辻本店奥座敷とは ― 衣装蔵の北に建つ離れ座敷

辻本店奥座敷(つじほんてんおくざしき)は、岡山県真庭市勝山の造り酒屋・辻本店で衣装蔵の北に並んで建つ明治中期(1883年から1897年ごろ)の離れ座敷で、平成26年(2014年)に登録有形文化財に登録された。大正期(1912年から1926年ごろ)に改修を受けている。

辻本店奥座敷は木造平屋建で、建築面積は121平方メートル。屋根は入母屋造桟瓦葺で、東と西の面に下屋を廻らしている。文化庁の解説は、造作の丁寧な離れ座敷と評している。

辻本店奥座敷の間取り ― 客を迎えるための離れ

辻本店奥座敷の主室は八畳で、床の間・棚・付書院を備える。その隣の次の間には、西の表門に向けて式台玄関が開く。表門をくぐった客は、店や住まいを通らずに、まっすぐこの玄関から座敷へ上がることができた。

南には入母屋屋根の脇玄関があり、北には化粧部屋・風呂・便所が付属する。泊まり客が身支度を整えられるだけの設備を、離れの中で完結させている点が目を引く。

蔵元の説明によれば、辻家では明治から昭和にかけての当主が書画をたしなみ、与謝野鉄幹・晶子夫妻の逗留をはじめ多くの文人墨客を迎えたという。そうした客がどの部屋に通されたかまでは記録に示されていないが、辻本店奥座敷が客をもてなすための建物として造られたことは、間取りからはっきり分かる。

辻本店奥座敷が登録された理由

辻本店奥座敷は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。表門及び塀、庭塀、社舎とともに、造り酒屋の主人が客を迎える場の構えを一式で伝えている点に意味がある。

式台玄関と表門が一直線に向き合う配置は、辻本店奥座敷の性格をよく示している。店の出入りとは別に、格式を整えた客用の動線を用意していたことが、建物の並びそのものから読み取れる。

辻本店奥座敷の見学方法

辻本店奥座敷は表門の奥の私的な空間にあり、一般には公開されていない。特別公開の案内も確認できなかった。

通りから見えるのは、辻本店奥座敷の手前に構える表門と塀までである。門の正面に立つと、その奥に式台玄関があるという位置関係が分かる。門の中へは入らないようにしたい。辻本店への行き方と敷地全体の見学条件は、辻本店のページにまとめてある。

Q&A

Q辻本店奥座敷はいつ建てられたのですか?
A明治中期(1883年から1897年ごろ)の建築で、大正期に改修されています。平成26年(2014年)に登録有形文化財に登録されました。
Q辻本店奥座敷の内部は見学できますか?
A私的な空間のため一般公開されておらず、特別公開の案内も確認できませんでした。
Q辻本店奥座敷の主室にはどんな設えがありますか?
A八畳の主室に床の間・棚・付書院を備えています。
Q辻本店奥座敷と表門はどんな関係にありますか?
A次の間の式台玄関が西の表門に向けて開いており、客は門から直接座敷へ上がれる配置です。
Q辻本店奥座敷にはどんな付属施設がありますか?
A北側に化粧部屋・風呂・便所があり、南には入母屋屋根の脇玄関があります。

基本情報

名称辻本店奥座敷(つじほんてんおくざしき)
所在地岡山県真庭市勝山字山本町屋敷116
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2014年(平成26年)
員数1棟
寸法木造平屋建、建築面積121㎡
所有者株式会社辻本店
公開状況非公開(通りからは表門まで見える)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「辻本店奥座敷」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010055
文化遺産オンライン「辻本店奥座敷」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/260522
御前酒蔵元 辻本店「蔵元紹介」
https://www.gozenshu.co.jp/sp/kuramoto/

最終更新日: 2026.09.24