横屋酒造麹室とは

横屋酒造麹室は、岩手県一関市千厩町の旧横屋酒造の敷地にある明治35年(1902年)ごろ建築の石造平屋建の麹室で、平成15年(2003年)に国の登録有形文化財に登録された。

敷地の北側に、正面蔵と平行して建つ。桁行約22メートル、梁間約7メートルの細長い建物で、建築面積は159平方メートル、内部は2室に分かれる。東の妻にはタンク置場が接している。麹室は、蒸した米に麹菌を付けて麹を育てる部屋で、酒の味を左右する工程がここで行われた。

登録の理由と価値

横屋酒造・佐藤家住宅の酒造施設は土蔵造と木造がほとんどで、石で壁を積んだのは横屋酒造麹室だけである。麹づくりは室温と湿度を高く、しかも一定に保たなければならない作業で、厚い石の壁はその保温に向いている。用途に合わせて構造を選んだ建物として、酒造施設のなかでも性格がはっきりしている。

文化庁の解説は、石の外壁を重厚なつくりとして評価している。明治35年ごろ、造り蔵・正面蔵・東蔵とほぼ同じ時期に整えられた酒造施設の一部であり、登録番号は03-0048である。

見どころ:2種類の石と軒蛇腹

石の壁は上下で材料が違う。腰は花崗岩で、表面をこぶ状に荒々しく残した瘤出し仕上げ。その上は塩竃石と呼ばれる凝灰岩の切石で、きめの細かい肌が整然と積まれている。重い石で足もとを固め、加工しやすい軟らかな石で上を積む、材の使い分けが一目で分かる。

壁の最上部には軒蛇腹が廻り、屋根は切妻造の桟瓦葺。洋風建築の軒まわりに見られる蛇腹を石の麹室に回しているところに、明治後期の地方の建物らしい意匠の取り入れ方が表れている。長さ約22メートルの壁を斜めから見ると、瘤出しの陰影と切石の平滑さの対比がいちばんよく分かる。

見学方法

横屋酒造麹室は正面蔵の北側、敷地の奥にある。千厩酒のくら交流施設の開館日には敷地内から外観を無料で見学できる。ただし、酒造施設の内部を常時公開するという案内は運営者のサイトに見当たらないため、見学は外観が基本と考えたい。内部を見たい場合は、千厩まちづくり株式会社(電話0191-53-2070)へ事前に問い合わせるとよい。敷地への行き方と開館日・開館時間は、横屋酒造・佐藤家住宅のページにまとめてある。

Q&A

Q横屋酒造麹室は何をする建物ですか?
A蒸した米に麹菌を付けて麹を育てる部屋です。室温と湿度を高く一定に保つ必要があるため、厚い石の壁で建てられています。
Q横屋酒造麹室はなぜ石造なのですか?
A麹づくりには保温が欠かせず、石の厚い壁がそれに向いているためと考えられます。敷地の酒造施設で石造は麹室だけです。
Q横屋酒造麹室の壁にはどんな石が使われていますか?
A腰に花崗岩を瘤出し仕上げで積み、その上に塩竃石と呼ばれる凝灰岩の切石を積んでいます。最上部には軒蛇腹が廻ります。
Q横屋酒造麹室は見学できますか?
A千厩酒のくら交流施設の開館日に、敷地内から外観を無料で見学できます。内部は常時公開されていないため、入りたい場合は運営者に事前に確認してください。
Q横屋酒造麹室はいつ建てられ、いつ登録されましたか?
A明治35年(1902年)ごろの建築で、平成15年(2003年)1月31日に国の登録有形文化財に登録されました。

基本情報

名称横屋酒造麹室(よこやしゅぞうこうじしつ)
所在地岩手県一関市千厩町千厩字北方134-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成15年(2003年)1月31日登録
員数1棟
寸法石造平屋建、瓦葺、建築面積159平方メートル(桁行約22メートル、梁間約7メートル)
所有者一関市
公開状況開館日に敷地内から外観を無料で見学可。内部は常時公開ではない

参考文献

横屋酒造麹室|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003037
千厩酒のくら交流施設(千厩まちづくり株式会社)
https://sakenokura.com/wp/kura/

最終更新日: 2026.09.25