杉田酒造とは

杉田酒造は、栃木県小山市上泉にある明治6年(1873年)創業の造り酒屋で、敷地に建つ江戸時代末期から昭和22年(1947年)頃までの蔵4棟が平成25年(2013年)に登録有形文化財に登録された。

読みは「すぎたしゅぞう」。杉田酒造の所在地は小山駅の西約7kmにあたる上泉地区の本沢で、栃木県の解説によると、屋敷の東南を巴波川(うずまがわ)が流れている。蔵元は、上泉という地名が示すとおり地下水の豊かな土地だと紹介している。

蔵元の案内では、新潟県の中越地方から移ってきた初代杉田房吉(ふさきち)が、明治6年(1873年)4月に酒造りを始めた。代表銘柄は「雄東正宗(ゆうとうまさむね)」。杉田酒造は現在も酒を仕込み続けている現役の酒蔵で、登録された4棟もその敷地の中に建つ。

杉田酒造の来歴と移されてきた蔵

杉田酒造の4棟のうち、古い2棟はもともと別の酒蔵の建物だった。栃木県の解説によると、貯蔵蔵と仕込蔵はどちらも、同じ小山市内の南小林にあった田波酒造から移されている。2棟とも、建てられたのは江戸時代末期(1830〜1868年)とされる。

先に移ったのは貯蔵蔵である。文化庁のデータベースは移築を明治6年(1873年)頃とし、県の解説は、約500mの道のりを曳屋で動かしたと記す。建物を解体せずに据えたまま引いて運ぶ方法で、移築の年は蔵元が伝える創業の年と重なる。仕込蔵はやや遅れて、明治中期(1883〜1897年頃)に移された。

そのあとに建てられたのが大正3年(1914年)頃の大正蔵で、県は新築と推定している。最も新しい大谷石蔵は、文化庁が昭和22年(1947年)頃、県が昭和21〜22年の建設とする建物である。戦後の食糧難の時代、米の代わりに栃木県でも栽培されていたサツマイモを原料として焼酎を造るため、室(むろ)を備えた蔵として建てられた。江戸の土蔵を移して酒造りを始め、大正に蔵を足し、戦後に石の蔵を加えた杉田酒造の歩みが、建物の並びにそのまま表れている。

杉田酒造の敷地と4棟の配置

杉田酒造の登録4棟は、敷地の西側から北側にかけて寄り集まっている。文化庁の解説によると、仕込蔵は敷地の西側、大正蔵は北辺の西寄りに東西棟で建ち、貯蔵蔵は敷地中央の北側、大谷石蔵はそのさらに北側にある。

4棟は2棟ずつ組になってつながっている。仕込蔵の北側の屋根は大正蔵に取り付き、2階どうしは連絡路で結ばれている。県の解説は、この2棟の外壁が一続きになって、敷地の建物で最も長い壁面をつくっていると説明する。もう一組は貯蔵蔵と大谷石蔵で、貯蔵蔵の北側の屋根に大谷石蔵の屋根が接し、大谷石蔵から貯蔵蔵の北面へ片開きの木戸が1か所開いている。

土蔵造の3棟は漆喰塗の外壁に板張りやトタン張りの腰を付け、屋根はいずれも桟瓦葺である。大谷石蔵だけは、下半分を大谷石の切石積み、上半分を木造の壁とした鉄板葺の平屋で、杉田酒造の敷地を歩くと、蔵の素材が時代ごとに変わっていくのがよく分かる。

杉田酒造の登録4件

杉田酒造の4棟は、平成25年(2013年)3月29日にそろって登録有形文化財に登録された。登録番号は09-0202から09-0205までの連番で、4件とも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されている。

  • 杉田酒造貯蔵蔵:江戸末期(1830〜1868年)、明治6年(1873年)頃移築、土蔵造2階建、瓦葺、建築面積197㎡
  • 杉田酒造仕込蔵:江戸末期(1830〜1868年)、明治中期(1883〜1897年頃)移築、土蔵造2階建、瓦葺、建築面積167㎡
  • 杉田酒造大正蔵:大正3年(1914年)頃、土蔵造2階建、瓦葺、建築面積117㎡
  • 杉田酒造大谷石蔵:昭和22年(1947年)頃、石造及び木造平屋建、鉄板葺、建築面積65㎡

文化庁の解説は、貯蔵蔵を敷地で最も古い建物とし、造り酒屋としての杉田酒造の歴史を示す遺構と位置づけている。移築された江戸の土蔵、新築の大正の土蔵、戦後の石蔵という性格の違う蔵が、一つの酒蔵の中で今も使われている点に、この4件の面白さがある。

杉田酒造の見学と行き方

杉田酒造は酒造りを続けている私有の酒蔵で、常時公開している施設ではない。栃木県の文化財案内は、公開状況を「随時、所有者に応相談」としている。蔵元の案内によると、蔵見学は完全予約制で見学料は無料、店頭での試飲は行っていない。見学の担当は南部杜氏でもある蔵元の杉田氏1人で、不在のことが多いため、前もって連絡するよう求めている。撮影の可否も予約のときに確かめておきたい。

営業時間は、とちぎ旅ネットでは午前8時30分から午後6時、休業日は1月1日から3日で、土曜・日曜・祝日も休む場合があるとしている。蔵元のサイトは終業時刻をページによって午後5時とも午後6時とも書いているので、杉田酒造を訪ねる前に電話(0285-38-0005)で確かめると確実である。

車なら小山駅から約15分、東北自動車道の佐野藤岡インターチェンジから約20分。蔵元の案内では、駐車場は社屋の東側の空き地で、杉田酒造の前の道は学生の通学路になっている。公共交通では、JR小山駅西口から小山市のコミュニティバス「おーバス」の道の駅線に乗り、「南小林」で降りて徒歩約5分である。小山市の時刻表では乗車はおよそ30分、運賃は大人300円。便数は多くないので、帰りの便まで時刻表で確かめてから出かけたい。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)杉田酒造貯蔵蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009432
国指定文化財等データベース(文化庁)杉田酒造仕込蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009431
国指定文化財等データベース(文化庁)杉田酒造大正蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009433
国指定文化財等データベース(文化庁)杉田酒造大谷石蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009434
とちぎの文化財(栃木県)【杉田酒造貯蔵蔵】
https://bunkazai.pref.tochigi.lg.jp/cultural/%E3%80%90%E6%9D%89%E7%94%B0%E9%85%92%E9%80%A0%E8%B2%AF%E8%94%B5%E8%94%B5%E3%80%91/
とちぎの文化財(栃木県)【杉田酒造仕込蔵】
https://bunkazai.pref.tochigi.lg.jp/cultural/%E3%80%90%E6%9D%89%E7%94%B0%E9%85%92%E9%80%A0%E4%BB%95%E8%BE%BC%E8%94%B5%E3%80%91/
とちぎの文化財(栃木県)【杉田酒造大正蔵】
https://bunkazai.pref.tochigi.lg.jp/cultural/%E3%80%90%E6%9D%89%E7%94%B0%E9%85%92%E9%80%A0%E5%A4%A7%E6%AD%A3%E8%94%B5%E3%80%91/
とちぎの文化財(栃木県)【杉田酒造大谷石蔵】
https://bunkazai.pref.tochigi.lg.jp/cultural/%E3%80%90%E6%9D%89%E7%94%B0%E9%85%92%E9%80%A0%E5%A4%A7%E8%B0%B7%E7%9F%B3%E8%94%B5%E3%80%91/
文化遺産オンライン 杉田酒造貯蔵蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/239845
文化遺産オンライン 杉田酒造仕込蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/206114
文化遺産オンライン 杉田酒造大正蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/269456
文化遺産オンライン 杉田酒造大谷石蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/206317
とちぎ旅ネット(栃木県観光物産協会)杉田酒造(雄東正宗)
https://www.tochigiji.or.jp/spot/s10215/
小山市 おーバス時刻表
https://www.city.oyama.tochigi.jp/o-bus/rosen-jikoku/page001803.html

最終更新日: 2026.10.09

基本情報

名称杉田酒造
所在地栃木県小山市大字上泉字本沢237
所有者杉田酒造株式会社
指定登録有形文化財 4件
座標36.31662, 139.73915