汽罐室とは

トチセン(旧足利織物)汽罐室は、栃木県足利市福居町にある大正前期(昭和16年(1941年)増築)の煉瓦造のボイラー室で、平成20年(2008年)3月7日に国の登録有形文化財(建造物)となった(文化庁)。読みは「とちせん(きゅうあしかがおりもの)きかんしつ」。

文化庁の記録では、煉瓦造平屋建、スレート葺で、建築面積239平方メートル、ボイラー2基付。登録番号は09-0170である。

2連の切妻屋根とランカシャーボイラー

トチセン(旧足利織物)汽罐室は、工場敷地の南西隅に建つ煉瓦造平屋の建物で、波形スレート葺の切妻造の屋根を2連に架ける(文化庁)。妻壁は北棟が山形、増築の南棟が方形である。外壁は煉瓦のイギリス積で、柱形が付く。

足利市はこの建物を、赤レンガ捺染工場の奥に南北に3棟が連なるものとして説明している。北棟は大正2~5年(1913年~1916年)の創業時の建物で、当初はランカシャーボイラーの1号機と2号機が置かれた。昭和16年(1941年)に増築された中央棟には3号機と4号機が残り、建物とともに登録されている。さらに南には、昭和30年代後半(おおむね1960年代前半)に増築された鉄骨造の棟があり、横置多管式の5号機が据えられている。

文化庁の記録が2連の屋根とボイラー2基を記すのに対し、足利市は3棟と1号機から5号機までのボイラーを説明しており、登録の範囲は煉瓦造の北棟と昭和16年の増築部にあたるとみられる。

登録有形文化財としての価値

文化庁は、内部にランカシャーボイラーを据えた構成と、外壁に残る黒色の迷彩塗装を挙げ、戦時の様子を伝える建物として「国土の歴史的景観に寄与しているもの」に登録した。

足利市は、織物工場に欠かせない汽罐室を、先に登録された捺染工場・サラン工場とあわせて貴重な建築遺構としている。

見どころ

まず目に入るのは、外壁に残る黒色の迷彩塗装である(文化庁)。赤い煉瓦を黒く塗ったのは、空から目立たないようにするためだったと考えられる。

妻壁の形の違いにも注目したい。創業時の北棟は山形、昭和16年(1941年)の増築部は方形で(文化庁)、同じ煉瓦造でも時期によって納め方が変わっている。内部のランカシャーボイラーは、円筒形の胴を横に寝かせた大型のボイラーである。

見学について

足利市は汽罐室を通常非公開としている。建物は株式会社トチセンの工場敷地の南西隅、捺染工場の奥にあり、内部のボイラーを見られる機会は限られる。

Q&A

Qトチセン汽罐室はいつ建てられましたか?
A大正前期の建築で、昭和16年(1941年)に増築されています(文化庁)。足利市は北棟を大正2~5年(1913年~1916年)としています。
Qトチセン汽罐室にはどんなボイラーがありますか?
Aランカシャーボイラーです。昭和16年(1941年)の増築部に残る3号機と4号機が建物とともに登録されています(足利市)。
Qトチセン汽罐室の迷彩塗装とは何ですか?
A外壁に残る黒色の塗装で、文化庁は戦時の様子を伝えるものとしています。
Qトチセン汽罐室は見学できますか?
A足利市は通常非公開としています。
Qトチセン(旧足利織物)汽罐室が登録有形文化財になったのはいつですか?
A平成20年(2008年)3月7日です(文化庁)。

基本情報

名称トチセン(旧足利織物)汽罐室(とちせん(きゅうあしかがおりもの)きかんしつ)
所在地栃木県足利市福居町字神明地1151-1他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成20年(2008年)3月7日登録
員数1棟
寸法煉瓦造平屋建、スレート葺、建築面積239㎡、ボイラー2基付
所有者文化庁データベースに記載なし
公開状況通常非公開(足利市)

参考文献

トチセン(旧足利織物)汽罐室(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00006782
トチセン(旧足利織物)汽罐室(足利市)
https://www.city.ashikaga.tochigi.jp/education/000029/000169/000627/p000935.html

最終更新日: 2026.10.20