福井地震を越えて残った煉瓦の煙突

安本酒造煙突は、福井県福井市安原町の安本酒造に立つ昭和前期の煉瓦造の煙突で、平成27年(2015年)3月26日に国の登録有形文化財に登録された。昭和中期に改修を受けており、現在の高さは4.7メートル、面積は1.1平方メートルである。

安本酒造の10件のなかで員数を「1基」と数える唯一の工作物で、登録基準もほかの9件と異なる。

イギリス積の正方形平面

文化庁の解説によれば、安本酒造煙突は仕込蔵一の北方に立つ。焚口は煙突の足もとではなく、仕込蔵一の中の蒸し場にあった。酒米を蒸すための釜の煙を、この煙突が屋外へ抜いていたことになる。

基部は外法で一辺約1メートルの正方形の平面をもつ。煉瓦はイギリス積で積まれている。長手(煉瓦の長い面)だけの段と小口(短い面)だけの段を1段ごとに交互に重ねる積み方で、目地の模様が段ごとに切り替わるのが見分けるこつである。

昭和23年(1948年)の福井地震で被災し、現在は高さ約4.7メートル分が残されている。地震の前にどれほどの高さがあったかは、文化庁の解説には記されていない。

10件で唯一の「造形の規範」

安本酒造煙突の登録番号は18-0131。登録基準は「造形の規範となっているもの」で、ほかの9件がそろって「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で登録されたなかで、この1基だけが別の基準に拠っている。

文化庁は、安本酒造煙突が酒造場の仕込み場の様子を伝えると述べている。蒸し場の焚口と一体で使われた煙突は、建物の内部で行われていた蒸米の工程を外から示す手がかりでもある。

安本酒造煙突の見学

安本酒造煙突は表門の奥、仕込蔵一の北に立つ。旧街道から門越しに見えるかどうかは、門の開き具合や立つ位置によると考えておきたい。

安本酒造は酒蔵見学を受け付けておらず、門の中へ入ることはできない。写真は公道から、通行の妨げにならない範囲で撮りたい。

Q&A

Q安本酒造煙突はいつ造られましたか?
A昭和前期の築造で、昭和中期に改修されています。
Q安本酒造煙突は何に使われていましたか?
A焚口が仕込蔵一の中の蒸し場にあり、酒米を蒸す釜の煙を外へ出していました。
Q安本酒造煙突の高さはどれくらいですか?
A昭和23年(1948年)の福井地震で被災し、現在は約4.7メートル分が残っています。基部は一辺約1メートルの正方形です。
Q安本酒造煙突の煉瓦はどう積まれていますか?
A長手の段と小口の段を1段ずつ交互に重ねるイギリス積です。
Q安本酒造煙突はなぜ登録有形文化財なのですか?
A平成27年(2015年)3月26日に「造形の規範となっているもの」として登録されました。安本酒造の10件でこの基準はこの煙突だけで、登録番号は18-0131です。

基本情報

名称安本酒造煙突(やすもとしゅぞうえんとつ)
所在地福井県福井市安原町7字下堀田4他
指定区分登録有形文化財(建造物)、登録番号18-0131
指定年平成27年(2015年)3月26日登録
員数1基
寸法煉瓦造、イギリス積、高さ4.7メートル、面積1.1平方メートル。昭和前期築造、昭和中期改修
所有者文化庁データベースに記載なし
公開状況表門の奥にあり、外からの見え方は門越しに限られる

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):安本酒造煙突
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010448
福井市:建造物一覧
https://www.city.fukui.lg.jp/kankou/bunka/bunkazai/kennzoubutu.html
福いろ(福井市観光公式サイト):安本酒造/「白岳仙」
https://fuku-iro.jp/gourmet/detail_10706.html

最終更新日: 2026.09.28