蔵に囲まれた敷地の中央、北を向く座敷
丸本家住宅座敷屋は、岡山県浅口市鴨方町本庄字吉宗2485にある明治中期の木造平屋建の座敷で、平成15年(2003年)12月1日に国の登録有形文化財に登録された。
造り酒屋・丸本酒造の屋敷のうち、客を迎えるために建てられた棟である。建築面積は61平方メートル。店や蔵とともに登録された11件の中で唯一の明治期の建物で、屋敷の中でもっとも古い。
位置は敷地のほぼ中央。西に西蔵、東に東蔵、南に店と南蔵と、四方を蔵に取り巻かれ、その内側で北を正面にして建つ。醸造の場のただ中に、接客の空間だけが一棟、島のように置かれている配置である。
南と北で形を変える屋根
丸本家住宅座敷屋のいちばんの特徴は屋根にある。主体部は桟瓦葺で、棟から軒にかけて上へ強くふくらむ照り起りがつく。起りのある屋根は、反りのある屋根よりも柔らかく、住宅らしい印象を与える。
その屋根が、南と北で違う形に納められている。南面は入母屋造、北面は切妻造である。一つの屋根の両端で形式を変えるのは珍しく、南の庭側から見るか、北の正面側から見るかで、建物の輪郭がまったく違って見えることになる。
主体部の周囲には下屋を回し、こちらは本瓦葺とする。主屋根が桟瓦、下屋が本瓦という葺き分けで、屋根面の質感にも差が出る。北面の下屋の上には入母屋の妻がいくつも並び、正面側に小さな三角の破風が連続する外観をつくっている。
文化庁の解説は、規模は小さいが変化に富んだ特徴ある外観だと評している。61平方メートルという床面積に対して屋根の形が多く、建物の小ささが意匠の手数の多さで補われている。
屋敷構えの中核としての価値
登録は平成15年(2003年)12月1日、告示は同年12月25日で、第39回の登録にあたる。登録番号は33-0066、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。
丸本家住宅座敷屋は、屋敷構えの中核をなす建物と位置づけられている。周囲の蔵がそれぞれ屋敷の西面・東辺・北東部といった外側の景観を担うのに対し、座敷屋は内側の中心を占める。蔵の白壁に囲まれた中に、瓦の重なる小ぶりな屋根が一つあることで、ここが単なる工場ではなく家でもあったことが分かる。
造り酒屋の主人は、取引先や杜氏、地域の有力者を迎える立場にあった。醸造の場の中央に接客用の座敷を独立して構えた配置は、酒造業が家の営みと切り離せなかった時代の屋敷のあり方を示している。
南側の庭は丸本家住宅塀で南面と西面を仕切られている。座敷屋と塀はともに屋敷の中心部の構えを整えるものとして登録されており、一組で見ると意図がよく分かる。
見学方法
丸本家住宅座敷屋は敷地の中央にあり、周囲を蔵に囲まれているため、敷地の外の道から建物を見通すことは難しい。見どころになる北面の入母屋の連なりと、南北で形を変える屋根の輪郭は、敷地の内側に入らないと確かめられない。
内部は非公開で、予約制の蔵見学も酒造りの工程に沿って案内されるため、この建物に立ち寄るとは限らない。蔵見学は2026年9月25日の確認時点で開催日が設けられていない。撮影について明文の規則は公表されていないので、見学の申込み時に確かめたい。敷地への行き方と見学の条件は丸本家住宅及び丸本酒造のページにまとめてある。掲載した内容は2026年9月25日時点で確認した。
Q&A
- 丸本家住宅座敷屋の内部は見学できますか。
- 内部は非公開です。敷地の中央に位置し、予約制の蔵見学も酒造りの工程に沿って案内されるため、見学の対象になるとは限りません。2026年9月25日時点で蔵見学の開催日は設けられていません。
- 丸本家住宅座敷屋はいつ建てられましたか。
- 文化庁のデータベースでは明治中期の建物とされています。丸本家住宅及び丸本酒造の登録11件のうち、唯一の明治期の建物で、屋敷でもっとも古い棟です。
- 丸本家住宅座敷屋の屋根にはどのような特徴がありますか。
- 主体部は起りの強い桟瓦葺で、南面を入母屋造、北面を切妻造と、両端で形式を変えています。周囲の下屋は本瓦葺で、北面の下屋には入母屋の妻が並びます。
- 丸本家住宅座敷屋は何に使われた建物ですか。
- 客を迎えるための座敷です。蔵に囲まれた敷地の中央に北面して建ち、屋敷構えの中核をなす建物とされています。
- 丸本家住宅座敷屋の指定区分と登録年を教えてください。
- 登録有形文化財(建造物)です。平成15年(2003年)12月1日登録、告示は同年12月25日、第39回登録で、登録番号は33-0066です。
基本情報
| 名称 | 丸本家住宅座敷屋(まるもとけじゅうたくざしきや) |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県浅口市鴨方町本庄字吉宗2485 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成15年(2003年)12月1日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積61平方メートル |
| 所有者 | 丸本酒造株式会社 |
| 公開状況 | 内部非公開。敷地の中央にあり、外の道からは見通しにくい |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 丸本家住宅座敷屋(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003695
- 丸本酒造|岡山観光WEB(公益社団法人岡山県観光連盟)
- https://www.okayama-kanko.jp/spot/detail_11569.html
最終更新日: 2026.09.25