教王護国寺五重小塔とは
教王護国寺五重小塔は、京都市南区九条町の東寺(教王護国寺)が所有する鎌倉時代前期の小さな五重塔で、延応2年(1240年)ごろの作とされ、昭和30年(1955年)に重要文化財に指定された。
高さは五尺三寸余り、およそ1.6メートルで、人の背丈ほどしかない。それでも文化庁はこれを建造物として指定しており、国指定文化財等データベースには「三間五重塔婆、本瓦形板葺」という形式が記され、員数は1基と数えられている。
本瓦形板葺とは、本瓦葺の屋根の見た目を、瓦ではなく板で表した葺き方をいう。三間五重塔婆は、各重の正面を柱で3間に分けた五重塔を意味する。つまり実物の五重塔と同じ構成を、そのまま小さく写した塔である。
大師堂の修理で見つかった塔
文化庁の解説によると、教王護国寺五重小塔は東寺の大師堂(西院御影堂)の内陣に安置されていて、昭和30年(1955年)に行われた堂の修理の際に見つかった。重要文化財の指定日は同じ年の6月22日で、見つかったその年のうちに指定を受けたことになる。
大師堂は、空海(弘法大師)の住まいがあったと伝わる一画に建つ堂である。東寺の公式サイトによれば、空海はここで講堂の立体曼荼羅を構想し、造営の指揮をとったという。小塔は、その空海ゆかりの堂の奥に納められていた。
同じ解説は、この塔を延応2年に宣陽門院が施入したものと記す。宣陽門院は後白河天皇の皇女である。東寺の公式サイトも、鎌倉時代に宣陽門院が寺の財政の基盤をつくり、衰えていた東寺が息を吹き返したと紹介している。小塔は、その復興期の寄進の品として伝わっている。
年代の表記について
文化庁の解説文には、施入の年が「延応二年(一三四〇)」と書かれている。しかし延応2年は西暦1240年にあたり、同じデータベースの年代欄も「延応2頃」「1240頃」となっている。解説文の「一三四〇」は誤記と考えられ、本記事は1240年を採った。
延応2年は、この年の途中で仁治元年に改元されている。資料によっては仁治元年(1240年)と記されることもあるが、指す年は同じである。
教王護国寺五重小塔の見どころ
文化庁の解説は、この小塔を細部まで精巧にできていると評している。見るときは、小さな模型としてではなく、1基の塔として部分ごとに目で追いたい。
まず屋根である。5つの屋根は板でつくられているが、表面には本瓦葺と同じ丸瓦と平瓦の並びが表されている。
次に各重の正面。柱が4本立って3つの間をつくる割り付けが、上の重まで繰り返されているかを確かめる。軒の下の組物がどこまで細かく刻まれているかも見どころになる。
最後に全体の姿。上の重ほど屋根が小さくなっていく逓減の具合は、実物の塔を見上げたときには捉えにくい。1.6メートルほどの高さなら、ほぼ目の高さで塔の輪郭全体を一度に見渡せる。
教王護国寺五重小塔の見学方法
教王護国寺五重小塔は常設では公開されていない。東寺の宝物館は春と秋の特別公開の期間に開館し、テーマに合わせて寺宝を入れ替えて展示している。東寺公式サイトの過去の展示記録によれば、2019年春期の特別公開で五重小塔が出品された。
宝物館の開館期間は、春期が3月20日から5月25日まで、秋期が9月20日から11月25日まで。時間は午前9時から午後5時まで(受付は午後4時30分まで)で、拝観料は大人600円である(東寺公式サイト、2026年9月15日確認)。
2026年秋期は9月20日から11月25日まで「東寺五重塔の美術と歴史 千二百年の興亡」展が開かれる。ただし公式サイトの主な展示一覧に五重小塔の名は挙がっていない。小塔を目当てに訪ねる場合は、会期ごとの展示内容を事前に東寺へ問い合わせてほしい。館内での撮影の可否は、現地の案内に従う。
Q&A
- 教王護国寺五重小塔はいつでも見られますか?
- 常設公開ではありません。宝物館の春と秋の特別公開で展示されることがあり、2019年春期には出品されました。訪ねる前に東寺へ展示の有無を確かめてください。
- 教王護国寺五重小塔の大きさはどれくらいですか?
- 文化庁の解説では五尺三寸余り、およそ1.6メートルです。
- 教王護国寺五重小塔は誰が寄進したのですか?
- 文化庁の解説によれば、後白河天皇の皇女である宣陽門院が延応2年(1240年)に施入しました。
- 教王護国寺五重小塔はどこで見つかったのですか?
- 東寺の大師堂(西院御影堂)の内陣に安置されており、昭和30年(1955年)の堂の修理で見つかりました。同じ年に重要文化財に指定されています。
- 教王護国寺五重小塔が展示されることのある宝物館の開館時間と拝観料は?
- 春期(3月20日から5月25日)と秋期(9月20日から11月25日)の午前9時から午後5時までで、受付は午後4時30分までです。拝観料は大人600円です(2026年9月確認)。
基本情報
| 名称 | 教王護国寺五重小塔(きょうおうごこくじごじゅうのしょうとう) |
|---|---|
| 所在地 | 京都府京都市南区九条町 |
| 指定区分 | 重要文化財 |
| 指定年 | 昭和30年(1955年) |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 高さ5尺3寸余(約1.6メートル) |
| 所有者 | 教王護国寺 |
| 公開状況 | 常設公開なし(宝物館の特別公開で展示されることがある) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「教王護国寺五重小塔」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/1847
- 東寺公式サイト「東寺の歴史」
- https://toji.or.jp/history/
- 東寺公式サイト「御影堂」
- https://toji.or.jp/guide/miedo/
- 東寺公式サイト「宝物館」
- https://toji.or.jp/guide/houmotsukan/
- 東寺公式サイト「2019春期特別公開」
- https://toji.or.jp/exhibition/2019_spring/
- 東寺公式サイト「2026秋期特別公開」
- https://toji.or.jp/exhibition/2026_autumn/
- 東寺公式サイト「拝観のご案内」
- https://toji.or.jp/admission/
- 東寺公式サイト「交通のご案内」
- https://toji.or.jp/access/
最終更新日: 2026.09.15