宇太水分神社本殿とは

宇太水分神社本殿は、奈良県宇陀市菟田野古市場の宇太水分神社にある鎌倉時代後期の本殿3棟で、第一殿の棟木に元応2年(1320年)の上棟銘が残り、昭和29年(1954年)3月20日に国宝に指定された。

3棟は向かって右から第一殿・第二殿・第三殿と呼ばれ、拝殿の背後の高台に横一列で建つ。日本交通公社の観光資源台帳によれば、第一殿に天之水分神、第二殿に速秋津彦命、第三殿に国之水分神をまつり、祭神1柱ごとに1棟の社殿をあてている。

形式は3棟とも同じ大きさの一間社隅木入春日造で、屋根は檜皮葺。春日造は、切妻屋根の妻側を正面に向け、その前に向拝の屋根を差し掛けた社殿の形である。宇太水分神社本殿では向拝の屋根を身舎の屋根と一体に組み、左右の角に斜めの隅木を入れている。これが「隅木入」と呼ばれるゆえんである。

宇太水分神社本殿が国宝である理由

宇太水分神社本殿は、建てられた年を社殿そのものが示している。文化庁の解説によれば、第一殿の棟木には元応2年2月23日に上棟したと記されており、第三殿も同じ時期の建築とみてよいという。

文化庁の解説がもう一つ挙げるのが、細部の豊かさである。組物は出組で軒には支輪を付け、柱と柱の間には各面とも彫刻を入れた本蟇股を飾る。頭貫の端には木鼻を刻む。向拝の組物は三斗組で、蟇股や木鼻は身舎と同じ扱いになっている。解説は、小さな社殿であるにもかかわらず装飾的な細部に富むことを、この本殿の特徴としている。

第二殿だけは事情が少し違う。文化庁の解説は、第二殿には室町時代の手法による部分が認められるとする。日本交通公社の台帳は、第二殿が永禄元年(1558年)に新造に近い大修理を受けたと記している。同じ形の3棟は、鎌倉時代の2棟と、室町時代に大きく手の入った1棟の組み合わせということになる。

宇太水分神社本殿は、明治44年(1911年)4月17日に古社寺保存法の特別保護建造物に指定され、昭和25年(1950年)の文化財保護法の施行で重要文化財となったのち、昭和29年3月20日にあらためて国宝に指定された。

宇太水分神社本殿の見どころ

宇太水分神社本殿の前に立ったら、まず3棟の並び方を見たい。同じ大きさの社殿が間隔をそろえて横一線に建つので、1棟ずつ細部を見比べやすい。中央の第二殿は室町時代の手が入った社殿である。組物や蟇股の彫刻に、両脇の2棟と違う表情がないか探してみるとよい。

次に、側面に目を移す。彫刻入りの蟇股は正面だけでなく側面の柱間にも入っている。日本交通公社の台帳が書くように、社殿全体に塗装と彩色が施されており、朱の柱と白い壁のあいだで彫刻の色が浮かび上がる。軒下の支輪も、小さな社殿に部材を何段も重ねた仕事として見ておきたい。

奈良県の調査資料によると、宇太水分神社本殿は大正8年(1919年)に解体修理を受けた。その後、昭和34年(1959年)に屋根の葺き替え、昭和47年(1972年)に災害後の解体修理と屋根の修理、平成15年度(2003年度)に屋根と塗装の修理が行われている。

宇太水分神社本殿の見学方法

宇太水分神社本殿は瑞垣に囲まれた高台にあり、ふだんは拝殿の前、瑞垣の外から拝観する。3棟の正面と屋根の形はここからでも見て取れるが、蟇股の彫刻や組物の細部は距離があって見分けにくい。

細部まで見たいなら、神社が受け付けている瑞垣内の特別拝観を利用する。日本交通公社の台帳によれば、社務所に申し出ると有料で瑞垣の中に入ることができる。受付時間と料金は事前に神社へ確かめておきたい。社殿の内部を公開する案内はない。撮影の決まりは公表されていないので、特別拝観の際に社務所でたずねるのが確実である。

Q&A

Q宇太水分神社本殿はいつ建てられましたか?
A第一殿の棟木に元応2年(1320年)の上棟の銘があり、第三殿も同じころの建築とされます。第二殿には室町時代の手法がみられ、永禄元年(1558年)に大修理を受けたとする資料もあります。
Q宇太水分神社本殿はいつ国宝に指定されましたか?
A昭和29年(1954年)3月20日です。それ以前の明治44年(1911年)4月17日に古社寺保存法の特別保護建造物に指定されていました。
Q宇太水分神社本殿の3棟にはそれぞれ何がまつられていますか?
A日本交通公社の観光資源台帳によれば、向かって右の第一殿に天之水分神、中央の第二殿に速秋津彦命、左の第三殿に国之水分神をまつります。
Q宇太水分神社本殿の「隅木入春日造」とはどんな形ですか?
A妻側を正面にした春日造の社殿で、正面の向拝の屋根を身舎の屋根と一体に組み、その角に隅木を入れた形式です。宇太水分神社本殿は3棟ともこの形で、大きさもそろっています。
Q宇太水分神社本殿は近くで見学できますか?
Aふだんは瑞垣の外からの拝観です。社務所に申し出ると、有料の瑞垣内特別拝観で近くから見ることができます。受付時間と料金は、訪れる前に神社へ電話で確かめておくと確実です。

基本情報

名称宇太水分神社本殿(第一殿・第二殿・第三殿)
所在地奈良県宇陀市菟田野区古市場
指定区分国宝(建造物)
指定年昭和29年(1954年)3月20日国宝指定(明治44年(1911年)4月17日 特別保護建造物指定)
員数3棟
寸法文化庁のデータベースに記載なし(3棟とも同規模の一間社隅木入春日造、檜皮葺)
所有者宇太水分神社
公開状況瑞垣の外から拝観可。瑞垣内の特別拝観は有料(社務所に申し出)。内部非公開

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):宇太水分神社本殿(第一殿)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2756
国指定文化財等データベース(文化庁):宇太水分神社本殿(第二殿)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2757
国指定文化財等データベース(文化庁):宇太水分神社本殿(第三殿)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2758
奈良県:国指定建造物調査対象リスト(PDF)
https://www.pref.nara.jp/secure/324118/6.pdf
全国観光資源台帳(公益財団法人日本交通公社):宇太水分神社
https://tabi.jtb.or.jp/res/290093-
宇太水分神社 公式サイト
https://www1.odn.ne.jp/udanomikumari/

最終更新日: 2026.10.06

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  1. 宇太水分神社本殿 (第一殿) 0.00 km
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