本願寺能舞台(附橋掛)とは:対面所に向き合う南能舞台
本願寺能舞台(附橋掛)(ほんがんじのうぶたい(つけたりはしがかり))は、京都府京都市下京区の本願寺(西本願寺)の書院の南側にある桃山時代(1573〜1614年)の能舞台で、明治43年(1910年)8月29日に重要文化財に指定された。
本願寺では、書院の北側にある北能舞台と区別してこの舞台を南能舞台と呼んでいる。指定の本体は舞台1棟で、演者が出入りする通路である橋掛1棟が附(つけたり)として加えられている。文化庁は種別を「近世以前/その他」とする。
対面所を見所とする切妻造の舞台
本願寺によると、境内には常設の能舞台が書院の南北に二つあり、白書院と対面所には室内で能を演じられる座敷もある。北能舞台が白書院を見所(観客席)とするのに対し、本願寺能舞台(附橋掛)は対面所を見所とする。
屋根の形にも両者の違いが出ている。文化遺産オンラインの世界遺産の解説は、一般の能舞台が切妻造であるのに対し、北能舞台は入母屋造の破風を正面に向けていると説明する。本願寺能舞台(附橋掛)は切妻造で妻を正面に向けており、能舞台として標準的な形をとる。
舞台の大きさは桁行・梁間とも1間で、柱間一つ分の正方形の平面に屋根を架ける。その脇から延びる橋掛が附として指定に含まれている。
建立時期をめぐる記述の違い
本願寺能舞台(附橋掛)の建立時期は、資料によって書き方が異なる。文化庁のデータベースは時代を桃山(1573〜1614年)とする。本願寺の案内は、南能舞台を江戸時代前期に整備されたものとしている。文化遺産オンラインの世界遺産の解説は、伽藍の整備の流れのなかで、17世紀末に南能舞台が建立されたと記す。
本稿は、指定の根拠である文化庁のデータベースに従って桃山時代とした。ほかの二つの記述は、建物の一部が後に整えられたことを示すのか、建立年そのものの見解の違いなのか、公表資料からは判断できない。
宗祖降誕会の祝賀能
本願寺によると、本願寺能舞台(附橋掛)では、毎年5月21日の親鸞聖人の降誕会に祝賀能が舞われている。蓮如上人が教化の手だてとして能を催していた伝統によるものという。
寺の年中行事の案内では、宗祖降誕会は5月20日と21日に営まれ、祝賀能や飛雲閣での抹茶接待などの催しで親鸞の誕生を祝う。
本願寺能舞台(附橋掛)の見学方法
本願寺能舞台(附橋掛)は書院の南側の庭にあり、本願寺は書院を非公開の文化財として扱っている。毎月16日(1月を除く)の「Shinran's Day」には、法要と法話の参拝者を対象に、僧侶が書院を案内する特別案内が行われる。受付は当日の午前9時から午前10時まで龍虎殿で、案内は午前11時から正午ごろまで、定員は40名で事前予約はできない。撮影は禁止である。
舞台が使われる場面を見られるのは5月21日の祝賀能だが、観覧の方法は寺の案内に具体的な記載がない。祝賀能を見たい場合は、事前に本願寺へ問い合わせたい。境内への行き方と開門時間は、本願寺のページにまとめてある。
Q&A
- 本願寺能舞台(附橋掛)はいつ重要文化財に指定されましたか?
- 明治43年(1910年)8月29日に重要文化財に指定されました。橋掛1棟は附として指定に含まれています。
- 本願寺の南能舞台と北能舞台はどう違いますか?
- 南能舞台は対面所を見所とし、切妻造で妻を正面に向けます。北能舞台は白書院を見所とし、正面を入母屋造とする点が異なります。
- 本願寺能舞台(附橋掛)はいつ建てられたのですか?
- 文化庁は桃山時代(1573〜1614年)としています。本願寺は江戸時代前期に整備、文化遺産オンラインの世界遺産の解説は17世紀末の建立と記しており、資料によって記述が異なります。
- 本願寺能舞台(附橋掛)で能が演じられるのはいつですか?
- 毎年5月21日の親鸞聖人の降誕会に祝賀能が舞われます。降誕会は5月20日と21日に営まれます。
- 本願寺能舞台(附橋掛)は見学できますか?撮影は?
- 書院の庭にあり、通常は公開されていません。毎月16日(1月を除く)に僧侶による書院の特別案内があり、撮影は禁止です。祝賀能の観覧方法は本願寺に確認してください。
基本情報
| 名称 | 本願寺能舞台(附橋掛)(ほんがんじのうぶたい(つけたりはしがかり)) |
|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市下京区堀川通花屋町下る本願寺門前町 |
| 指定区分 | 重要文化財(建造物) |
| 指定年 | 明治43年(1910年)8月29日 |
| 員数 | 1棟(附 橋掛1棟) |
| 寸法 | 桁行1間、梁間1間、一重、切妻造、妻正面、檜皮葺 |
| 所有者 | 本願寺 |
| 公開状況 | 非公開(毎月16日の書院特別案内あり。5月21日の降誕会に祝賀能) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「本願寺能舞台(附橋掛)」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/1822
- 文化遺産オンライン「世界遺産 本願寺」
- https://online.bunka.go.jp/special_content/component/39
- 本願寺「書院・能舞台」
- https://www.hongwanji.kyoto/see/shoin.html
- 本願寺「本願寺の一年(年中行事)」
- https://www.hongwanji.kyoto/know/annual.html
- 本願寺「Shinran's Day」
- https://www.hongwanji.kyoto/see/shinransday.html
最終更新日: 2026.10.04