井上良尚家住宅茶室とは

井上良尚家住宅茶室(いのうえよしなおけじゅうたくちゃしつ)は、大阪府高石市綾園の井上家の屋敷に建つ江戸時代後期の茶室で、平成12年(2000年)9月26日に登録有形文化財となった。木造平屋建、建築面積は41平方メートルである。

建っているのは主屋の東側で、居室部との間に玄関をはさみ、主屋から一続きになる。独立した茶庭の奥に離れて建つ茶室ではなく、住まいの延長に客を迎える座敷として組み込まれている点が、この建物の置かれ方の特徴である。

床と棚を備えた2つの座敷

井上良尚家住宅茶室の平面は、4畳半と6畳の2室からなる。文化庁の解説によれば、2室はどちらも床(床の間)と棚を備えている。小間とされる4畳半と、それより広い6畳を並べることで、少人数の茶事にも、やや大勢の席にも応じられる構成である。

2室のまわりには縁と控えの間が配され、文化庁はその割り付けを巧みと評している。客が縁を通って座敷に入り、亭主側が控えの間で支度を整える、という動きを平面のなかで無理なく分けた造りと読める。

面皮柱と桟瓦の屋根

床柱には面皮柱を使う。丸太の四面を削りながら、角に樹皮や丸みを残した柱で、自然の素材感をあえて見せる数寄屋の手法である。文化庁は、全体を数寄屋風の意匠でよくまとめた茶室建築と記している。

屋根は切妻造で、桟瓦葺とする。屋敷のほかの4件は茅葺や本瓦葺を用いるが、茶室だけは波形の瓦を重ねる軽い桟瓦で葺いている。重厚な本瓦ではなく軽い屋根を選んだところにも、住まいの棟とは違う、くつろいだ構えがうかがえる。

登録基準は「造形の規範となっているもの」で、登録番号は27-0104。井上良尚家住宅の5件のうち、この基準で登録されたのは茶室だけである。

見学方法

井上良尚家住宅茶室は個人の住まいの一部で、内部は公開されていない。4畳半と6畳の座敷や面皮柱の床は、外から見ることができない。

茶室は主屋の東、屋敷の内側に建つため、道路からはほとんど見えないと考えておきたい。私有地には立ち入らず、公道から屋敷の構えを眺めるにとどめてほしい。

Q&A

Q井上良尚家住宅茶室はどんな建物ですか。
A主屋の東に玄関をはさんで続く木造平屋建の茶室で、建築面積は41平方メートルです。4畳半と6畳の2室からなり、どちらにも床と棚があります。
Q井上良尚家住宅茶室はいつ建てられましたか。
A文化庁のデータベースは江戸後期(1751年から1829年)としています。
Q井上良尚家住宅茶室の意匠の特徴は何ですか。
A床柱に面皮柱を使うなど、数寄屋風にまとめている点です。縁と控えの間の配置も巧みで、屋根は切妻造の桟瓦葺です。
Q井上良尚家住宅茶室が登録有形文化財になったのはいつですか。
A平成12年(2000年)9月26日です。登録番号は27-0104で、「造形の規範となっているもの」の基準で登録されました。
Q井上良尚家住宅茶室は見学できますか。
A個人の住まいのため見学できません。屋敷の内側にあり、道路からもほとんど見えません。

基本データ

名称井上良尚家住宅茶室(いのうえよしなおけじゅうたくちゃしつ)
所在地大阪府高石市綾園2-5-31
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録番号 27-0104
指定年平成12年(2000年)9月26日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積41平方メートル
所有者個人
公開状況非公開

参考文献

国指定文化財等データベース 井上良尚家住宅茶室(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001839
たかいしを歩く 史跡ガイドマップ(PDF、高石市教育委員会)
https://www.city.takaishi.lg.jp/material/files/group/22/takaishiwoaruku2.pdf
井上家住宅(大阪文化財ナビ)
https://osaka-bunkazainavi.org/bunkazai/%E4%BA%95%E4%B8%8A%E5%AE%B6%E4%BD%8F%E5%AE%85

最終更新日: 2026.09.28