桁行・梁間とも三〇メートル規模の大堂

藤沢の遊行寺で石段を上ると、正面に桁行・梁間ともおよそ三〇メートルに及ぶ大堂が構える。清浄光寺本堂は昭和十二年(一九三七)の竣工で、旧東海道沿いでも屈指の規模をもつ木造仏堂であり、時宗総本山の境内の中心をなす。

清浄光寺は通称を遊行寺といい、時宗の宗祖一遍(一二三九〜一二八九)から数えて四代目の呑海が正中二年(一三二五)に開いた。堂宇は戦火と火災でたびたび失われ、現在の本堂は関東大震災(大正十二年、一九二三)ののちに進められた復興のなかで建てられている。

登録の理由と価値

平成二十八年(二〇一六)、本堂は登録有形文化財に登録された。登録基準のうち最上位にあたる「造形の規範となっているもの」が適用され、境内十棟のなかで唯一この基準を受けている。平面は時宗本堂の典型を示し、中央の内陣を三方から広い外陣と脇陣が囲む。各陣には高い格天井を張り、内部に広壮な空間を生み出している。

構造は木造平屋建、入母屋造で屋根を銅板で葺き、登録上の建築面積は約八四一平方メートルに及ぶ。正面向拝や内部小壁の彫刻も質が高く、昭和前期の仏堂建築として評価されている。

見どころ

本尊は西方極楽浄土の阿弥陀如来。脇壇には宗祖一遍、開山呑海をはじめとする祖師像が並ぶ。十一月二十七日の夜には御滅灯(一ツ火)が営まれ、堂内の灯をすべて消したのち、暗闇のなかで火打石から新たな火を起こす。阿弥陀の光明が再び世界を照らす様を表す法会である。

堂内は日中の参拝が可能で、外陣後方に立つと頭上を走る格天井の高さと奥行きがよく感じられる。

Q&A

Q現在の本堂はいつ建てられましたか。
A昭和十二年(一九三七)の竣工です。大正十二年(一九二三)の関東大震災後の復興として建てられました。以前の堂宇は度重なる火災や戦火で失われています。
Q内部の特徴は何ですか。
A時宗本堂の平面をよく示します。中央の内陣を三方から広い外陣と脇陣が囲み、各陣に高い格天井を張って広壮な内部をつくります。
Q本尊は何ですか。
A阿弥陀如来です。脇壇には一遍・呑海ら祖師の像が安置されています。
Q内部を拝観できますか。
A日中は参拝が可能で、境内も自由に歩けます。十一月下旬の御滅灯など、行事の日は参詣者が多くなります。
Q交通アクセスは。
AJR・小田急・江ノ電の藤沢駅から徒歩約十五分です。神奈川中央交通のバス「藤沢橋」下車も便利です。

基本データ

名称清浄光寺(遊行寺)本堂
所在地神奈川県藤沢市西富一丁目208
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日2016年(平成28年)2月25日(登録番号 14-0207)
年代昭和十二年(一九三七)/昭和前期
構造・形式木造平屋建、銅板葺、建築面積約841㎡、入母屋造
所有者宗教法人清浄光寺
公開状況境内自由(日中)、本堂は参拝可

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース(本堂)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010934
時宗総本山 遊行寺 公式サイト
https://yugyoji.or.jp/
藤沢市観光公式ホームページ 遊行寺
https://www.fujisawa-kanko.jp/spot/fujisawa/03.html
清浄光寺 — ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85%E6%B5%84%E5%85%89%E5%AF%BA

最終更新日: 2026.07.05