからず、内部は公開されていない。
場所は拝殿の奥に控える本殿の東隣である。建物が小さいので、拝殿で参拝したあと東へ回り込むようにして探すとよい。周りの社殿に比べて規模の差が大きく、本殿と並べて見るとその小ささがよく分かる。境内への行き方と開門時間は由加神社のページにまとめてある。
Q&A
- 由加神社三宝荒神社本殿はどんな建物ですか?
- 由加神社の境内社である三宝荒神社の本殿です。桁行1間・梁間1間、建築面積3.0平方メートルの木造平屋建、銅板葺の小さな社殿で、本殿の東隣に南を向いて建っています。
- 由加神社三宝荒神社本殿はいつ頃の建物で、いつ登録されましたか?
- 年紀の銘はありませんが、岡山県の資料は装飾などから江戸後期と推定し、文化庁は1751年から1830年の幅で記しています。令和6年(2024年)8月15日に登録番号33-0368として国の登録有形文化財に登録されました。
- 由加神社三宝荒神社本殿ではどこに注目すればよいですか?
- 板状に処理された頭貫の木鼻です。江戸後期に多い立体的な彫刻木鼻とは違う、古い形式です。ほかに連三斗の組物、二軒繁垂木の軒、中備の蟇股、平成9年(1997年)に塗り直された向拝のベンガラも見どころです。
- 由加神社三宝荒神社本殿は中まで見学できますか?
- 内部は公開されていません。境内の露天に建っているので、開門時間内であれば外から自由に見学できます。拝観料はかかりません。
- 由加神社三宝荒神社本殿の屋根はどんな形ですか?
- 正面が入母屋造、背面が切妻造で、妻側に出入口を設けた妻入の銅板葺です。正面には1間の向拝が付きます。前後で屋根の形が違うのは、背面に回ると確かめられます。
基本情報
| 名称 | 由加神社三宝荒神社本殿(ゆがじんじゃさんぽうこうじんじゃほんでん) |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県倉敷市児島由加字瑜伽2852 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)、登録番号33-0368 |
| 指定年 | 令和6年(2024年)8月15日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、銅板葺、建築面積3.0平方メートル、桁行1間・梁間1間 |
| 所有者 | 由加神社(宗教法人) |
| 公開状況 | 境内の露天に建ち、開門時間内は外から見学自由・無料。内部非公開 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):由加神社三宝荒神社本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015088
- 岡山県:登録有形文化財(建造物)由加神社拝殿及び幣殿、由加神社三宝荒神社本殿、由加神社大鳥居(PDF)
- https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/374735.pdf
- 由加山 由加神社本宮:境内の文化財
- https://yugasan.or.jp/precincts/cultural-property/
最終更新日: 2026.10.03