遠藤家住宅蔵とは

遠藤家住宅蔵は、北海道札幌市中央区南6条西5丁目18にある大正8年(1919年)頃の煉瓦造2階建の蔵で、平成26年(2014年)10月7日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「えんどうけじゅうたくくら」。

遠藤家住宅蔵は主屋の北西の角に接して建ち、主屋と一続きになっている。屋根は瓦葺で、建築面積は54平方メートル。遠藤家住宅の6件のうち、壁も構造もすべて煉瓦で組んだ建物はこの蔵だけである。

遠藤家住宅蔵が登録された理由

遠藤家住宅蔵の登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、主屋の煉瓦の北壁と並んで、通りに重厚な街並みをつくっている点を評価している。

形の上で目を引くのは、日本の蔵という型に西洋古典建築の意匠を重ねていることだ。煉瓦の積み方、妻壁の飾り、軒の装飾、屋根裏の骨組みまで、遠藤家住宅蔵は外から内まで洋風の語彙でまとめられている。

焼過煉瓦をイギリス積に

遠藤家住宅蔵の壁は、焼過煉瓦をイギリス積にしたものである。焼過煉瓦は窯のなかで火に近い位置に置かれて高温で焼かれ、表面が黒みを帯びて硬く焼き締まった煉瓦をいう。普通の赤煉瓦より色が濃く、壁全体が沈んだ色調になる。

イギリス積は、煉瓦の長い面を見せる段と短い面を見せる段を1段おきに重ねる積み方である。壁に近づくと、横長の煉瓦が並ぶ段と小さな四角が並ぶ段が交互に現れるので、積み方を目で確かめられる。

ペディメントと歯飾り、洋式の小屋組

遠藤家住宅蔵の両側の妻壁は、三角形の破風の頂部をあえて途切れさせたブロークンペディメントの形に仕立て、そこに小さな庇を付けた窓を開けている。軒の下には壁から張り出す帯状のコーニスを回し、その下面に小さな角材を歯のように並べた歯飾りを付ける。

屋根を支える骨組みはキングポストトラスで、中央に立つ真束と斜めの部材で三角形を組む洋式の小屋組である。内部の階段も洋風の意匠でまとめられており、遠藤家住宅蔵は見えない部分まで西洋の作法に従って造られている。

遠藤家住宅蔵の見学

遠藤家住宅蔵の内部は公開されていない。蔵は屋敷の北西にあって北側の通りに面しているため、外観は北の道から見るのがよい。妻壁のペディメントやコーニスの歯飾りは高い位置にあるので、少し離れて見上げると形がつかみやすい。

撮影の可否について公式の案内は見つからなかった(2026年10月確認)。

Q&A

Q遠藤家住宅蔵はいつ建てられましたか?
A大正8年(1919年)頃の建築で、主屋と同じ時期とされています。
Q遠藤家住宅蔵はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A主屋の煉瓦の北壁とともに重厚な街並みをつくり、国土の歴史的景観に寄与していると評価され、平成26年(2014年)に登録されました。
Q遠藤家住宅蔵の煉瓦はどのように積まれていますか?
A表面が黒っぽく焼き締まった焼過煉瓦を、長い面の段と短い面の段を交互に重ねるイギリス積にしています。
Q遠藤家住宅蔵にはどんな西洋風の装飾がありますか?
A両妻のブロークンペディメントと庇付きの窓、軒のコーニスに並ぶ歯飾りがあります。小屋組はキングポストトラスで、内部の階段も洋風です。
Q遠藤家住宅蔵はどこから見られますか?
A屋敷の北西にあり、北側の道から外観を見ることができます。内部は公開されていません。

基本情報

名称遠藤家住宅蔵(えんどうけじゅうたくくら)
所在地北海道札幌市中央区南6条西5-18他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成26年(2014年)登録
員数1棟
寸法建築面積54㎡(煉瓦造2階建)
所有者非公表
公開状況非公開(敷地外から外観のみ)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)遠藤家住宅蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010089
文化遺産オンライン 遠藤家住宅蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/262242
札幌市 さっぽろの文化財 遠藤家住宅(主屋・蔵・南石蔵・北石蔵・表門・塀)
https://www.city.sapporo.jp/shimin/bunkazai/pdf/documents/p56_endoke_ol.pdf

最終更新日: 2026.10.01