伊予国奈良原山経塚出土品とは:山頂の経塚から出た平安末期の一括

伊予国奈良原山経塚出土品は、愛媛県今治市の奈良原山(楢原山)山頂の経塚から出土した平安時代末期の銅宝塔・銅経筒などの一括資料で、昭和31年(1956年)に国宝に指定された。

読みは「いよのくにならはらやまきょうづかしゅつどひん」。経塚とは、経典を筒などに納めて地中に埋め、塚を築いたもので、末法の世に経を後世へ残そうとする信仰から平安時代後期に各地で営まれた。

愛媛県の文化財解説によると、経塚は標高1,042メートルの奈良原山の山頂に営まれ、そのそばに奈良原神社の社殿があった。所有者は奈良原神社、管理団体は今治市で、資料は今治市玉川町の玉川近代美術館に収蔵されている。昭和13年(1938年)7月4日に重要文化財に指定され、昭和31年(1956年)6月28日に国宝となった。

出土の経緯と指定の理由

遺物が掘り出されたのは昭和9年(1934年)8月である。発見者の話では、塚の表面は石で覆われ、敷石の上に銅経筒(中に青白磁の盒子1口)を入れた甕が置かれ、その外側に桜菊双雀鏡・金銅笄・完全な形の檜扇があった。刀子を除くほかの遺物は、銅宝塔を覆っていた口を合わせた2つの甕の中から見つかったという。

指定品は、銅宝塔1基、金銅笄1本、甕残欠共3口分、青白磁盒子2口、銅銭1括、銅鈴5口、鉄鈴1口、鰐口1口、銅鏡5面(うち残片2面)、椀形土器1口、銅経筒1口、刀子1括、檜扇2柄(うち残欠1柄)のほか、伴出物の一切である。

紀年銘はないが、遺物はいずれも12世紀の平安時代末期のものと考えられている。埋納の状態が発見者の証言によって伝わり、宝塔・経筒・鏡・扇・中国陶磁までが一括で残ることが、国内でも屈指の考古資料と評価される理由になっている。

見どころ:銅宝塔と檜扇

中心となる銅宝塔は、近年補作された基壇を除いた全高が71.5センチメートル。塔身・屋根・相輪が完全に残る。塔身は鋳銅製で、下部に木製の反花が付き、軸部の正面に種子曼荼羅、背面の中央に大日法身真言、その左右に大日報身真言が線刻されている。屋根は鋳銅、相輪は鉄の芯に銅製の部品を挿して組み立てている。

銅経筒は総高30.2センチメートル。蓋が大きく盛り上がり、宝珠形のつまみが付く典型的な鋳銅製の経筒で、底には草花蝶鳥鏡が鏡背を筒の内側に向けて入れられている。

檜扇のひとつは縦30.3センチメートル、幅3.3センチメートルで、2枚の親骨が白銅製、ヒノキの薄板21枚が完全に残る。もう1柄は上部と要のあたりの残欠で、両面に花樹と人物の彩色画があり、人物は引目鈎鼻で描かれている。平安時代の檜扇が絵を残した状態で伝わる例は少なく、展示されていれば見逃せない。

青白磁盒子は中国・宋代の窯で焼かれた影青と呼ばれる磁器で、山頂の経塚に海を越えてきた器が納められていたことを示している。

見学方法:玉川近代美術館

伊予国奈良原山経塚出土品は、今治市玉川町大野甲86-4の玉川近代美術館に収蔵されている。今治市によれば、JR今治駅から松山市駅行きの特急バスに乗り、「玉川支所前」で降りて徒歩約8分である。

開館時間は午前9時から午後5時。休館日は毎週月曜日(祝日の場合は原則翌日)と12月29日から1月3日、そのほか展示替えなどで休館する日がある。観覧料は一般520円、学生260円、高校生以下または18歳未満は無料である。

出土品のどの品がいつ展示されているかについて、公式の案内は確認できなかった。特定の品を見たい場合は、事前に美術館(電話0898-55-2738)へ確認してほしい。展示室は2階構造でエレベーターがない。撮影の可否は館の掲示に従う。

Q&A

Q伊予国奈良原山経塚出土品はどこで見られますか?
A今治市玉川町大野の玉川近代美術館に収蔵されています。展示の状況は事前に美術館(0898-55-2738)へ確認してください。
Q奈良原山経塚の出土品はいつ見つかりましたか?
A昭和9年(1934年)8月に発掘されました。経塚は標高1,042メートルの奈良原山の山頂にありました。
Q伊予国奈良原山経塚出土品には何が含まれますか?
A銅宝塔・銅経筒・銅鏡・檜扇・青白磁盒子・金銅笄・鰐口・銅鈴などと伴出物の一切です。12世紀の平安時代末期のものと考えられています。
Q伊予国奈良原山経塚出土品はいつ国宝に指定されましたか?
A昭和31年(1956年)6月28日です。昭和13年(1938年)7月4日に重要文化財に指定されていました。
Q玉川近代美術館の開館時間と観覧料は?
A午前9時から午後5時で、月曜日が休館です。観覧料は一般520円、学生260円、高校生以下または18歳未満は無料です。

基本情報

名称伊予国奈良原山経塚出土品
所在地愛媛県今治市玉川町大野甲86-4(玉川近代美術館)
指定区分国宝(考古資料)
指定年昭和31年(1956年)6月28日国宝指定(重要文化財指定は昭和13年(1938年)7月4日)
員数1括(銅宝塔1基、銅経筒1口、銅鏡5面、檜扇2柄ほか)
寸法銅宝塔全高71.5センチメートル、銅経筒総高30.2センチメートル
所有者奈良原神社(管理団体 今治市)
公開状況玉川近代美術館に収蔵。午前9時から午後5時、一般520円

参考文献

愛媛県「伊予国奈良原山経塚出土品」(県の文化財解説)
https://ehime-c.esnet.ed.jp/bunkazai/kennobunkazai/shiteibunkazai/kouko/pdf-files/kuni/1-7-01naraharayamakyozuka.pdf
今治市 玉川近代美術館「ご利用案内」
https://www.city.imabari.ehime.jp/museum/tamagawa/info/
今治市 玉川近代美術館「アクセス・地図」
https://www.city.imabari.ehime.jp/museum/tamagawa/access/
今治市 玉川近代美術館「美術館について」
https://www.city.imabari.ehime.jp/museum/tamagawa/about/
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.27