祝詞の場と門を兼ねる建物

大鳥神社祝詞殿(中門)は、滋賀県甲賀市甲賀町鳥居野の大鳥神社で本殿の前に建つ大正8年(1919年)建築の社殿で、平成14年(2002年)に国の登録有形文化財に登録された。

名称が二つの役割を示している。神職が祝詞を奏上する祝詞殿であり、同時に本殿の区画へ入る中門でもある。桁行2間、梁間1間の木造で、屋根は檜皮葺。建築面積は12平方メートルで、大鳥神社の登録7棟のなかでもっとも小さい。

小ささを補っているのが、左右に付く透塀である。祝詞殿の両脇から矩折れ(L字)にのびて本殿のまわりを囲み、延長は66メートルある。この建物と透塀がひと組になって、本殿の区画をつくっている。

前後に唐破風を向ける

大鳥神社祝詞殿(中門)の登録番号は25-0193で、7棟の連番の先頭にあたる。登録基準は「造形の規範となっているもの」。

屋根は前後軒唐破風造とされる。拝殿の側にも本殿の側にも、中央が弓なりに盛り上がり両端で反り返る唐破風を見せる形で、どちらから見ても正面になる。参拝者に向ける顔と、本殿に向ける顔を同じ格でそろえたことになる。

文化庁の解説は、この建物を「巧みな構成と優美な意匠」で社殿の中核の景観を整えていると評している。

本殿の手前で拝殿の奥という位置は、社殿群の中心線そのものだ。檜皮葺の拝殿と祝詞殿、その奥の本殿が一直線に並び、透塀がその左右を区切る。大正の再建で新しく組まれたこの配置の要に、大鳥神社祝詞殿(中門)は置かれている。

拝殿の奥に見る唐破風

大鳥神社祝詞殿(中門)は拝殿の真後ろにあるため、正面から見ると拝殿と重なる。拝殿は柱間を吹放しにしているので、その柱のあいだから奥の唐破風がのぞく。この重なりが、社殿の中心線を実感できる眺めになる。

建物の形をつかむなら、拝殿の脇へ少し回り込むとよい。屋根の唐破風の曲線と、そこから左右へ折れていく透塀の線が同時に見える。

透塀は格子の塀なので、向こう側が透けて見える。祝詞殿の背面の唐破風と本殿との距離も、透塀越しにある程度つかめる。

大鳥神社祝詞殿(中門)の見学

大鳥神社祝詞殿(中門)の奥は本殿の区画で、透塀に囲まれている。内部や透塀の内側の公開について、神社の公式サイトに案内は見当たらない。外観は拝殿のまわりから見学できる。

撮影の可否も公式サイトには記載がない。神職が祝詞殿で神事を行っているときは、近くで立ち止まらないよう配慮したい。神社までのアクセスと参拝の案内は、大鳥神社のページを参照してほしい。

よくある質問

Q大鳥神社祝詞殿(中門)はどのような建物ですか。
A本殿の前に建ち、祝詞を奏上する祝詞殿と、本殿の区画へ入る中門を兼ねた建物です。大正8年(1919年)に建てられました。
Q大鳥神社祝詞殿(中門)の屋根の特徴は何ですか。
A前後唐破風造の檜皮葺です。拝殿側にも本殿側にも唐破風を向けています。
Q大鳥神社祝詞殿(中門)の大きさはどれくらいですか。
A桁行2間、梁間1間、建築面積12平方メートルで、大鳥神社の登録7棟のなかで最小です。左右に延長66メートルの透塀が付いています。
Q大鳥神社祝詞殿(中門)はいつ登録有形文化財になりましたか。
A平成14年(2002年)6月25日に登録されました。登録番号は25-0193、登録基準は「造形の規範となっているもの」です。
Q大鳥神社祝詞殿(中門)は近くで見られますか。
A外観は拝殿のまわりから見られます。奥の本殿の区画は透塀で囲まれており、内側の公開についての案内は公式サイトにありません。

基本データ

名称大鳥神社祝詞殿(中門)(おおとりじんじゃのりとでん(ちゅうもん))
所在地滋賀県甲賀市甲賀町鳥居野782
指定区分登録有形文化財(建造物)/登録番号 25-0193
指定年平成14年(2002年)6月25日登録、7月16日告示
員数1棟
寸法木造、桁行2間、梁間1間、前後唐破風造、檜皮葺、建築面積12平方メートル、左右透塀延長66メートル付
所有者宗教法人大鳥神社
公開状況外観は拝殿のまわりから見学できる。透塀の内側の公開は案内されていない

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)「大鳥神社祝詞殿(中門)」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002775
文化遺産オンライン「大鳥神社祝詞殿(中門)」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/149385
大鳥神社公式サイト「神社概要」
https://www.ootorijinjya.jp/html/003.html

最終更新日: 2026.09.16