酒米を蒸すための平屋
丸本酒造釜場は、岡山県浅口市鴨方町本庄字吉宗2485にある昭和7年(1932年)頃の木造平屋建の蒸米施設で、平成15年(2003年)12月1日に国の登録有形文化財に登録された。
造り酒屋の釜場は、釜で湯を沸かし、その蒸気で酒米を蒸す場所である。蒸した米は麹づくりと仕込みに回されるため、釜場は醸造工程の入口にあたる。丸本酒造釜場は敷地の南西端にあり、仕込蔵である西蔵の南の妻面に接して建つ。建築面積は104平方メートル。
登録された11件の中では新しい部類に属する。蔵元の沿革は、昭和7〜11年(1932〜1936年)に新型の醸造機器を導入し醸造場を建設して増産を図ったと記しており、丸本酒造釜場の年代はこの時期の始まりと重なる。
台形の平面と、西寄りの越屋根
平面は台形である。敷地の南西端という位置に合わせ、敷地の形状なりに外壁を振ったためで、矩形にこだわらず土地に建物を合わせた結果がそのまま形に出ている。
屋根は切妻造・桟瓦葺。屋根の中央よりやや西寄りに、換気のための越屋根を備える。越屋根は主屋根の頂部にもう一段小さな屋根を持ち上げ、その側面を開けたもので、米を蒸すときに立ちのぼる大量の蒸気を、雨を入れずに外へ逃がす。棟の真ん中ではなく西寄りに置かれているのは、屋内の釜の位置に合わせたものと考えられるが、配置の根拠を記した資料は確認できていない。
小屋組にはトラスを用いる。釜と甑(こしき)を据える床を広く空けるには、中間の柱を減らせる架構が向く。一方で、文化庁の解説が指摘するように、トラス以外の部分は伝統的な意匠でまとめられている。外から見れば瓦葺の切妻屋根に越屋根を載せた、見慣れた酒蔵の付属屋である。
酒造業施設にふさわしい外観
登録は平成15年(2003年)12月1日、告示は同年12月25日、第39回登録である。登録番号は33-0070、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。
文化庁は丸本酒造釜場について、酒造業施設にふさわしい外観をつくると評している。蒸気を抜くための越屋根は、酒蔵の屋根並みを遠目にも見分けさせる要素で、その形が作業の必要から直接生まれている点に価値がある。
西蔵の南妻面に接する位置も意味をもつ。蒸した米は冷まされて麹室や仕込蔵へ運ばれる。釜場を仕込蔵に接して置けば、その移動は最短で済む。丸本酒造釜場は、西蔵とあわせて見ることで工程の順序が読み取れる建物である。
見学方法
丸本酒造釜場は敷地の南西端、西蔵の南妻面に接して建つ。見どころは屋根の越屋根で、棟の中央よりやや西に寄った位置に段差が見える。台形の平面は、建物の外周をたどると壁の振れで分かる。
内部は非公開で、予約制の蔵見学も酒造りの工程に沿って案内されるため、この建物に立ち寄るとは限らない。蔵見学は2026年9月25日の確認時点で開催日が設けられていない。撮影について明文の規則は公表されていないので、見学の申込み時に確かめたい。敷地への行き方と見学の条件は丸本家住宅及び丸本酒造のページにまとめてある。掲載した内容は2026年9月25日時点で確認した。
Q&A
- 丸本酒造釜場の内部は見学できますか。
- 内部は非公開です。予約制の蔵見学も酒造りの工程に沿って案内されるため、この建物に立ち寄るとは限りません。2026年9月25日時点で開催日は設けられていません。
- 丸本酒造釜場は何のための建物ですか。
- 酒米を蒸すための施設です。釜で湯を沸かし、その蒸気で米を蒸します。蒸気を逃がすため、屋根に越屋根を備えています。
- 丸本酒造釜場はいつ建てられましたか。
- 文化庁のデータベースでは昭和7年(1932年)頃の建築とされています。
- 丸本酒造釜場の平面が台形なのはなぜですか。
- 敷地の南西端という位置に合わせ、敷地の形状なりに建てたためと文化庁は説明しています。
- 丸本酒造釜場の指定区分と登録年を教えてください。
- 登録有形文化財(建造物)です。平成15年(2003年)12月1日登録、告示は同年12月25日、第39回登録で、登録番号は33-0070です。
基本情報
| 名称 | 丸本酒造釜場(まるもとしゅぞうかまば) |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県浅口市鴨方町本庄字吉宗2485 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成15年(2003年)12月1日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積104平方メートル |
| 所有者 | 丸本酒造株式会社 |
| 公開状況 | 内部非公開。敷地の南西端、西蔵の南妻面に接して建つ |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 丸本酒造釜場(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003699
- 丸本酒造|岡山観光WEB(公益社団法人岡山県観光連盟)
- https://www.okayama-kanko.jp/spot/detail_11569.html
最終更新日: 2026.09.25