五つの社をひとつの建物に
向日神社末社五社神社本殿は、京都府向日市向日町北山にある江戸時代末期(1830年から1868年)の社殿で、平成27年(2015年)8月4日に登録有形文化財となった。木造平屋建、瓦葺、建築面積は13平方メートルである。
名前のとおり、この一棟に五つの社が入る。岡松、石神、三嶋鴨、加茂、春日。向日神社末社五社神社本殿はこの五社をまとめて祀るために建てられており、外からは横長の一棟に見えても、内部は五つに仕切られている。
位置は祖霊社の東方で、南を向いて建つ。渡廊をたどって祖霊社まで来たら、そのまま東へ目を向ければよい。
横に長い平面のわけ
向日神社末社五社神社本殿は桁行三間、梁間一間。奥行きが一間しかないのに間口が三間ある、極端に横長の平面をとる。屋根は切妻造で、繁垂木とする。
この寸法は、五つの社を横に並べるという要求から導かれている。内部は背面寄りに片流屋根の内陣を設け、そこを五室に間仕切って板唐戸を吊る。奥行きを削り、間口を伸ばし、後ろ半分を五つに割る。祀るべき神の数がそのまま建物の形を決めた例である。
正面は中央の一間だけを広くとり、そこに虹梁を架ける。三間を等分せず中央を強調することで、横長の立面に中心が生まれている。
三段に分かれた正面の壁
向日神社末社五社神社本殿の正面は、高さによって仕上げが変わる。腰から下が板壁、その上の内法の高さが菱格子、さらに上が土壁。下から板、格子、土と、три段に材質が入れ替わる。
板壁は雨がかかる部分を守り、菱格子は内部に光と風を通し、土壁は軒下の壁面を白く締める。実用の要請が、そのまま横縞の構成になっている。装飾で飾った建物ではないが、正面から見たときの落ち着きはこの三段の分け方から来ている。
南を向いているので、日中は正面に光が回る。菱格子の目が影を落とす時間帯に見ると、三段の切り替わりがはっきりする。文化庁の解説は、この建物を独特な形式の境内社と評している。
向日神社末社五社神社本殿の見学
向日神社末社五社神社本殿は内部非公開で、建物への立ち入りはできない。五室に分かれた内陣も外からは見えない。
外観を見るなら正面の南側に立つ。三間の柱間のうち中央だけが広いことと、腰下の板壁から上の土壁までの三段の構成が、正面からいちばんよく分かる。東側に回ると、梁間一間という奥行きの浅さが実感できる。横から見ると、これだけ間口のある建物が驚くほど薄いことに気づく。
周囲は樹木に囲まれており、全景を一枚に収めるには少し離れる必要がある。撮影は通常認められている。境内への行き方と拝観の条件は向日神社のページにまとめてある。
Q&A
- 向日神社末社五社神社本殿にはどの神社が祀られていますか?
- 岡松、石神、三嶋鴨、加茂、春日の五社です。この五社を一棟にまとめて祀るため、内部が五室に仕切られています。
- 向日神社末社五社神社本殿はいつ建てられましたか?
- 江戸時代末期、1830年から1868年の間の建立です。平成27年(2015年)8月4日に登録有形文化財となりました。
- 向日神社末社五社神社本殿はどのような形をしていますか?
- 桁行三間、梁間一間の切妻造で、奥行きが浅く間口の広い横長の平面です。正面の中央一間だけを広くとり、虹梁を架けています。
- 向日神社末社五社神社本殿の正面の壁はどうなっていますか?
- 高さによって仕上げが変わります。腰から下が板壁、内法の高さが菱格子、その上が土壁という三段の構成です。
- 向日神社末社五社神社本殿はどこにありますか?
- 祖霊社の東方に南を向いて建っています。拝殿の北側から渡廊に沿って祖霊社まで進み、そこから東へ向かうと見つかります。
基本データ
| 名称 | 向日神社末社五社神社本殿 |
|---|---|
| 所在地 | 京都府向日市向日町北山65 |
| 指定区分 | 登録有形文化財 |
| 指定年 | 平成27年(2015年)8月4日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 建築面積13平方メートル、桁行三間、梁間一間 |
| 所有者 | 宗教法人向日神社 |
| 公開状況 | 内部非公開、外観のみ見学可 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 向日神社末社五社神社本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010649
- 向日市 向日神社本殿を取り囲む境内社13棟
- https://www.city.muko.kyoto.jp/site/rekishi/2443.html
- 向日市 向日神社
- https://www.city.muko.kyoto.jp/site/rekishi/1061.html
最終更新日: 2026.09.14