貝塚寺内町の山田家住宅主屋

山田家住宅主屋は、大阪府貝塚市北町の貝塚寺内町にある江戸時代末期の町家で、平成15年(2003年)に登録有形文化財となった。泉南市新家にも同じ名称の登録文化財があるが、こちらは別の家の建物である。

建物は願泉寺の北側を東西に通る堀之町筋に面し、通りの北側に南を向いて建つ。文化庁の記録では、構造は木造平屋建、瓦葺、建築面積は183平方メートル。屋根は切妻造の桟瓦葺で、表の庇だけを本瓦葺とする。

山田家は、貝塚寺内の地頭であった願泉寺の卜半家に家来として仕えた家柄である。貝塚市によれば、2代目の良助の名が明治3年(1870年)9月作成の「卜半真教院家来中宗門改之帳」など幕末から明治初めの記録に見える。召し抱えられた経緯や役職は分かっていない。江戸時代末期からは古美術商を営み、現在に至る。

年代と規模の記録

建築年代について、文化庁の記録と貝塚市の説明は一致しない。文化庁は江戸末期とし、貝塚市も時代の欄は江戸時代末期と書くが、本文では主屋を19世紀末ごろの建築と説明している。19世紀末は明治期にあたるため、どちらを取るかで数十年の開きが出る。

敷地の規模も記録によって異なる。文化庁の解説は間口8間、奥行12間(間はおよそ1.8メートル)の敷地一杯に建つとし、貝塚市は敷地を間口6間、奥行11間と記す。主屋が敷地の間口いっぱいに建つ点は両者に共通している。

文化庁の解説によれば、2階の壁面は現在銅板張だが、以前は本瓦葺で漆喰塗りだった。構造欄は平屋建とするが、解説文は2階の壁面に触れており、この点も現地で確かめたいところである。

登録の理由と見どころ

登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。戦国時代に願泉寺を中心として形づくられた貝塚寺内町には、江戸時代から近代の町家が点在する。山田家住宅主屋は、その町並みの一角を担う建物として登録された。

いちばんの見どころは玄関の摺上げ大戸(すりあげおおど)である。上へ摺り上げて開ける大きな戸で、潜り戸が付き、開けると土間を広く使えた。商いの家で荷を出し入れするための造りで、文化庁の解説も、この大戸が残ることと建物全体がよく維持されていることを評価している。

通りから見上げると、表の庇の本瓦と大屋根の桟瓦とで瓦の形が違う。本瓦は丸瓦と平瓦を組み合わせた重い葺き方で、庇だけを格式の高い本瓦で押さえている。

山田家住宅主屋の見学

山田家住宅主屋は個人の住宅で、内部は公開されていない。見学は堀之町筋からの外観に限られるので、住人や通行の妨げにならないよう、通りから静かに眺めたい。

最寄り駅は南海本線の貝塚駅で、願泉寺の北側まで歩いて10分ほどが目安になる。願泉寺の表門前の通りから北へ進み、堀之町筋に出ると建物の正面が見える。

撮影の可否について定めた案内は見当たらない。道路から外観を撮る場合も、表札や住人が写り込まないよう配慮したい。

Q&A

Q山田家住宅主屋(貝塚市)はいつ建てられましたか?
A文化庁の記録は江戸末期としています。貝塚市は時代を江戸時代末期としつつ、本文では19世紀末ごろの建築と説明しており、記録によって開きがあります。
Q山田家住宅主屋(貝塚市)の内部は見学できますか?
A個人の住宅のため内部は公開されていません。堀之町筋から外観を見学できます。
Q山田家住宅主屋の摺上げ大戸とは何ですか?
A上へ摺り上げて開ける大きな戸で、潜り戸が付きます。開けると土間を広く使え、商家の荷の出し入れに向いた造りです。
Q山田家住宅主屋(貝塚市)へはどう行けばよいですか?
A南海本線の貝塚駅から歩いて10分ほどが目安です。願泉寺の北側を通る堀之町筋に面しています。
Q貝塚市の山田家住宅主屋と泉南市の山田家住宅は同じものですか?
A別の家の別の建物です。貝塚市北町の山田家住宅主屋は寺内町の町家、泉南市新家の山田家住宅は庄屋屋敷で、登録年も異なります。

基本情報

名称山田家住宅主屋
所在地大阪府貝塚市北町10-5
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成15年(2003年)3月18日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積183平方メートル
所有者個人
公開状況内部は非公開(個人の住宅)。外観は道路から見学可

参考文献

山田家住宅主屋(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003273
山田家住宅(貝塚市)
https://www.city.kaizuka.lg.jp/bunkazai/bunkazaidata/bunkazai/kuni_sitei/tourokubunkazai/yamadake.html
寺内町に残る町家(貝塚寺内町保存活用事業団)
https://jinaicho.org/machiya/

最終更新日: 2026.09.26