知新館塀とは

知新館塀(ちしんかんへい)は、岡山県津山市南新座にある昭和12年(1937年)築の瓦葺の土塀で、平成10年(1998年)に国の登録有形文化財に登録された。

平沼騏一郎の生家を再現した屋敷の北側、道路に面してめぐらされた屋根付きの塀である。延長は26.3メートル。下部の腰壁には板を張り、その上の壁を漆喰で白く塗り込めている。屋根は桟瓦葺で、切石を加工した基礎の上に建つ。

通りを歩く人が知新館で最初に目にするのが、この知新館塀の長い連なりである。途中に表門が開き、同じ並びには土蔵が建って、塀が屋敷の正面全体を1本の線でつないでいる。

知新館塀が登録された理由

知新館塀は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、その価値を町の側から説明している。

津山市内には武家屋敷の残る地域がいくつかあるが、南新座ではその数が減ってきている。知新館塀は地域の中心部にあって、屋敷の構えを通りに向かって示し続けている事例として貴重だ、というのが解説の趣旨である。

建物単体の古さではなく、道路と屋敷の境目をどうつくっているかが評価の中心にある。武家地の町並みは、家そのものよりも、塀と門が通りに沿って続くことで成り立っていた。知新館塀はその通りの顔を、南新座に26.3メートルぶん残している。

知新館塀の見どころ

板張りの腰と白い上壁

知新館塀の壁面は上下で仕上げが分かれている。人の腰ほどの高さまでは板を張り、その上を漆喰で塗り込めた。一般に腰板は、雨の跳ね返りや人の往来で傷みやすい下部を守るためのものである。知新館塀を通りから見ると、板の茶色と漆喰の白が水平に2段の帯をつくる。

切石の基礎

足元を見ると、知新館塀は加工した切石の基礎の上に立っている。土の壁を地面の湿気から離す工夫と考えられ、石の目地の通り方にも目を向けたい。

土蔵と揃えた意匠

知新館塀と同じ道路に面して建つ土蔵は、1階の腰から下で外壁の仕様を変え、塀と意匠を合わせている。塀の腰の高さと土蔵の外壁の切り替えの高さを見比べると、塀と土蔵が1つの外構えとして計画されたことがわかる。

知新館塀の見学方法

知新館塀は道路に面しているので、予約の有無にかかわらず、外側から全長を見ることができる。塀に沿って端から端まで歩くと、表門と土蔵の位置関係と、腰板と白壁の2段の構成がよくわかる。道路の向かい側からは、瓦屋根の線が表門の前後でどう続くかを一望できる。

知新館塀の内側や、塀越しに見える庭を確かめたい場合は、津山市に予約して敷地内を見学する必要がある。塀は現役の屋敷塀なので、壁面に触れたり寄りかかったりしないようにしたい。

Q&A

Q知新館塀はどのような塀ですか?
A知新館塀は瓦葺の屋根をのせた土塀で、延長は26.3メートルです。腰壁に板を張り、上部を漆喰で塗り込めています。道路に面して屋敷の北側をめぐっています。
Q知新館塀はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A知新館塀は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として平成10年(1998年)に登録されました。南新座で武家屋敷が減るなか、地域の中心部で屋敷の構えを伝える事例として評価されています。
Q知新館塀は予約しなくても見られますか?
A知新館塀は道路に面しているので、外側からはいつでも見られます。塀の内側や庭を見るには、津山市への予約見学が必要です。
Q知新館塀はいつ造られたものですか?
A知新館塀は昭和12年(1937年)に、平沼騏一郎の生家を再現した屋敷の一部として造られました。主屋・表門と同じ時期の建築です。
Q知新館塀ではどこに注目するとよいですか?
A知新館塀では、板張りの腰と漆喰の上壁がつくる2段の構成、切石の基礎、そして同じ並びの土蔵が腰の仕上げを塀と揃えている点に注目すると、屋敷の外構えの計画が読み取れます。

基本情報

名称知新館塀(ちしんかんへい)
所在地岡山県津山市南新座26
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成10年(1998年)
員数1棟
寸法延長26.3メートル
所有者津山市
公開状況外観は道路から常時見学可、敷地内は予約制(平日のみ、無料)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「知新館塀」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000899
文化庁 国指定文化財等データベース「知新館土蔵」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000898
岡山県「知新館」(文化財紹介資料)
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/260954.pdf
津山瓦版「知新館(旧平沼騏一郎別邸)」(津山市教育委員会『教育時報』平成14年(2002年)10月号より)
https://www.e-tsuyama.com/report/2010/06/post-61.html
津山観光WEB(津山市観光協会)「知新館(旧平沼騏一郎別邸)」
https://www.tsuyamakan.jp/news/YPNZH7u9

最終更新日: 2026.09.25