文化5年の銘を持つ屋敷最古の蔵

橋本酒造槽場は、石川県加賀市動橋町の造り酒屋の屋敷にある文化5年(1808年)建築の酒蔵で、平成17年(2005年)12月26日に国の登録有形文化財となった。屋敷の12棟の中で最も古い。

石蔵の南方、主屋の通り庭の西側に接して東西に長く建つ。桁行10間半、梁間4間、建築面積145平方メートルの2階建の土蔵造で、屋根は切妻造、桟瓦葺とする。

「槽場(ふなば)」は、発酵を終えた醪(もろみ)を酒袋に詰め、槽(ふね)と呼ぶ箱に積んで圧をかけ、酒と酒粕に分ける場所である。酒造りの最後の工程を担う蔵が、主屋の土間から直接出入りできる位置に置かれている。

登録の理由:年代を刻んだ金具と三重の壁

橋本酒造槽場は「再現することが容易でないもの」として登録された。建築年代の根拠は、主屋側の土扉の金具に記された「文化五年辰七月吉日」の銘である。文化5年の干支は戊辰で、銘の「辰」と合う。

壁のつくりも手が込んでいる。外周には半間ごとに柱を立て、その外側に凝灰岩の板石を張り、さらに外側に土壁の層を設けて漆喰で仕上げる。木・石・土の三層で囲んだ壁は、火に強く、蔵の中の温度を一定に保つのにも役立ったと考えられる。

見どころ:主屋側の土扉

橋本酒造槽場で最も見たいのは、主屋の通り庭に面した土扉である。分厚い扉の金具に、建てられた年と月がそのまま刻まれている。文献ではなく建物自体が、200年以上前の自らの年代を語っている。

外から見るなら、白い漆喰の長い壁面に注目したい。桁行10間半の壁が東西に続き、その内側に石と柱の層が隠れている。北面の西寄りには、江戸末期の貯蔵庫が南北棟で接続している。

見学方法

橋本酒造槽場は主屋の西側に接して、敷地の内側に建つため、公道からは屋根の一部が見える程度である。敷地は私有地で、所有者の案内なく立ち入ることはできない。

屋敷は私設美術館として整備される計画が報じられているが、この棟が公開対象になるかどうかと撮影の可否は、2026年9月の時点で確認できなかった。屋敷への行き方と全体の見学条件は、橋本酒造のページにまとめてある。

Q&A

Q橋本酒造槽場はいつ建てられましたか?
A文化5年(1808年)です。主屋側の土扉の金具に「文化五年辰七月吉日」の銘があり、屋敷の12棟の中で最も古い建物です。
Q橋本酒造槽場の「槽場」とは何ですか?
A発酵を終えた醪を酒袋に詰め、槽(ふね)と呼ぶ箱で搾って、酒と酒粕に分ける場所です。酒造りの最後の工程を担います。
Q橋本酒造槽場の壁はどんな構造ですか?
A外周に半間ごとに柱を立て、その外側に凝灰岩を張り、さらに外側に土壁の層を設けて漆喰で仕上げています。
Q橋本酒造槽場の大きさは?
A桁行10間半・梁間4間、建築面積145平方メートルの2階建の土蔵造です。
Q橋本酒造槽場は見学できますか?
A敷地の内側に建つ私有の建物で、公道からは屋根の一部しか見えません。屋敷の公開条件は2026年9月の時点で確認できていないため、訪問前に最新情報を確かめてください。

基本情報

名称橋本酒造槽場(はしもとしゅぞうふなば)
所在地石川県加賀市動橋町イ184
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成17年(2005年)12月26日登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積145平方メートル、桁行10間半・梁間4間
所有者加賀萬隆株式会社
公開状況敷地内部の建物で、公道からは見えにくい。内部の公開は所有者側の運用による

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)/橋本酒造槽場
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005126
文化遺産オンライン/橋本酒造槽場
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/181346
加賀市/国登録文化財
https://www.city.kaga.ishikawa.jp/ed/bunka_shinko/6066.html

最終更新日: 2026.09.25