東京・千駄木から移された日本画家の画室

賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟は、広島県東広島市西条本町の賀茂鶴酒造の迎賓館「蓬莱庵」にある昭和前期(1926〜1945年)の木造平屋建の建物で、平成17年(2005年)に東京から移築され、平成29年(2017年)6月28日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「かもつるしゅぞうほうらいあんがしつとう」である。

賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟は、もとは日本画家・児玉希望(こだま・きぼう)が東京都文京区千駄木の自宅に構えた画室である。蔵元の沿革によれば、児玉家と賀茂鶴の経営者の家は婚姻で結ばれており、児玉の没後、旧宅の茶室を譲り受けて平成14年(2002年)に迎賓館「蓬莱庵」を設けた。その2年後、旧宅の中心だった画室棟を移す工事に着手し、平成17年に完成した。

座敷15畳と次の間12畳の数寄の造り

建築面積は93平方メートル。北の端に15畳の座敷、その南に12畳の次の間を置き、南端に廊下を通して南西の隅に玄関を設ける。庭に面した北面と西面には濡縁(ぬれえん)を回している。

座敷の床の間は3畳分の畳を敷いた広い畳床で、書院まわりを込み入った構成にまとめる。文化庁は近代的な要素の強い上質な造りと評し、登録基準も「造形の規範となっているもの」とした。蔵元によると、移築工事は数寄屋の老舗である安井杢工務店が手がけ、建築家の片山和俊が設計・監修にあたった。画室棟まわりの庭は植藤造園の植藤晋一による。

移築された建物としての賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟

文化庁の年代は「昭和前期/平成17年移築」で、建物そのものは児玉が千駄木で使っていた時期の造りである。所在地は東広島市西条本町571-4ほか。酒蔵の敷地にありながら酒造りとは無関係の、画家の仕事場を受け継いだ建物という点で、賀茂鶴酒造の19件のなかで性格がまったく異なる。

賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟の見学

蓬莱庵は得意先などの来客をもてなす迎賓館で、一般には公開されていない。蔵元は茶会などでの利用については相談を受け付けるとしており、平成28年(2016年)には遠州流茶道の記念茶会が蓬莱庵で開かれた。

賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟は敷地の内側にあり、通りから建物を見ることは難しいと考えておいたほうがよい。

Q&A

Q賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟はもともと何の建物ですか?
A日本画家・児玉希望が東京都文京区千駄木の自宅に構えた画室で、平成17年(2005年)に東広島市へ移築されました。
Q賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟の間取りは?
A北端に15畳の座敷、その南に12畳の次の間、南端に廊下、南西隅に玄関があり、北面と西面に濡縁を回しています。
Q賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟の登録基準は?
A「造形の規範となっているもの」です。3畳の畳床の床の間や複雑な書院まわりが評価されています。
Q賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟は見学できますか?
A蓬莱庵は来客用の迎賓館で一般公開はしていません。茶会などでの利用は蔵元が相談を受け付けています。
Q賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟の移築を手がけたのは?
A蔵元によると、施工は安井杢工務店、設計・監修は建築家の片山和俊です。

基本情報

名称賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟(かもつるしゅぞうほうらいあんがしつとう)
所在地広島県東広島市西条本町571-4他
指定区分登録有形文化財(建造物)、登録番号34-0226
指定年平成29年(2017年)6月28日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積93平方メートル(座敷15畳・次の間12畳)
所有者賀茂鶴酒造株式会社
公開状況非公開(迎賓館。茶会などの利用は要相談)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011815
文化遺産オンライン:賀茂鶴酒造蓬莱庵画室棟
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/247111
賀茂鶴酒造株式会社:これまでの150年
https://www.kamotsuru.jp/history/
賀茂鶴酒造株式会社:遠州流茶道呉支部創立60周年記念茶会 賀茂鶴「蓬莱庵」にて開催
https://www.kamotsuru.jp/news/8021/
賀茂鶴酒造株式会社:日本酒の未来を拓く Episode 04
https://www.kamotsuru.jp/150th-anniversary/interview04/

最終更新日: 2026.10.01