主屋の左手前にある石の井戸

渡久山家住宅井戸は、沖縄県石垣市字大川の渡久山家住宅にある明治27年(1894年)の石造の井戸で、昭和初期に設備が増設され、平成19年(2007年)10月2日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「とくやまけじゅうたくいど」。

渡久山家住宅井戸は主屋の左手前、石垣市の解説では主屋の南西に位置する。同じ明治27年(1894年)頃のフリヤーが主屋の左奥にあるので、屋敷の同じ側に、水を汲む場所と便所・豚舎とが前後して置かれていることになる。

文化庁の記録は、年代を「明治27年、昭和初期増設」としている。明治の井戸を使い続けながら、昭和の初めに手を加えた井戸である。どの部分を増設したかは解説に明記されていない。

登録の理由:井戸水を使った暮らしの記録

渡久山家住宅井戸の登録基準は「造形の規範となっているもの」である。文化庁の解説は、この井戸を「井戸水利用の歴史を示す」ものと位置づけている。

井戸そのものだけでなく、水を汲み上げる仕掛けと、汲んだ水を使う洗い場までが一組で残っている。水を得て、運び、使うという一連の動きが、一つの構えの中で完結している点が評価の要になる。

見どころ:井戸枠・滑車受け・洗い場

渡久山家住宅井戸の井戸枠は琉球石灰岩製で、直径1.2メートル、高さ0.5メートルある。膝より少し上ほどの低い石の輪で、構造形式の欄には面積1.1平方メートルと記されている。

井戸枠に沿って、水を汲むための滑車受けが立てられている。こちらはコンクリート製で、石の井戸枠とは材料がはっきり違う。釣瓶の綱を掛ける滑車を支える部材で、井戸に添わせて据えてある。

井戸枠のまわりは、3メートル四方の洗い場が囲んでいる。汲み上げた水をその場で使えるようにした平らな場所で、井戸の低い石の輪を中心に、四角い作業場が広がる形になる。石灰岩の井戸枠、コンクリートの滑車受け、洗い場という材料と役割の違う3つの要素を見比べたい。

井戸の見学について

渡久山家住宅井戸は個人の敷地の中、主屋の脇にあり、一般には公開されていない。敷地に入ることはできず、道路から見えるかどうかも確認できていない。

井戸枠や滑車受けの様子は、文化庁の国指定文化財等データベースに掲載された写真で確かめられる。現地では門口の外から屋敷の構えを眺めるにとどめてほしい。

Q&A

Q渡久山家住宅井戸はいつ造られ、いつ登録されましたか?
A明治27年(1894年)の井戸で、昭和初期に増設されている。平成19年(2007年)10月2日に登録有形文化財に登録された。
Q渡久山家住宅井戸の井戸枠の大きさは?
A琉球石灰岩製で、直径1.2メートル、高さ0.5メートルである。
Q渡久山家住宅井戸の滑車受けは何でできていますか?
Aコンクリート製で、水を汲むための滑車を支えるために井戸枠に沿わせて立てられている。
Q渡久山家住宅井戸のまわりには何がありますか?
A井戸枠の周囲を、3メートル四方の洗い場が囲んでいる。
Q渡久山家住宅井戸は見学できますか?
A個人の敷地内にあり非公開である。道路から見えるかは確認できていないため、文化庁データベースの写真を参照するとよい。

基本情報

名称渡久山家住宅井戸(とくやまけじゅうたくいど)
所在地沖縄県石垣市字大川340
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成19年(2007年)10月2日登録
員数1基
寸法石造、面積1.1平方メートル、井戸枠直径1.2メートル・高さ0.5メートル、洗い場及び滑車受付
所有者個人
公開状況非公開

参考文献

渡久山家住宅井戸(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006309
登録有形文化財 入嵩西家住宅・渡久山家住宅(石垣市 文化財解説PDF)
https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/material/files/group/41/P17_bunkazai.pdf
石垣市内にある指定・登録文化財(石垣市 文化財・市史編集課)
https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/soshiki/bunkazaisisihennsyuka/bunakazaikinanbutu1/1_1/573.html

最終更新日: 2026.09.28