生薬から瓶へ

主屋の北に接続する調整蔵は、薬酒の原料が仕上がった瓶詰めの製品へと変わる場所である。土蔵造二階建で建築面積は約百五十九平方メートル。南北棟で切妻の桟瓦屋根をいただき、北の下屋が入口をなす。

平面は小さな工場の床のように読める。一階には中廊下が通り、西に生薬貯蔵室と調製場、東に瓶詰場を配する。二階は検査室や資材庫とした。建物の年代は大正十五年(一九二六年)である。

事業の薬種商としての一面

サフラン酒は健康をうたう薬酒として売られ、その謳い文句の背後には、実際の生薬の扱いがあった。サフラン、桂皮、丁子、甘草などを家伝の処方で調合する。調整蔵はその仕事の場であり、貯えた生薬を量り、合わせ、販売用の瓶に詰める起点だった。

頭上の屋根は、梁間六間にクイーンポストトラスを架けて支える。洋式の影響を受けた小屋組で、下の空間を広く開く。登録では歴史的景観への寄与が挙げられ、醸造蔵と同じく薬酒製造に欠かせない施設と記される。背後の二棟を合わせて見ると、醸造所であると同時に薬種商でもあった事業の姿が浮かぶ。

見学にあたって

調整蔵は主屋の背後に連なる実働の一列に属し、その一群の一部として見るのがよい。敷地内からは、北側で主屋にどう接続するか、下屋の下に入口がどう開くかを追える。

屋敷地は長岡市の所有で、土曜・日曜・祝日に案内見学を受け付け、長い整備によって背後の建物も少しずつ見られるようになっていく。生薬貯蔵室、調製場、瓶詰場という内部の流れを、ガイドが説明してくれる。

Q&A

Q調整蔵では何が行われていたのですか。
A貯えた生薬を調合し、薬酒を瓶詰めする場でした。一階に生薬貯蔵室、調製場、瓶詰場を置き、二階を検査室や資材庫としました。
Qサフラン酒にはどんな原料が入っていたのですか。
Aサフランに、桂皮や丁子、甘草などの植物を加え、家伝の処方で調製した薬酒と伝えられます。
Qクイーンポストトラスとは何ですか。
A束を二本もつ洋式の小屋組で、ここでは梁間六間に架けて下の床を広く開きます。西洋の構造の影響を映します。
Q醸造蔵とはどう違うのですか。
A醸造蔵はタンクと原料を収め、調整蔵は調合、検査、瓶詰めを担いました。いずれも製造に欠かせない施設とされます。
Q内部に入れますか。
A背後の建物は整備の進行に伴い順次開放されています。案内見学では、公開が限られていても内部の配置を説明できます。

基本情報

名称旧機那サフラン酒製造本舗調整蔵
所在地新潟県長岡市摂田屋四丁目2292-1他
指定区分登録有形文化財(令和3年2月4日登録)
年代大正15年(1926年)
構造土蔵造2階建、瓦葺、建築面積約159㎡
員数1棟
所有者長岡市
公開敷地は土日祝に公開。内部は整備に伴い順次開放

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース — 旧機那サフラン酒製造本舗調整蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00013523
長岡市 旧機那サフラン酒製造本舗
https://www.city.nagaoka.niigata.jp/kankou/miru/brewing/kina-saffron.html
摂田屋・宮内 機那サフラン酒
https://settaya-miyauchi.jp/kinasaffron/
nippon.com 醸造の町・長岡「摂田屋地区」
https://www.nippon.com/ja/guide-to-japan/gu900174/

最終更新日: 2026.07.09