辻本店庭塀とは ― 奥座敷の庭を囲う昭和前期の塀

辻本店庭塀(つじほんてんにわべい)は、岡山県真庭市勝山の造り酒屋・辻本店で奥座敷の東側にある庭の北面と東面を囲う昭和前期(1926年から1945年ごろ)の塀で、平成26年(2014年)に登録有形文化財に登録された。辻本店の登録建造物9件のうち、もっとも新しい時代のものである。

辻本店庭塀は、通り側の塀(表門及び塀)の北端から矩折れに、つまり直角に折れて延び、登録対象外の東蔵に接続する。延長は47メートルで、表門の左右の塀の25メートルと合わせると、敷地の北側はほぼ塀で縁取られていることになる。

辻本店庭塀の構造 ― 伝統の塀と近代の材料

辻本店庭塀はコンクリートの基礎の上に建ち、真壁造の漆喰塗で、腰を竪板張とする。柱を見せる真壁の塀に漆喰を塗る造りは伝統的だが、足元は昭和前期らしく石ではなくコンクリートで据えている。

屋根の瓦は面によって違う。東面の塀はセメント瓦葺、北面の塀は桟瓦葺である。セメント瓦はセメントを型で成形した瓦で、昭和の初めごろから広く使われるようになった材料とされる。同じ1本の塀に焼き物の瓦とセメント瓦が並んでいる点が、辻本店庭塀のいちばんの特徴といってよい。

辻本店庭塀が登録された理由

辻本店庭塀は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。この塀は庭と、東蔵へ向かう構内の通路とを区切っている。酒造りの作業動線と、客をもてなす奥座敷の庭とを塀1本で分ける配置は、住まいと生業が同じ敷地に同居する造り酒屋の敷地らしい割り付けである。

奥座敷、表門及び塀、社舎とあわせて見ると、辻本店庭塀は庭の囲いを完成させる最後のピースにあたる。明治中期に整えられた客向けの空間を、昭和前期に塀で閉じ直した経緯が、建築年代の差から読み取れる。

辻本店庭塀の見学方法

辻本店庭塀は敷地の奥、奥座敷の庭の北と東にあり、一般には公開されていない。大部分は通りから見えない位置にある。

通りから確かめられるのは、表門及び塀の北端、辻本店庭塀が折れて始まるあたりまでである。私有地なので敷地内には立ち入らないようにしたい。辻本店への行き方と敷地全体の見学条件は、辻本店のページにまとめてある。

Q&A

Q辻本店庭塀はいつ造られたのですか?
A昭和前期(1926年から1945年ごろ)の造りで、辻本店の登録建造物のなかでもっとも新しいものです。平成26年(2014年)に登録されました。
Q辻本店庭塀の長さはどのくらいですか?
A延長47メートルです。通り側の塀の北端から直角に折れて東蔵まで延びています。
Q辻本店庭塀の屋根瓦はすべて同じですか?
Aいいえ。東面の塀はセメント瓦葺、北面の塀は桟瓦葺で、面によって瓦が異なります。
Q辻本店庭塀は何と何を区切っているのですか?
A奥座敷東側の庭と、東蔵へ向かう構内の通路とを区切っています。
Q辻本店庭塀は見学できますか?
A敷地の奥にあり一般公開されていません。通りからはほとんど見えません。

基本情報

名称辻本店庭塀(つじほんてんにわべい)
所在地岡山県真庭市勝山字城外107他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2014年(平成26年)
員数1棟
寸法延長47m
所有者株式会社辻本店
公開状況非公開(敷地内にあり通りからはほぼ見えない)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「辻本店庭塀」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010058
文化遺産オンライン「辻本店庭塀」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/241825

最終更新日: 2026.09.24