トラスとは
トラスは、部材を三角形の組み合わせで構成した骨組みである。三角形は辺の長さが決まれば形が変わらないため、部材の接合部に大きな力をかけなくても全体の形が保たれる。荷重は各部材に引っ張る力か押す力として分かれて伝わり、細い材でも大きな荷重を受けることができる。
この性質を生かして、トラスは中間に柱を立てずに広い間隔を渡すのに使われる。建物では屋根を支える小屋組に、土木では橋の桁に用いられる。日本の建物では、明治時代以降に西洋から導入された構法で、トラスで組んだ小屋組を洋小屋と呼び、在来の和小屋と区別する。
小屋組のトラスには、中央に一本の真束を立てるキングポストトラス、二本の束を立てるクイーンポストトラスなど、部材の配置による型がある。材料も木だけでなく、鉄や鋼を用いたものがある。
記録と実物で見分ける手がかり
記録では、「小屋は木造トラス組」「小屋組にトラスを用いる」のように、小屋組の形式として書かれる。蔵や作業場では、外観は切妻造・桟瓦葺の伝統的な姿のまま、屋根の中にトラスを組む例が多い。丸本酒造の釜場の記録は、小屋組にトラスを用いるがその他は伝統的な意匠になると書き、同じ酒造の取合廊下は、柱または桁でトラス組を支えて吹放しの荷捌き場とする。愛山荘の石蔵は、小屋組の中央に鉄製のトラス梁を入れて棟木を受ける。
トラスを用いると、広い内部空間を柱なしで確保できる。酒の仕込みや米の貯蔵、作業のために広い床を必要とする建物で採用された理由の一つである。
現地では、小屋裏や天井のない室内で、斜めの材が三角形を連ねて組まれているかを見る。水平の梁の上に短い束が林立していれば和小屋、斜材と水平材が三角形をつくっていればトラスである。
参考文献
- 旧長島家住宅米蔵|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014739
- 丸本酒造釜場|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003699
- 丸本酒造取合廊下|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003701
- 愛山荘石蔵|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011682
最終更新: 2026.09.26