塚本家住宅土蔵とは

塚本家住宅土蔵は、茨城県桜川市真壁町真壁にある明治41年(1908年)建築の2階建の蔵で、平成16年(2004年)11月8日に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。登録番号は第08-0153号である。

建つのは敷地の南側、上宿通りに接する部分の東隅である。構造は土蔵造の2階建、屋根は切妻造桟瓦葺で、棟は南北に通る。建築面積は80平方メートル。外壁は白い漆喰で塗り込め、軒の下には鉢巻と呼ばれる帯状の塗り回しがめぐる。

正面にあたるのは西面で、ここに下屋を架ける。つまり出入りは敷地の内側からで、通りに向いているのは妻側の壁である。その妻壁の2階部分に、小さな窓がひとつ開く。

火事が生んだ蔵の町

真壁の商家がこぞって蔵を建てるようになった契機は、天保8年(1837年)の大火である。それまでの町並みは萱葺きや板葺きが主体だったが、大火のあと陣屋は瓦葺きに改まり、商家は店舗を蔵造りとした見世蔵や、家財を納める土蔵を建てるようになった。明治期に入ると、その建設は最盛期を迎える。

塚本家住宅土蔵の明治41年(1908年)という年代は、その建設期のただ中にあたる。厚く塗り込めた土壁と瓦の屋根は、隣家からの延焼を食い止めるための備えであり、白漆喰の明るい壁面は結果として真壁の通りの色を決めることになった。

登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説も、塚本家住宅土蔵を見世蔵や門と並ぶ上宿通りの景観の構成要素として位置づけている。同じ日には見世蔵(第08-0151号)、主屋(第08-0152号)、門(第08-0154号)も登録され、塚本家の屋敷は4棟がまとまって登録有形文化財となった。

町並み全体としての評価も続いた。平成22年(2010年)6月29日、真壁地区の約17.6ヘクタールが重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。全国で87地区目、茨城県内では初の選定である。

通りに向けた妻壁と小窓

塚本家住宅土蔵の見どころは、建物の向きにある。棟が南北に通るため、上宿通りに向くのは屋根の三角形が現れる妻側になる。通りを歩く人が最初に受け取るのは、白い壁の上に切り取られた三角形と、その中央付近に開く小窓ひとつという、きわめて単純な構成である。

蔵の窓が小さいのは意匠ではなく必要による。開口部は火が入り込む弱点であり、明かりと風を通す最小限にとどめられた。飾りをほとんど持たない壁面のなかで、この小窓だけが位置と大きさで表情をつくっている。

一方、出入口のある西面には下屋が架かる。荷の出し入れをする面には庇を出して雨をしのぎ、通りに向けた面は閉じたままにする。実用の判断がそのまま外観の差になっている。

土蔵の手前には黒板塀が続き、西隣の門、さらにその西の見世蔵と軒を連ねる。白い漆喰、黒い板塀、瓦の灰色という3色が、この短い区間で交互に現れる。

なお、真壁の伝統的建造物は平成23年(2011年)の東日本大震災で大きな被害を受けた。伝統的建造物群保存地区のなかでも被害は最大級で、伝統的建造物の90パーセント以上が損傷し、復旧事業が長く続けられてきた。いま目にする白壁の連なりは、その修理を経た姿である。

塚本家住宅土蔵を訪ねる

塚本家住宅土蔵は個人の所有で、内部は公開されていない。それでも敷地の4棟のうち、通りにもっとも近いのがこの蔵である。歩道に立てば妻壁を数メートルの距離で見上げられる。料金も見学時間の制約もない。

カメラを向けるなら公道からにとどめたい。塀の上や門の奥へレンズを差し入れる行為は、住まいの領域を侵すことになる。

建物の内側に触れられる機会は、町ぐるみの行事に限られる。「真壁のひなまつり」は例年2月上旬に始まり、3月3日に終わる。会期中は100軒を超える住宅や店舗が雛人形を並べ、見学は無料である。第二十二章は令和8年(2026年)2月4日から3月3日まで開かれた。どこまで座敷を開けるかは家ごとに違い、年によっても変わる。桜川市観光協会の案内で最新の情報を確かめてから出かけたい。

車で向かうなら、北関東自動車道の桜川筑西インターチェンジから約20分、常磐自動車道の土浦北インターチェンジからは国道125号と県道41号をたどって約50分かかる。駐車は真壁高上町駐車場(桜川市真壁町真壁279-1)が便利で、普通車は65台分。大型車4台分については桜川市都市整備課への事前予約がいる。鉄道を使う場合はJR水戸線岩瀬駅で降りてタクシーに乗り継ぐのが早く、所要は約20分。つくばエクスプレスつくば駅からは、つくば市のバスで筑波山口まで約50分、さらに桜川市バスの岩瀬庁舎方面行きで約20分である。会期中は会場周辺で車両通行止めとなる日がある。

Q&A

Q塚本家住宅土蔵の内部は見学できますか。
A個人所有のため内部は公開されていません。ただし上宿通りに接して建つので、外観は通りから間近に見られます。料金はかかりません。
Q塚本家住宅土蔵はいつ建てられ、いつ文化財になりましたか。
A明治41年(1908年)の建築です。平成16年(2004年)11月8日に国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。登録番号は第08-0153号です。
Q塚本家住宅土蔵の窓が小さいのはなぜですか。
A蔵は火災から家財を守るための建物で、開口部は火が入り込む弱点になります。そのため窓は明かりと風を通す最小限にとどめられました。通りに面した妻壁の2階に開く小窓が、その考え方をよく示しています。
Q塚本家住宅土蔵へはどう行けばよいですか。駐車場はありますか。
A車では桜川筑西インターチェンジから約20分です。鉄道の場合は岩瀬駅からタクシーに乗り継いで約20分、つくば駅からは筑波山口で乗り換えて約70分かかります。駐車は真壁高上町駐車場に普通車65台分が用意されています。
Q塚本家住宅土蔵と一緒に見ておきたい建物はありますか。
A同じ敷地の見世蔵、門、主屋が同じ日に登録有形文化財となっています。通りに接して西から見世蔵、門、そして黒板塀を挟んで土蔵が並び、主屋は見世蔵の奥に控えます。4棟をひと続きに眺めると、商家の屋敷の組み立て方が見えてきます。

基本情報

名称塚本家住宅土蔵(つかもとけじゅうたくどぞう)
所在地茨城県桜川市真壁町真壁60
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録番号 第08-0153号
指定年平成16年(2004年)11月8日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積80㎡
所有者個人(氏名非公表)
公開状況内部非公開、外観は上宿通りから見学可

参考文献

塚本家住宅土蔵/国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00004323
塚本家住宅土蔵/文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/184233
塚本家住宅土蔵/茨城県教育委員会
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-6367/
塚本家住宅門/茨城県教育委員会
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-6370/
桜川市真壁伝統的建造物群保存地区(天保8年の大火と蔵の普及、震災被害)/桜川市
https://www.city.sakuragawa.lg.jp/education/bunkazai/city_bunkazai/kuni_bunkazai/page003423.html
真壁の町並み(所在地・アクセス・駐車場)/桜川市
https://www.city.sakuragawa.lg.jp/tourism_guide/learn/page000455.html
桜川市真壁伝統的建造物群保存地区/茨城県教育委員会
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-8557/
真壁のひなまつり(開催期間)/観光いばらき
https://www.ibarakiguide.jp/event.php?mode=detail&code=1074

最終更新日: 2026.09.07