明治村宗教大学車寄とは

明治村宗教大学車寄は、愛知県犬山市の博物館明治村にある明治41年(1908年)建築の車寄で、平成15年(2003年)12月1日に登録有形文化財(建造物)として登録された。

もとは東京の巣鴨に新築された私立宗教大学の本館に取り付いていた部分である。宗教大学は現在の大正大学の前身にあたる学校で、旧所在地は東京都豊島区西巣鴨。本館は中央に角ドームを載せた大屋根をいただく2階建ての洋風建築だった。車寄は、その正面玄関の前に張り出し、馬車や人力車を横づけして乗り降りするための屋根付きの空間である。

本館は昭和43年(1968年)に取り壊された。このとき車寄だけが保管され、昭和55年(1980年)に明治村へ移されている。

木造平屋建で、建築面積は28平方メートル。屋根は宝形造、銅板を瓦棒に葺く。高さは6.9メートルある。玄関前の張り出しだけでこの寸法だったのだから、失われた本館がどれほどの規模だったかは逆算できる。

登録有形文化財としての価値

明治村宗教大学車寄の登録基準は「造形の規範となっているもの」で、登録番号は23-0089、員数は1棟である。登録有形文化財の制度は、建物を使いながら守ることを前提に、比較的緩やかな保護をかける枠組みとして設けられている。

評価されているのは意匠の完成度である。明治後期の学校建築が洋風の細部をどう組み立てていたのかが、部材のひとつひとつに残っている。花崗岩を積んだ腰壁、各隅に3本ずつ束ねて立つ角柱、要石の飾りを頂く3心アーチ。同じ時期の官公庁建築や銀行建築と共通する語彙で、しかし学校という施設にふさわしい落ち着いた密度でまとめられている。

建物の大部分が失われ、玄関前の一部だけが文化財として残った例でもある。宗教大学の本館そのものは写真と図面でしか確認できない。明治村宗教大学車寄は、その建築の実物として触れられる唯一の部分にあたる。

移築で加えられた変更も文化庁の記録に明記されている。本館の壁に接していた背面が、移築時に正面と同じ形へ仕上げ直された点である。原状のままではないが、独立して立たせるための処置として記録されている。

見どころ

明治村宗教大学車寄は村内3丁目33番地にある。隣接する建物と壁を接していないため、四方から回り込んで見られる。

四隅に束ねられた角柱

足元は花崗岩を積んだ腰壁で固められている。その上に、各隅3本の角柱が束になって立ち上がる。1本の太い柱ではなく細い柱を寄せる手法で、見付けに陰影が生まれ、上に載る屋根の重さに見合う厚みが出る。

3心アーチと持送り

開口部は、頂部に要石の飾りを付けた3心アーチである。半円ではなく中心を3か所取って描く扁平なアーチで、幅の割に高さを抑えられる。アーチの起点にあたる迫元では、水平に回る蛇腹を持送りが下から受け止めている。手を伸ばせば届く高さなので、木を刻んで石造風の輪郭をつくり出した仕事ぶりが間近に確かめられる。

柱間の壁と透彫のパネル

柱と柱のあいだの壁は、蛇腹を境に仕上げが切り替わる。下部は横羽目板を張り、蛇腹より上には透かし彫りのパネルを入れる。日の高い時間帯には、この透かしを抜けた光が床に落ちる。

正面が4つある建物

背面を正面と同じ意匠で仕上げ直したため、明治村宗教大学車寄はどの面から見ても同じ顔をしている。車寄という部位は、本来は建物に取り付いて初めて成立する。相手を失った状態で自立させるための処置だったが、結果として、明治の職人が組んだ意匠を全周から観察できる建物になった。立ち止まって一周してみたい。

見学方法とアクセス

明治村宗教大学車寄は博物館明治村の展示建造物であり、見学には入村料が必要になる。大人2,500円、高校生1,500円、中学生と小学生は700円、未就学児は無料。車寄そのものに別料金や事前予約はない。

屋根と柱だけでできた構造物なので、閉じた室内は存在しない。柱のあいだを歩いて通り抜けられ、天井の裏側や蛇腹の下面まで近づいて見られる。

開村時間は季節によって変わる。おおむね午前9時30分から午後5時までだが、時期により午前10時開村、午後4時閉村となることがある。入村は閉村の30分前まで。休村日が設定される週があるので、来村前に公式サイトの開村カレンダーで確認したい。

撮影はできる。ただし村内では、建物内での三脚使用と、山林に立ち入っての撮影が禁じられている。

名鉄犬山駅東口から岐阜バス明治村線で約20分、終点「明治村」下車。車の場合は中央自動車道小牧東インターチェンジから約3キロで、駐車場は普通車1,000円、予約不可の現地精算となる。村内は起伏が大きく、3丁目までは坂を上ることになるので、歩きやすい靴で訪れたい。

Q&A

Q明治村宗教大学車寄はどこにありますか?
A愛知県犬山市内山1の博物館明治村内、村内3丁目33番地にあります。名鉄犬山駅東口から岐阜バス明治村線で約20分、終点下車です。
Q明治村宗教大学車寄の見学に料金はかかりますか?開村時間は?
A博物館明治村の入村料が必要です。大人2,500円、高校生1,500円、中学生と小学生は700円。開村時間はおおむね午前9時30分から午後5時までで、時期により午前10時開村、午後4時閉村となる場合があります。
Q明治村宗教大学車寄はもともとどこの建物でしたか?
A東京都豊島区西巣鴨にあった私立宗教大学、現在の大正大学の前身にあたる学校の本館正面の車寄です。本館は昭和43年(1968年)に解体され、車寄だけが昭和55年(1980年)に移築されました。
Q明治村宗教大学車寄は写真撮影できますか?
A撮影できます。ただし村内では建物内での三脚使用と、山林に立ち入っての撮影が禁じられています。
Q明治村宗教大学車寄はいつ文化財になりましたか?
A平成15年(2003年)12月1日に登録有形文化財(建造物)として登録されました。登録番号は23-0089、員数は1棟です。

基本データ

名称明治村宗教大学車寄
所在地愛知県犬山市内山1 博物館明治村内(村内3丁目33番地)
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成15年(2003年)12月1日 登録
員数1棟
寸法建築面積28平方メートル、高さ6.9メートル
所有者公益財団法人明治村
公開状況公開(博物館明治村の入村料が必要)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「明治村宗教大学車寄」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003676
文化遺産オンライン「明治村宗教大学車寄」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/179896
博物館明治村「宗教大学車寄」
https://www.meijimura.com/sight/%E5%AE%97%E6%95%99%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E8%BB%8A%E5%AF%84/
博物館明治村「各種料金」
https://www.meijimura.com/guide/price/
博物館明治村「開村スケジュール」
https://www.meijimura.com/guide/open/
博物館明治村「アクセス」
https://www.meijimura.com/guide/access/

最終更新日: 2026.09.03