矢田貝家住宅庭門とは

矢田貝家住宅庭門は、鳥取県西伯郡伯耆町上細見の矢田貝家住宅で主屋と長屋門のあいだに建つ明治中期の門で、平成23年(2011年)に登録有形文化財に登録された。

矢田貝家住宅庭門は間口2.2mの一間腕木門で、屋根は切妻造桟瓦葺である。柱のあいだに方立を一対立てて欅の板戸を吊り、扉脇の小脇板にも欅の板を張る。左右には簓子下見板張りで桟瓦葺の塀をのばし、一方を主屋、もう一方を長屋門につないでいる。

この門と塀が、長屋門を入った前庭と、その奥の主庭とを仕切る。文化庁のデータベースでは種別が「その他工作物」で、塀の付いた門として登録されている。

矢田貝家住宅庭門が登録された理由

矢田貝家住宅庭門の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、主庭と前庭を画する庭門として趣のある空間を演出していると評価する。鳥取県も、左右に下見板張りの塀をのばして主庭と前庭を分ける門と説明している。

年代については二つの見方がある。文化庁のデータベースは明治中期とする。一方、4代当主・矢田貝顯造の日記を読んだ藤木竜也は、昭和6年(1931年)3月11日の「本日ハ門ヲ造リタリ」をこの庭門の造営とみる。同じ位置には以前から庭門があり、明治末から大正の写真にも写っている。しかし昭和4年(1929年)の表庭の拡張に合わせて幅を広げ、屋根も改めたため、藤木は新築に相当する工事と評価している。さらに扉の形も古写真と異なり、昭和10年(1935年)の表庭の再拡張の際に改められたとみている。

門の形式の呼び方も資料で分かれる。文化庁は一間腕木門とし、藤木は控柱を持たず本柱2本で立つ棟門に分類する。この記事は文化庁のデータベースを基本とし、論文の見解を併記した。

矢田貝家住宅庭門の見どころ

見たいのは材料の選び方である。扉も小脇板も欅で、木目のはっきりした堅い板が門の正面を占める。藤木の記述では、扉は観音開きの板戸で、両脇には袖壁が付く。

左右の塀は簓子下見板張りで、主屋の背後に建つ土蔵の腰壁と同じ仕上げである。門と塀を主屋・長屋門と同じ桟瓦で葺き、前庭の側から見ると、門だけが目立たないよう屋敷の表構えに溶け込ませている。

長屋門をくぐると、矢田貝家住宅庭門は主屋の左脇に見える。その向こうが、4代当主が昭和初期に整えた主庭である。

矢田貝家住宅庭門の見学

矢田貝家住宅庭門は個人の所有で、常設の公開はない。長屋門の内側に建つため、国道181号から全体を見ることはできない。屋敷に入れる日でも、庭門の先の主庭に立ち入れるという案内は確認できなかった。撮影の可否も公表されていない。屋敷への行き方と見学の条件は矢田貝家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q矢田貝家住宅庭門はどこにありますか?
A主屋と長屋門のあいだに建ち、左右の塀で主屋と長屋門につながっています。長屋門を入った前庭と、その奥の主庭とを仕切る門です。
Q矢田貝家住宅庭門はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースは明治中期としています。一方、4代当主の日記を読んだ研究では、昭和6年(1931年)に幅を広げ屋根も改めて造り直したとされ、扉は昭和10年(1935年)ごろに改められたとみられています。
Q矢田貝家住宅庭門はどんな形の門ですか?
A間口2.2mの門で、切妻造の桟瓦葺です。欅の板戸と欅の小脇板を備えます。文化庁は一間腕木門、2026年の論文は棟門と分類しています。
Q矢田貝家住宅庭門が登録有形文化財になった理由は?
A「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として、平成23年(2011年)7月25日に登録されました。主庭と前庭を画して趣のある空間をつくっている点が評価されています。
Q矢田貝家住宅庭門は見学できますか?
A個人所有で常設の公開はなく、長屋門の内側にあるため道路から全体は見えません。事前に伯耆町教育委員会事務局生涯学習室へお問い合わせください。

基本情報

名称矢田貝家住宅庭門
所在地鳥取県西伯郡伯耆町上細見字樋ノ上486他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2011年7月25日(平成23年)登録
員数1棟
寸法間口2.2m(塀付)
所有者個人(文化庁データベースに所有者名の記載なし)
公開状況常設の公開なし。長屋門の内側にある

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)矢田貝家住宅庭門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008760
文化遺産オンライン 矢田貝家住宅庭門
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/185761
とっとり文化財ナビ(鳥取県文化財課)矢田貝家住宅
https://db.pref.tottori.jp/bunkazainavi.nsf/bunkazai_web_view/117213810028FEE749257C5A00296E73
藤木竜也「家相図・日記に繙く矢田貝家住宅」『山陰研究』別冊2(島根大学、2026年)
https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/55741

最終更新日: 2026.10.07