辻本店表門及び塀とは ― 奥座敷の正面に構える薬医門と塀

辻本店表門及び塀(つじほんてんおもてもんおよびへい)は、岡山県真庭市勝山の造り酒屋・辻本店で、旧出雲街道に面して構えられた明治中期(1883年から1897年ごろ)の門と塀で、平成26年(2014年)に登録有形文化財に登録された。奥座敷の式台玄関の西正面に位置し、客を座敷へ導く入口にあたる。

表門は間口1.7メートルの一間薬医門で、屋根は切妻造桟瓦葺。門の左右に延びる塀は木造瓦葺で、総延長は25メートルある。辻本店表門及び塀は、文化庁の分類では建築物ではなく「その他工作物」にあたる。

辻本店表門及び塀が登録された理由

辻本店表門及び塀は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、街路の景観を整える門塀と評している。店舗兼主屋や衣装蔵が続く通りの北寄りで、白い塀と門の屋根が町並みに区切りをつけている。

もう一つの意味は、奥座敷との関係にある。表門は奥座敷の式台玄関とまっすぐ向き合っており、客はこの門をくぐって店を通らずに座敷へ上がった。辻本店表門及び塀は、造り酒屋の主人が客を迎える動線の起点として、奥座敷と一組で残っている。

辻本店表門及び塀の見どころ ― 懸魚と船板

表門には両開きの板扉が吊り込まれ、切妻の破風には懸魚が飾られている。懸魚は破風の頂点から下がる板の飾りで、もともとは水に縁のある魚の形に火除けの願いを込めたものとされる。門の正面に立って破風を見上げると、その形が確かめられる。

塀は真壁の漆喰塗で、屋根は桟瓦葺。腰の部分の仕上げが外と内で違い、通りに面した外側は下見板張、内側は船板を縦に張っている。船板は舟に使われた板材で、厚く、水に強い。辻本店表門及び塀のどの舟から取った板かは記録にないが、旭川の高瀬舟が行き来した勝山の町で、舟の板が塀に使われていること自体が興味深い。

外側の下見板張は、板を少しずつ重ねて張った横羽目で、雨を下へ流す。白い漆喰と黒い板の上下の対比が、門の両側で25メートルにわたって続く。

辻本店表門及び塀の見学方法

辻本店表門及び塀は通りに面しており、外側は旧出雲街道からいつでも見られる。門の奥は奥座敷の前庭にあたる私的な空間なので、門の中へは入らないようにしたい。船板を張った塀の内側は、そのため通りからは見えない。

門の全体と左右の塀を1枚の写真に収めるなら、通りの反対側の端まで下がるとよい。辻本店への行き方と敷地全体の見学条件は、辻本店のページにまとめてある。

Q&A

Q辻本店表門及び塀はいつ造られたのですか?
A明治中期(1883年から1897年ごろ)の造りです。平成26年(2014年)に登録有形文化財に登録されました。
Q辻本店表門及び塀の門はどんな形式ですか?
A間口1.7メートルの一間薬医門で、切妻造桟瓦葺の屋根に両開きの板扉を吊り、破風に懸魚を飾っています。
Q辻本店表門及び塀の塀はどのくらいの長さですか?
A門の左右に延びる塀の総延長は25メートルです。
Q辻本店表門及び塀の塀の内側に船板が使われているのは本当ですか?
Aはい。腰の部分は外側が下見板張、内側が船板の竪張です。どの舟の板かは記録にありません。
Q辻本店表門及び塀の中に入れますか?
A門の奥は奥座敷の前の私的な空間のため入れません。外側は通りから自由に見られます。

基本情報

名称辻本店表門及び塀(つじほんてんおもてもんおよびへい)
所在地岡山県真庭市勝山字城外107他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2014年(平成26年)
員数1棟
寸法表門 間口1.7m、塀 総延長25m
所有者株式会社辻本店
公開状況外側は通りから見学可、門内は非公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「辻本店表門及び塀」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010057
文化遺産オンライン「辻本店表門及び塀」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/208094

最終更新日: 2026.09.24