酒母を育てた蔵

まちや倶楽部(旧西勝酒造)酛蔵は、滋賀県近江八幡市仲屋町中にある明治前期(1868〜1882年)の土蔵で、令和4年(2022年)2月17日に国の登録有形文化財となった。酛(もと)、すなわち酒母をつくるための蔵である。

麹蔵の東に並んで建つ。酒母は、蒸米と麹と水に酵母を大量に育てた小さな仕込みで、これを種にして大きな本仕込みを発酵させる。旧西勝酒造の工程では、洗場と麹蔵のあと、仕込蔵の前に位置する。

工程の要をなす一棟

文化庁の答申は、酛蔵を「酒母作りを行った土蔵」と説明し、麹蔵と同じく床を板敷とする点を挙げる。酒母づくりは温度の管理が難しく、造り酒屋の工程のなかでも手のかかる段階とされる。専用の蔵を設けていたことは、旧西勝酒造が工程ごとに建物を分けていたことを示している。

登録の基準はほかの8棟と同じ「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。答申が9棟を「酒造りの情景浮かぶ建物群」とまとめたとき、その情景のなかでまちや倶楽部(旧西勝酒造)酛蔵が担うのは、酒が酒になる手前の段階である。

大桶の残る空間

まちや倶楽部(旧西勝酒造)酛蔵は、いまは「旧酛蔵」の名で貸しスペースとして使われている。まちや倶楽部によれば、内部には酒造りに使われた大きな桶が残されている。土蔵の壁に囲まれた空間に桶が置かれたままの様子は、酒蔵が稼働していた時代を想像する手がかりになる。

少人数の会議から大人数の集まり、展示まで利用でき、トイレ・電源・水道を備える。一方で空調とWi-Fiはない。土蔵は外気の影響を受けにくいとはいえ、真夏と真冬には室温が厳しくなると運営者も案内している。

まちや倶楽部(旧西勝酒造)酛蔵を見るには

内部に入れるのは貸しスペースとして予約した場合か、ここで開かれる催しに参加する場合である。料金は3時間あたり平日3,850円、土曜・日曜・祝日5,775円(税込)。事前の下見を求められており、近隣に住宅があるため夜間のマイク使用や大音量の催しは控えるよう案内されている。問い合わせはまちや倶楽部の代表電話0748-32-4654。

外観は敷地内の小径から見られる。撮影について公式な告知はない。敷地への行き方は、まちや倶楽部(旧西勝酒造)のページにまとめた。情報は2026年9月25日時点のもの。

Q&A

Qまちや倶楽部(旧西勝酒造)酛蔵の中に入れますか。
A貸しスペース「旧酛蔵」として予約すれば利用できます。ここで開かれる催しに参加する場合も入れます。外観は敷地内の小径から見られます。
Qまちや倶楽部(旧西勝酒造)酛蔵の利用料金はいくらですか。
A3時間あたり平日3,850円、土曜・日曜・祝日5,775円(税込)です。空調とWi-Fiはありません。
Qまちや倶楽部(旧西勝酒造)酛蔵はいつ建てられましたか。
A文化庁は明治前期(1868〜1882年)としています。令和4年(2022年)2月17日に登録有形文化財となりました。
Qまちや倶楽部(旧西勝酒造)酛蔵の「酛」とは何ですか。
A酒母のことです。蒸米と麹と水に酵母を大量に育てたもので、本仕込みの発酵の種になります。
Qまちや倶楽部(旧西勝酒造)酛蔵には当時の道具が残っていますか。
Aまちや倶楽部によれば、酒造りに使われた大きな桶が内部に残されています。

基本データ

名称まちや倶楽部(旧西勝酒造)酛蔵
所在地滋賀県近江八幡市仲屋町中15-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和4年(2022年)2月17日登録
員数1棟
寸法未確認(文化庁の答申資料に記載なし)
所有者文化庁の公開情報に記載なし
公開状況予約制の貸しスペース「旧酛蔵」として利用可。外観は敷地内の小径から見学可

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース まちや倶楽部(旧西勝酒造)酛蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014177
文化庁 令和3年(2021年)11月19日 文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)について
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/pdf/93601801_02.pdf
まちや倶楽部 貸しスペース
https://machiya-club.org/kashi-space/

最終更新日: 2026.09.24