本願寺黒書院及び伝廊とは:白書院の奥に続く、明暦3年の内向きの書院

本願寺黒書院及び伝廊(ほんがんじくろしょいんおよびでんろう)は、京都府京都市下京区の本願寺(西本願寺)にある明暦3年(1657年)建築の書院と渡り廊下の2棟で、昭和31年(1956年)6月28日に国宝に指定された。

文化庁のデータベースには、これに先立つ大正2年(1913年)4月14日の指定が重要文化財の指定年月日として記録されている。指定は黒書院と伝廊の2棟をまとめた1件で、種別は寺院ではなく「近世以前/住宅」に分類される。

黒書院は書院(対面所及び白書院)の東北にあたり、伝廊でそれとつながる。文化庁の記録では、黒書院は桁行が正面6間・背面7間、梁間が左側面4間・右側面6間で、向かい合う辺の長さが揃わない。二重、寄棟造、こけら葺である。伝廊は桁行4間、梁間2間、一重、両下造、こけら葺で、2棟とも薄い板を重ねて屋根を葺いている。

表向きの白書院、内向きの黒書院

文化庁の詳細解説は、本願寺黒書院及び伝廊の性格を白書院との対比で説明している。白書院は対面所として表向きの役割を担い、書院造の厳格な表現をとる。黒書院のほうは内向きの建物として建てられたとみられ、書院造の風格を保ちながら、数寄屋造の瀟洒な手法を取り入れている。

本願寺の案内も同じ見方をとる。白書院が公の対面の場であったのに対し、黒書院は内向きの対面や接客、門主が寺務を執る場として使われたという。

文化遺産オンラインの世界遺産の解説は、黒書院及び伝廊を1657年完成と伝わる法主の住房と考えられるとし、茶の湯のための部屋を含む数寄屋風書院の代表的な遺構に位置づけている。

本願寺黒書院の一の間・二の間と6畳の茶室

文化庁によると、主室は一の間(11畳)と二の間(20畳)の2室である。柱には角に丸太の肌を残す面皮柱を使って、くだけた雰囲気をつくる。その一方で、違棚や欄間の精巧な透彫が華やかさを添える。文化遺産オンラインの解説でも、一の間と二の間には畳床、付書院、透彫のある違棚、欄間といった書院造の要素がそろうとされる。

一の間の背面には6畳の茶室がある。この茶室は書院の東北部の土間からも入れるつくりで、文化庁はそこに書院に付属した茶室の構想を読み取っている。

本願寺の案内では、黒書院は一の間、二の間を中心に、茶室、鎖の間、広敷などからなる。周りを入側が取り巻き、東北隅には土庇を設ける。一の間、二の間、茶室には狩野探幽の水墨画が描かれているという。

金碧障壁画や極彩色の絵で飾られた対面所・白書院と違い、本願寺黒書院及び伝廊の主室を彩るのは墨の絵である。面皮柱の素朴な肌と細かな透彫が一つの部屋に同居している。

伝廊と修理の歴史

伝廊は白書院との連絡路である。文化庁は、華やかな意匠の扉などに見るべきものがあるとする。本願寺の案内では、黒書院は白書院一の間の東北隅から、板敷と畳敷を並べた複廊でつながっている。

文化遺産オンラインの世界遺産の解説は、伝廊を黒書院と対面所をつなぐ複廊と書いている。文化庁の詳細解説と本願寺の案内はいずれも白書院との連絡としており、本稿は両者に従った。

同じ世界遺産の解説によると、本願寺黒書院及び伝廊では昭和28年(1953年)に解体・半解体の修理事業が行われている。

本願寺黒書院及び伝廊の見学方法

本願寺は、書院を非公開の文化財として扱っている。毎月16日(1月を除く)の「Shinran's Day」には、法要と法話の参拝者を対象に、僧侶が書院を案内する国宝書院特別案内が行われる。受付は当日の午前9時から午前10時まで龍虎殿で、案内は法話の後の午前11時から正午ごろまで、定員は40名で事前予約はできない。撮影は禁止である。

この案内の順路に本願寺黒書院及び伝廊が含まれるかどうかは、本願寺の案内に書かれていない。黒書院の内部を見たい場合は、受付の際に確かめたい。境内への行き方と開門時間は、本願寺のページにまとめてある。

Q&A

Q本願寺黒書院及び伝廊はいつ建てられ、いつ国宝に指定されましたか?
A明暦3年(1657年)の建築で、昭和31年(1956年)6月28日に国宝に指定されました。文化庁のデータベースには、大正2年(1913年)4月14日の重要文化財の指定年月日も記録されています。
Q本願寺黒書院と白書院はどう違うのですか?
A白書院は表向きの対面の場で、書院造の厳格な形をとります。黒書院は内向きの対面や接客、門主の寺務の場とされ、書院造の風格を保ちながら数寄屋造の手法を取り入れています。
Q本願寺黒書院の主室と茶室はどのような部屋ですか?
A主室は一の間(11畳)と二の間(20畳)で、面皮柱と透彫の違棚・欄間が特徴です。一の間の背面に6畳の茶室があり、東北部の土間からも入れます。
Q本願寺黒書院及び伝廊の「伝廊」とは何ですか?
A白書院と黒書院を結ぶ渡り廊下で、桁行4間、梁間2間、両下造、こけら葺です。本願寺によると板敷と畳敷を並べた複廊で、文化庁は華やかな意匠の扉に注目しています。
Q本願寺黒書院及び伝廊は見学できますか?撮影はできますか?
A書院は非公開の文化財で、毎月16日(1月を除く)の国宝書院特別案内で僧侶が案内します。黒書院が順路に入るかは公表されていないため、受付で確認してください。撮影は禁止です。

基本情報

名称本願寺黒書院及び伝廊(ほんがんじくろしょいんおよびでんろう)
所在地京都府京都市下京区堀川通花屋町下る本願寺門前町
指定区分国宝(建造物)
指定年大正2年(1913年)4月14日重要文化財指定、昭和31年(1956年)6月28日国宝指定
員数2棟(黒書院、伝廊)
寸法黒書院:桁行正面6間・背面7間、梁間左側面4間・右側面6間、二重、寄棟造、こけら葺/伝廊:桁行4間、梁間2間、一重、両下造、こけら葺
所有者本願寺
公開状況非公開(毎月16日の書院特別案内あり。黒書院が順路に入るかは要確認)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「本願寺黒書院及び伝廊」(黒書院)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/1825
文化庁 国指定文化財等データベース「本願寺黒書院及び伝廊」(伝廊)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/1826
文化遺産オンライン「世界遺産 本願寺」
https://online.bunka.go.jp/special_content/component/39
本願寺「書院・能舞台」
https://www.hongwanji.kyoto/see/shoin.html
本願寺「Shinran's Day」
https://www.hongwanji.kyoto/see/shinransday.html

最終更新日: 2026.10.04

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