昭和34年に建てられた大きな仕込蔵

まちや倶楽部(旧西勝酒蔵)北仕込蔵は、滋賀県近江八幡市仲屋町中にある昭和34年(1959年)建築の仕込蔵で、令和4年(2022年)2月17日に国の登録有形文化財となった。鉄筋コンクリート造及び木造の2階建、瓦葺で、建築面積は163平方メートルある。面積の分かる旧西勝酒造の建物のなかで最も大きい。

南仕込蔵及び通り蔵の北に建ち、敷地の北側を占める。南仕込蔵と同じく、酒母に麹と蒸米と水を加えてもろみを発酵させる本仕込みの蔵であった。

酒造量の増加を示す近代の蔵

文化庁の答申は、北仕込蔵を「小屋をトラス組、壁をモルタル仕上とする近代的な建物」とし、酒造量の増加を示すものと評価した。明治の土蔵である南仕込蔵だけでは足りなくなり、戦後になって大きな仕込蔵を北に建て増した。まちや倶楽部(旧西勝酒蔵)北仕込蔵は、造り酒屋が生産を拡げていった時期を具体的に示す建物である。

文化遺産オンラインは「敷地北部の景観をつくる大規模な蔵」と書く。登録の基準はほかの棟と同じ「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。登録有形文化財は原則として建設後50年を経た建物が対象になり、北仕込蔵は登録の時点で築63年であった。

鉄筋コンクリートの1階と木造の2階

屋根は切妻造の平入で、桟瓦葺。東西に棟を通す。外壁はモルタル仕上げで、漆喰の土蔵が並ぶ敷地のなかで質感が明らかに違う。

構造は、1階を鉄筋コンクリート造、2階を木造とする混構造である。重い仕込み桶を載せる1階を頑丈にし、上部は木で軽く組むという合理的な分け方といえる。

小屋組はクイーンポスト・トラスとする。棟の中央に1本の束を立てるキングポストトラスに対し、2本の束を左右に振り分ける形式で、屋根裏の中央を広く空けられる。南仕込蔵が中央の独立柱1本で地棟を支えていたのと比べると、同じ仕込みの蔵でも100年ほどのあいだに空間のつくり方が変わったことが分かる。

まちや倶楽部(旧西勝酒蔵)北仕込蔵を見るには

外観は敷地内の小径から見られる。南仕込蔵の漆喰壁から北へ目を移すと、モルタルの壁と2階建の量感がはっきり対比される。内部の公開について、まちや倶楽部からの告知は見当たらない。

撮影について公式な告知はない。敷地への行き方は、まちや倶楽部(旧西勝酒造)のページにまとめた。情報は2026年9月25日時点のもの。

Q&A

Qまちや倶楽部(旧西勝酒蔵)北仕込蔵は見学できますか。
A外観は敷地内の小径から見られます。内部の公開については告知されていません。
Qまちや倶楽部(旧西勝酒蔵)北仕込蔵はいつ建てられましたか。
A昭和34年(1959年)です。令和4年(2022年)2月17日に登録有形文化財となりました。
Qまちや倶楽部(旧西勝酒蔵)北仕込蔵の構造は。
A1階が鉄筋コンクリート造、2階が木造の混構造です。外壁はモルタル仕上げで、小屋組にはクイーンポスト・トラスを用いています。
Qまちや倶楽部(旧西勝酒蔵)北仕込蔵はなぜ登録されたのですか。
A近代的な構造の大規模な仕込蔵で、造り酒屋の酒造量の増加を示し、敷地北部の景観をつくっている点が評価されました。基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」です。
Qまちや倶楽部(旧西勝酒蔵)北仕込蔵の大きさは。
A建築面積は163平方メートルで、面積の分かる旧西勝酒造の9棟のなかで最も大きい建物です。

基本データ

名称まちや倶楽部(旧西勝酒蔵)北仕込蔵
所在地滋賀県近江八幡市仲屋町中15-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和4年(2022年)2月17日登録
員数1棟
寸法建築面積163平方メートル
所有者文化庁の公開情報に記載なし
公開状況外観は敷地内の小径から見学可。内部の公開は告知されていない

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース まちや倶楽部(旧西勝酒蔵)北仕込蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00014180
文化遺産オンライン まちや倶楽部(旧西勝酒蔵)北仕込蔵
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/592550
文化庁 令和3年(2021年)11月19日 文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)について
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/pdf/93601801_02.pdf

最終更新日: 2026.09.24