彫刻で埋め尽くされた小さな吹放し

遊行寺の本堂前方に、参拝前に手や口を清めるための小さな吹放しの建物が立つ。手水舎で、明治前期(およそ一八六八〜一八八二)の建立。面積は約十三平方メートルの一間に過ぎないが、そこに濃密な彫刻がびっしりと施されている。

遊行寺は正式には清浄光寺と号し、一遍を宗祖とする時宗の総本山である。この手水舎は、二十世紀の大規模な復興以前から境内に残る建物のひとつにあたる。

登録の理由と価値

平成二十八年(二〇一六)、国土の歴史的景観に寄与するものとして登録有形文化財となった。方一間の吹放し形式で、切妻造桟瓦葺。几帳面取の角柱を内転びに立て、頭貫と台輪を廻らし、その上の組物を出組の詰組とする。

妻飾りは二重虹梁大瓶束に流水の笈形を飾り、頭貫の木鼻は籠彫、中備には鳥獣などの彫物を据える。小規模ながら、明治期の木彫が凝縮された一棟である。

見どころ

本堂に上がる前に、ここで一度天井を見上げたい。籠彫の木鼻や組物まわりの鳥獣彫刻は近くでよく観察する価値があり、妻飾りの流水の笈形は下から見上げると見落としやすい。

境内の開けた場所に立ち、日中は自由に使用・見学できる。

Q&A

Q手水舎とは何ですか。
A水盤を覆う建物で、参拝前に手や口を清める場です。ここでは本堂の前方に立っています。
Qいつ建てられましたか。
A明治前期(およそ一八六八〜一八八二)で、境内に残る建物のなかでも古い部類に入ります。
Qどこが特徴ですか。
A規模は小さいものの、籠彫の木鼻、組物間の鳥獣彫刻、妻飾りの流水の笈形など、彫刻が濃密に施されている点です。
Q使用できますか。
Aはい。境内の開けた場所にあり、日中は自由に使えます。
Q境内のどこにありますか。
A本堂の前方、惣門からの上り口を上がったあたりに立っています。

基本データ

名称清浄光寺(遊行寺)手水舎
所在地神奈川県藤沢市西富一丁目208
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日2016年(平成28年)2月25日(登録番号 14-0214)
年代明治前期(およそ1868〜1882)
構造・形式木造、瓦葺、方一間吹放し、切妻造、面積約13㎡
所有者宗教法人清浄光寺
公開状況境内自由(日中)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース(手水舎)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010941
時宗総本山 遊行寺 公式サイト
https://yugyoji.or.jp/
藤沢市観光公式ホームページ 遊行寺
https://www.fujisawa-kanko.jp/spot/fujisawa/03.html
清浄光寺 — ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85%E6%B5%84%E5%85%89%E5%AF%BA

最終更新日: 2026.07.05