ヤマサン醤油とは
ヤマサン醤油は、香川県小豆郡小豆島町馬木にある弘化3年(1846年)創業の醤油醸造元で、醸造場の施設11件と醸造元の塩田家住宅5件、あわせて16件が登録有形文化財に登録されている。登録は平成14年(2002年)、平成15年(2003年)、平成18年(2006年)の3回に分かれて行われた。
小豆島の南東部、内海湾の奥に広がる馬木から苗羽にかけての一帯は、醤油蔵が軒を連ねてきた土地で、いまも「醤の郷」と呼ばれている。ヤマサン醤油は、自社を小豆島で最も古くから続く醸造元と紹介している。会社としての設立は明治35年(1902年)である。
現在の建物群は、明治末期から昭和初期にかけて二代目の鹽田龜吉が建てたものと町の案内は伝える。文化庁のデータベースで年代を確かめると、北醤油蔵が明治後期、塩田家住宅の主屋が大正3年(1914年)、三階建醤油醸造工場や東麹蔵など醸造場の7件が大正期、洗い場・洋館・製麹長屋門及び納屋と塩田家住宅の土蔵・離屋・長屋門が昭和初期に当たる。おおむね30年ほどの間に、醸造場と住まいの骨格ができあがったことが読み取れる。
敷地の構成と建物の並び
ヤマサン醤油の敷地は、醸造元の住まいである塩田家住宅を南に置き、その北側に醸造場が広がる配置をとる。醸造場と住宅が一続きで残り、その両方が登録されている点がこの蔵元の特徴である。文化庁のデータベースでは、住宅の所在地は苗羽字石井甲140-2、醸造場は馬木字石井甲140-2と、大字を分けて記されている。
住宅の敷地は西を馬木川に接する。中央北寄りに大正3年(1914年)の主屋が建ち、西に離れ座敷をつなぐ。敷地の南辺には長屋門と塀が構えられ、塀は馬木川沿いで石垣の上に立ち上がる。川の屈曲部の護岸上には南土蔵、その北に坪庭を隔てて東離屋が並び、馬木川に架かる石橋から醸造場へ向かう通路沿いには北土蔵が建つ。
醸造場のほぼ中央に立つのが三階建醤油醸造工場で、周囲の平屋よりひときわ高い。その西面と南面に仕込み場及びボイラー室が取り付き、北側には槽場をはさんで長さ30間に及ぶ北醤油蔵が東西に延びる。北醤油蔵の西の妻には菱形平面の桶場が接している。
三階建工場の東には作業広場があり、広場の東側に南北棟の東麹蔵が立つ。東麹蔵の西の前面には、花崗岩の井戸をもつ洗い場が南北に2か所設けられ、その南寄りに操作場と米蔵が洗い場をはさんで向き合う。ボイラー室の南、操作場の西には、昭和34年(1959年)に移築された小さな洋館がある。
道路を渡った向かいの敷地には、納屋と麹室を組み込んだ製麹長屋門及び納屋が道沿いに建つ。原料の洗浄から麹づくり、仕込み、搾り、貯蔵までの工程が、建物の配置そのものに刻まれている。
ヤマサン醤油の登録文化財一覧
このグループに属する登録有形文化財は、ヤマサン醤油の名を冠する11件と塩田家住宅の5件で、いずれも1棟ずつの登録である。
- 平成14年(2002年)6月25日登録:三階建醤油醸造工場、北醤油蔵、東麹蔵、洗い場、塩田家住宅の長屋門及び塀・南土蔵・東離屋・北土蔵
- 平成15年(2003年)9月19日登録:槽場、仕込み場及びボイラー室、米蔵、操作場、桶場、洋館、塩田家住宅主屋及び離れ座敷
- 平成18年(2006年)3月2日登録:製麹長屋門及び納屋
登録の基準は、洋館と塩田家住宅の主屋が「造形の規範となっているもの」で、ほかの14件は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。なお町の観光案内は、塩田家住宅を合わせて18棟が登録されていると紹介しており、文化庁のデータベースで確認できる16件とは数え方が異なる。
ヤマサン醤油の見学方法とアクセス
ヤマサン醤油は現役の醸造元で、敷地は自由に出入りできる公開施設ではない。小豆島町の観光案内によると、蔵の見学は予約制で、当主が敷地内を案内する形をとっている。もろみ蔵、麹部屋、三階建ての蔵、長屋門、土蔵、前栽などが見学先として挙げられている。
町が紹介する体験プランは、蔵の見学に醤油とオリーブオイルの味見を組み合わせたもので、料金はお土産付きで1人1,000円、時間は午前10時から正午までと午後1時30分から午後3時30分までの2枠である。営業時間は午前9時から午後5時までと案内されているが、定休日は土日祝日・お盆・年末年始とするページと不定休とするページがあり、どちらも令和2年(2020年)に更新されたままである。予約の際に電話(0879-82-1014)で現在の受付条件を確かめてほしい。
島内の移動は小豆島オリーブバスの坂手線が便利で、最寄りの停留所は「馬木」である。坂手線は土庄港から池田港、草壁港を経て坂手港までを結んでおり、これらの港からは乗り換えなしで馬木まで来られる。草壁港からは東へ約2キロの距離にある。
建物の多くは醸造場の内側にある。外から姿をとらえやすいのは、周囲よりひときわ高い三階建工場、道路沿いに建つ製麹長屋門及び納屋、そして住宅敷地の南辺と馬木川沿いを画する塩田家住宅の長屋門と塀である。周辺は住宅と醸造所が混じる生活の場なので、見学の前後に敷地の外から眺める場合も、作業車両や通行の妨げにならないよう気を配りたい。
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)ヤマサン醤油三階建醤油醸造工場
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002831
- 国指定文化財等データベース(文化庁)ヤマサン醤油北醤油蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002832
- 国指定文化財等データベース(文化庁)ヤマサン醤油槽場
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003619
- 国指定文化財等データベース(文化庁)ヤマサン醤油洋館
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003624
- 国指定文化財等データベース(文化庁)ヤマサン醤油製麹長屋門及び納屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005367
- 国指定文化財等データベース(文化庁)塩田家住宅主屋及び離れ座敷
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003618
- 国指定文化財等データベース(文化庁)塩田家住宅長屋門及び塀
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002827
- 小豆島町「醤の郷の近代化産業遺産群【国登録有形文化財ほか】」
- https://www.town.shodoshima.lg.jp/gyousei/kakuka/shogaigakushuka/2/1/3151.html
- 小豆島町「ヤマサン醤油株式会社」
- https://www.town.shodoshima.lg.jp/kanko/miru/sangyo/yamasan.html
- 小豆島町「醤油蔵見学&お醤油とオリーブオイルの利き味体験~醤の郷散策プラン~」
- https://www.town.shodoshima.lg.jp/kanko/know/sanngyou_fureru/yamasantaiken.html
- ヤマサン醤油「会社概要」
- https://yamasanshoyu.co.jp/pages/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%A6%82%E8%A6%81
- 小豆島オリーブバス「坂手線 運賃表」
- https://www.shodoshima-olive-bus.com/wp/wp-content/uploads/2021/09/fare_chart-sakate.pdf
最終更新日: 2026.09.24
基本情報
| 名称 | ヤマサン醤油 |
|---|---|
| 所在地 | 香川県小豆郡小豆島町馬木字石井甲140-2 |
| 指定 | 登録有形文化財 16件 |
| 座標 | 34.47653, 134.32015 |